Dynamics365 2026 wave1_Sales

こんばんは。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

“室長”こと、吉島良平Microsoft MVP for Business Applications Microsoft Regional Director)です。

土曜日にタイから戻ってきて、寒暖差からですかね。身体のキレがイマイチな感じです。もう若くないので、騙し騙しお仕事をする感じです。Dynamicsは待ってくれないですし、僕の仕事にも終わりはないですからね。

さて、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、Dynamics 365 2026 wave 1の情報が2026年3月18日に公開されました。

ここまで、

について纏めてきました。ERP側の領域は全て網羅できたと思います。多くの方々に、お読みいただいているようでとても嬉しいです。

さて、いよいよここからはCRM領域の解説となります。

本稿では、Dynamics 365 Salesについて、新機能を解説していきたいと思いますので、最後までお付き合いいただけますと幸いです。

Dynamics 365 Sales 2026 wave 1

―2026 release wave 1(2026年4月〜9月)におけるDynamics 365 Salesの新機能・改善点―

D365 Salesよ、君はどこへ向かおうとしているのか?

Dynamics 365 Salesの2026 release wave 1の計画を眺めて、まず感じるのは、今回もまた「分かりやすい新機能」や「大きな画面変更」を前面に押し出したアップデートではない、という点です。派手な追加機能が並ぶというよりも、営業という行為そのものを、少し引いた視点から捉え直そうとしているような印象を受けます。

Planned Featuresを俯瞰すると、そこに見えてくるのは「もっと入力しやすくする」「もっと管理しやすくする」といった従来型の改善ではありません。今回のDynamics 365 Salesは、案件や活動を記録するためのシステムというよりも、営業が次に何をすべきかを考えるための土台へと、静かに重心を移しているように見えます。

これまでのDynamics 365 Salesは、「正しく入力し、正しく管理する」ことが価値の中心にありました。リード、案件、パイプライン、予測。営業活動を可視化し、組織として把握するための仕組みとして、大きな役割を果たしてきたのは間違いありません。しかし2026 wave 1の計画を見ていると、その役割だけでは語りきれなくなってきている気配も感じられます。

顧客は今、何に関心を持っているのか。この案件で、本当に次に取るべき行動は何なのか。どの情報を見て、どの判断を下すべきなのか。

そうした問いに対して、営業個人の経験や勘だけに頼るのではなく、データやAIがどう寄り添おうとしているのか。Dynamics 365 Salesは、営業活動を「記録する場所」から、「判断を支える場所」へと変わろうとしているのかもしれません。

この先の章では、2026 release wave 1に含まれる具体的な新機能や改善点を通して、Dynamics 365 Salesがどこへ向かおうとしているのかを、室長の勝手な解釈で整理していきたいと思います。

≪Business Research≫

Explore complex sales insights with Sales Research Agent

Sales Research Agentを使って、Dynamics 365 Salesのデータを起点に自然言語で問いを立て、複雑な営業テーマ(パイプライン、達成状況、リスクなど)を対話しながら分析し、文章と可視化を組み合わせた「意思決定向けの洞察」としてまとめられるようにする機能です。営業データだけに閉じず、関連情報も材料にしながら、調べる→掘る→まとめるという分析の流れを一つの作業空間で回せることが狙いです。

営業マネージャーが「今期の達成確度はどこで落ちているのか」「特定セグメントだけ失注が増えているのはなぜか」「パイプラインの量はあるのに進まない要因は何か」といった、答えが一つではない問いを投げ、出てきた結果をさらに追問して深掘りし、会議にそのまま持ち込める形(要点・根拠・示唆)に整える使い方が中心になります。CRMの数字だけでは説明しきれないときに、補足の資料も材料にして「状況説明→判断」までを短いサイクルで回す用途にも向きます。

従来の営業分析は、ダッシュボードや既定のレポート、Excelへのエクスポート、追加の集計・突合といった手段が中心で、「問いに応じて切り口を変えながら深掘りする」作業は担当者の手作業と経験に依存しがちでした。そのため、複数データをまたいだ分析や、背景説明まで含む「意思決定向けのまとめ」は、作成に時間がかかりやすい領域でした。

自然言語の対話で分析を開始でき、複数の観点に枝分かれしながら調査を進め、結果を可視化し、必要に応じて追加情報も組み合わせて洞察を更新できるようになります。分析結果については「どうしてその結論になったのか」を辿れる形で扱えるため、単なる結論提示ではなく、納得感を持って議論につなげやすくなります。また、作業空間を保存して、データ更新に合わせて再実行・更新していく運用もしやすくなります。

この機能は「営業判断を自動化する」ものではなく、「営業が考えるための材料と視点を整える」ものです。問いの立て方が曖昧だと得られる示唆も曖昧になりやすく、前提となるCRMデータの品質や運用(入力粒度・項目設計・ステージ管理)が低いと、分析の信頼性も揺らぎます。導入時は、どの役割(営業マネージャー/営業企画/リーダー)がどの問いを扱うのか、意思決定に使う「共通の問いの型」を先に揃えると、効果が出やすくなります。

≪Lead Management≫

Personalize outreach emails generated by Sales Qualification Agent

Sales Qualification Agentが生成するアウトリーチメールを、組織の意図やブランド方針に合わせて個別最適化できるようにする機能です。アウトリーチの目的、会社の声と担当者の文体に沿ったトーン、次の一手を促す行動喚起、件名の方針、文量や簡潔さ、用語の統一、承認語句や禁止語句、箇条書きや段落長などの書式までをルールとして定義し、メールのばらつきを抑えながら反応率の向上を狙います。

典型的には、インバウンドリードが大量に入る状況で、担当者ごとにメール品質がブレる、会社として言ってよい表現と言ってはいけない表現が混ざる、毎回ゼロから文章を作るので速度が出ない、といった課題に効きます。たとえば「初回接触は短く要点だけ」「必ず次のステップとして日程提案を入れる」「役職ごとに刺さる切り口を変える」「会社として使う呼称や言い回しを固定する」といったルールを先に決めておき、エージェントが生成するメールをその枠内で安定させることで、量をこなしながら質も保つ使い方になります。

2025wave2まででも、Sales Qualification Agentはリードを調査し、条件に合うリードに対してアウトリーチメールを生成する流れを持っていました。一方で、メールの内容を組織のブランドや運用ルールに沿って細かく制御する観点では、運用側が人の手でテンプレートを作る、個別に修正する、といった形になりやすく、結果として文体・トーン・表現の揺れが残りがちでした。

2026wave1では、エージェントが生成するアウトリーチメールに対して、目的やゴールを自然言語で定義し、望ましい行動喚起、件名のガイダンス(固定案またはスタイル指針)、文量や簡潔さ、トーンのルール(名前の使い方や推奨用語)、ブランドのガードレール(承認フレーズと禁止語句)、書式(箇条書きや段落長、最大箇条書き数)といった要素を方針として持たせられるようになります。結果として、担当者ごとの作文に頼らず、組織として一貫した品質でアウトリーチを回しやすくなります。

留意点としては、自由度が上がるほどルール設計の質が成果を左右する点です。禁止語句や承認フレーズを厳しくしすぎると表現が硬直し、逆に緩すぎるとブランド統制が効きません。また、目的や行動喚起、文量などの方針がチーム内で揃っていないと、設定が増えるほど運用が複雑になります。この機能はメール作成を自動化するだけでなく、アウトリーチを業務ルールとして標準化するための仕組みなので、最初はルールを絞って運用し、反応率や現場の負担を見ながら段階的に整えていくのが現実的でしょうね。

Get lead research and next best actions in Sales Home

Sales Home上で、エージェントによるリード調査、優先順位付け、次に取るべきアクションの提案をまとめて確認できるようにする機能です。ツールを行き来して文脈を探すのではなく、どのリードが重要で、なぜ重要で、次に何をすべきかを一画面で把握できるようにし、リード対応のスピードと一貫性を上げることが狙いです。

例えば、インバウンドリードが溜まりやすい組織で「放置リードが増える」「初動が遅れる」「担当者によって対応品質がバラつく」といった課題に効きます。Sales Homeで優先度の高いリードを先に提示し、フォローアップ、適格化、エージェントのブロック解除など次のアクションをその場で開始できるため、初回接触までの時間を短縮し、失速リードを減らす運用がしやすくなります。リードの重要性や推奨アクションの理由も合わせて確認できるので、判断の迷いも減らせます。

2025wave2まででも、リード管理は可能で、Sales Qualification Agentなどを活用すればリード調査やメール生成といった支援も得られました。一方で、担当者はリードの文脈を集めるために複数画面を見たり、どのリードから手を付けるかを自分で並べ替えたりする必要があり、最も重要なリードに集中するための導線は運用に依存しがちでした。

2026wave1では、Sales Homeにリード調査結果と優先順位、次の最適アクションがまとまって表示され、リードごとに推奨アクションを確認し、その理由も理解したうえで、フォローアップや適格化などをSales Homeから直接実行できるようになります。アクションのステータスや結果も追えるため、重要なリードがプロセスの途中で滞留しにくくなり、問い合わせから有望案件化までの流れをより予測可能にできます。この機能はSales Qualification AgentまたはSales Agent Lead Researchのいずれかを前提とします。

留意点としては、何を「優先」と判定するかの前提がチームに合っていないと、提示される順序や推奨アクションが現場感とズレる可能性がある点です。緊急性、価値、エンゲージメントといった軸が、どの業態・どの販売モデルで有効かは組織によって異なります。また、Sales Homeに集約されることで、担当者が画面に依存しすぎて自分の判断を放棄してしまうと本末転倒です。この機能は「決めてくれる」のではなく「迷いを減らして速く動けるようにする」ためのものなので、まずは優先度の基準とフォローアップの運用を揃え、提示された推奨の精度を現場で擦り合わせながら整えていくのが現実的でしょうね。

Prioritize your hottest leads first with next best actions

Sales Qualification Agentがリードを調査し、ホット/ウォーム/コールドの温度感や購買意欲を見極めたうえで、今すぐ手を付けるべきリードと次に取るべきアクションを、Dynamics 365 Salesのリード一覧上に直接表示できるようにする機能です。リードの優先順位付けを「担当者の勘と経験」から切り離し、営業組織としての初動品質を底上げすることが狙いです。

大量のリードが流入する組織で「誰が何から手を付けるか」で差が出る状況に効きます。リード一覧でホットまたは高い購買意欲が示されたリードが目立つ形で出てくるため、担当者は迷わず優先対応に入れます。次の最適アクションがその場で提示され、あわせて「なぜホットなのか」「何に関心があるのか」といった要点も見えるため、初回接触のスピードだけでなく、最初の一通の質も安定しやすくなります。

2025wave2まででも、Sales Qualification Agentを使えばリードの調査や初回メールの下書き生成は可能でしたが、「どのリードから着手すべきか」を日々の運用で強制力を持って揃えるのは難しく、担当者がリード一覧を見ながら自己流で優先順位を付ける場面が残りがちでした。結果として、放置リードが生まれたり、初動が遅れたり、対応品質が担当者間でブレたりする問題が起こりやすい構造でした。

2026wave1では、Sales Qualification Agentが提示する次の最適アクションが、リード一覧上で直接見えるようになります。ホット/高い購買意欲のリードが一目で分かり、アクションのプレビューとして「なぜ今対応すべきか」「関心トピックは何か」を把握したうえで、調査結果や事前生成されたメール提案へもスムーズに遷移できるようになります。リード対応を一覧の中で完結させやすくなり、問い合わせから有望案件化までの速度と一貫性を上げやすくなります。

留意点としては、提示される優先順位やアクションが、組織の販売モデルや評価軸とズレると逆効果になり得る点です。ホット判定の根拠や「購買意欲」の解釈が現場の実感と合っているかを見ながら、運用上の基準(どの種類のリードを対象にするか、どの段階で誰が引き取るか、メール送信のルールなど)を揃えていく必要があります。また、一覧で“分かった気になる”こともリスクで、提示された要点を鵜呑みにせず、最小限の確認とセットで回す設計にしておくと安定します。

Deploy multiple Sales Qualification Agents in a single environment

Sales Qualification Agentを1つの環境に複数デプロイし、製品ライン、地域、営業チームなど実際の営業組織の区分に合わせて、それぞれ別の資格基準と知識ソース、エンゲージメント方針で動かせるようにする機能です。単一エージェントでは吸収しきれない「商材ごとの理想顧客像の違い」「地域ごとの訴求の違い」「チームごとの運用ルールの違い」を前提に、エージェント側を分けて運用できるようにします。

例えば、商材Aは製造業の工場向け、商材Bは小売の本部向け、といったように理想顧客像や有効なメッセージがまったく違う組織で効果が出ます。従来は同じエージェントがすべてのリードを扱う前提になりやすく、メールの内容や評価基準が“どっちつかず”になったり、チーム間で重複対応が発生したりするリスクがありました。複数エージェントを用意し、担当領域を分けることで、リードの重複アウトリーチを避けつつ、各領域に最適化された資格判定とコミュニケーションを実現しやすくなります。

2025wave2まででもSales Qualification Agentはリードを調査し、条件に合うリードを見つけてアウトリーチを支援することができましたが、基本的には「1つのエージェントをどう賢くするか」が中心で、複数の営業組織区分を前提にエージェントを分けて運用する考え方は強くはありませんでした。そのため、組織が大きいほど運用ルールを人が頑張って揃える必要があり、結果としてエージェントの効果が部分最適に留まる場面もあり得ました。

2026wave1では、複数のSales Qualification Agentを同一環境に展開し、各エージェントごとに理想顧客像、知識ソース、テンプレート、同意設定などを持たせたうえで、着信リードを選択基準と優先順位に基づいてルーティングできるようになります。どのエージェントにも当てはまらないリードを処理するフォールバックの考え方も用意され、リードが未処理のまま残りにくくなります。また、常に1つのエージェントだけが対象リードに関与し、関心が別商材や別セグメントに移った場合はコンテキストを保ったまま適切なエージェントへ引き継ぐ、という前提が入ることで、重複対応を抑えながら運用できます。監督者が全体を見渡して活動や引き継ぎを追える点も、組織運用として重要です。

留意点としては、エージェントを増やすほど「切り分けの設計」が成果を左右する点です。区分が曖昧だとルーティングがぶれ、優先順位の設定が弱いと想定外のエージェントが担当してしまい、かえって混乱します。フォールバックをどこまで許容するか、どの時点で人に引き渡すか、どの条件で引き継ぎが起きるべきかといった運用ルールも合わせて整理が必要です。複数エージェントは規模の大きい組織ほど効果が出やすい一方、最初から細かく分けすぎると管理コストが増えるので、まずは商材や地域など分かりやすい軸で少数から始め、成果と運用負荷を見ながら段階的に増やしていくのが現実的です。

Identify best leads by using any data source for agent‑driven assessment

Sales Qualification Agentがリードの適合性を評価する際に、CRMの項目や特定のWebサイトといった限定された情報源だけでなく、パブリックWeb検索やCopilot Studioで接続したカスタムデータソースなど、任意のデータソースを使って評価できるようにする機能です。どのデータを根拠に、どの条件で「良いリード」と判断するかを、組織側が定義できる前提を強め、リード評価の精度を上げることが狙いです。

例えば、CRM上の入力が薄いリードでも、会社サイトの情報や公開情報を参照して業種や提供サービス、事業規模などを補完し、理想顧客像に合うかどうかを判定する、といった使い方ができます。あるいは、自社が持つ別システムのデータや、社内で整備した独自の評価データをCopilot Studio経由でつなぎ、「この条件に当てはまる会社は優先」「このシグナルがある場合はホット」といった判断を組み込むことで、売り手が手作業で調べていた部分を前倒しで整える運用に寄せられます。

2025wave2まででもSales Qualification Agentは、引き渡し条件に基づいてリードを評価し、どのデータを使うかもCRMフィールドや特定のWebサイトなどを前提に定義できました。ただし、評価に使える情報源は設計の範囲に縛られやすく、組織固有のデータや外部情報を広く取り込みたい場合は、評価ロジックの柔軟性に限界が出やすい構造でした。

2026wave1では、Sales Qualification Agentが任意のデータソースを使って適合性評価を行えるようになり、評価の根拠を広げられます。パブリックWeb検索を使って会社サイトやオンライン情報から評価できるようになり、さらにCopilot Studio経由で接続したカスタムデータソースも評価に使えるようになります。また、設定画面も刷新され、初回はCopilotが提案する評価基準をワンクリックで設定して開始でき、必要に応じて手動で条件を追加・修正できる流れになります。既存の設定はそのまま動き続ける前提が維持され、必要に応じてエージェントのリサーチ結果をデータソースとして追加できるようになります。

留意点としては、評価に使うデータソースが増えるほど、判断基準の透明性と説明可能性が重要になる点です。何を根拠に「良いリード」と判定したのかがチーム内で共有できないと、現場の納得感が下がり、運用が形骸化します。また、外部情報や社内のカスタムデータは品質や更新頻度がまちまちになりやすく、誤判定の原因にもなり得ます。この機能は「どんなデータでも勝手に正しく判断してくれる」ものではなく、「組織が使いたい根拠を、評価ロジックに組み込める」ための拡張です。最初は評価条件を絞り、判定結果と実際の転換率を見ながら、段階的にデータソースと条件を増やしていくのが現実的です。

≪Opportunity Acceleration≫

Improve opportunity context with AI-based data enrichment

商談(Opportunity)の情報が不完全だったり古かったりすることで、案件の健全性が見えにくくなり、適切な次の一手が打てないという課題に対して、AIで情報の欠けや更新漏れを検知し、更新案を提示(または自動反映)できるようにする機能です。直近のメールのやり取りを分析して文脈を拾い、商談レコードに不足している情報や矛盾している情報を見つけ、推奨される更新内容とその理由を示します。

例えば、見積提出や条件調整などメール上では話が進んでいるのに、CRMの商談レコードには見込み金額やクローズ予定日、重要な前提が更新されないまま放置され、週次レビューや予測会議で毎回“口頭補完”が必要になるような状況に効きます。メールから拾った情報を根拠に更新案が出ることで、担当者は「何を直すべきか」を短時間で把握し、必要ならその場で採用/却下できます。結果として、商談レビューの時間が「情報収集」から「判断と打ち手」に寄りやすくなります。

2025wave2まででも、商談情報を正しく保つための運用は可能でしたが、現実には入力の後回しや更新漏れが起きやすく、データ品質は担当者の習慣や管理の強さに依存しがちでした。メールや会議で進んだ内容をCRMに反映する作業は手動で、忙しい局面ほど更新されにくいという構造が残っていました。その結果、パイプラインの数字に対する信頼が下がり、予測やレビューが重くなる場面もありました。

2026wave1では、管理者が「どの商談を対象にするか」の条件を定義でき、更新を自動反映にするか、担当者が確認して承認する手動プロセスにするかを選べるようになります。担当者側は、メールのやり取りを根拠に生成された更新案を確認し、なぜその更新が推奨されるのかという文脈を読んだうえで、採用/却下できます。自動反映を選んだ場合でも、後から変更内容を確認し、必要なら差し戻すことができます。これにより、商談データを「人が頑張って最新化する」から「システムが欠けを見つけ、人が判断する」形へ寄せられます。

留意点としては、更新案の質は元データの質と運用設計に強く依存する点です。メールの同期や保存のされ方が整っていないと根拠が薄くなりますし、自動反映を強くしすぎると、意図しない更新が混ざったときに現場の不信感につながります。まずは対象商談の条件を絞り、手動承認で運用して精度と負担を見極め、安定してきた領域から自動反映の範囲を広げるのが現実的です。また、この機能は「CRM入力を不要にする」ものではなく、「入力の抜けや遅れを減らして、パイプラインを意思決定に使える状態に戻す」ための仕組みとして捉えると、期待値が揃いやすくなりますね。

Identify the most important actions in the flow of work

営業担当者が日々受け取るシグナルや提案アクションが増えるほど、「今この瞬間に本当に重要な行動は何か」を判断するのが難しくなるという課題に対して、Next Best Actionが複数のエージェントやワークフローが生成するアクションを横断的に評価し、最も重要で影響が大きいアクションを特定して提示する機能です。Sales Qualification AgentやSales Close Agentのような標準エージェントだけでなく、カスタムエージェントや自動化ワークフローが出すアクションも対象にし、判断の優先順位を一か所に集約することが狙いです。

例えば、リード対応、商談の次ステップ、フォローアップ、社内調整など複数のタスクが同時に走り、担当者が「やることは見えているのに、何から手を付けるべきか」で迷う状況に効きます。重要なアクションが埋もれて期限が過ぎる、関係者への連絡が遅れて商談が失速する、といった“判断の遅れ”を減らし、案件を前に進めるための最短の行動に集中しやすくなります。提案された優先順位について理由が示される前提もあるため、単なる押し付けではなく、納得しながら動ける形を目指しているように見えます。

2025wave2まででも、各機能や各エージェントが「次にやるべきこと」を提示する流れはありましたが、提案が増えるほど担当者は複数の場所で複数の推奨を受け取り、結果として優先順位付けを人が再度行う必要がありました。提案の“量”が増えるほど、重要なものが埋もれやすいという逆転現象が起きやすく、トップパフォーマーの動き方を組織全体で再現するのが難しい場面もありました。

2026wave1では、Next Best Actionが標準エージェントやカスタムエージェント、ワークフローなどが生成する複数のアクションを分析し、クロス優先順位付けによって「今最も時間的にクリティカルで、かつ商談進行に直結するアクション」を特定できるようになります。さらに、その優先アクションを担当者の作業導線の中に広く露出させ、Dynamics 365のエンティティ一覧、Microsoft 365、Outlookなどのタッチポイントで確認できるようにすることで、見逃しを減らします。あわせて、カスタムで生成されるアクションも優先順位付けの対象として取り込める前提が示されており、「推奨の一本化」を現実の拡張運用にも寄せています。

留意点としては、優先順位付けが強くなるほど、組織が「何を成果とするか」「何が商談進行に効くか」という前提を揃えておく必要がある点です。優先アクションの根拠が現場の感覚とズレると、提案が増えるほど不信感が増え、逆に採用されなくなります。また、カスタムワークフローを取り込めるようになると、アクションが乱立したときのガバナンスが重要になります。この機能は「営業を自動操縦する」ものではなく、「迷いを減らし、重要な行動を見逃さないようにする」ための仕組みなので、最初は対象となるアクションの種類を絞り、現場の納得感と成果を確認しながら段階的に広げるのが現実的な気がします。

Stay on track at every deal stage with delta-first guidance in Sales Close Agent

Sales Close Agentのガイダンスを、顧客のビジネスプロセスフローのステージに合わせて提示し、前回レビュー以降に何が変わったのかを最初に示すことで、商談を各ステージで迷子にしないようにする機能です。商談は関係者の入れ替わり、購買シグナルの低下、価格や調達の障壁、予算やスケジュール前提の変化などで条件が素早く動きますが、その変化を見落とすと勢いが失われます。そこで、最初のレビュー以降は「差分を先に出す」形で、今このステージで重要な変化と次の最適アクションに集中できるようにします。

例えば、多数の商談を抱えている担当者が、週次レビューや顧客打ち合わせ前に状況を取り直す場面で効きます。従来は商談ごとに長いブリーフィングを読み直し、何が変わったのかを自分で探す必要がありましたが、差分が先に提示されれば、関係者の変化やリスクの芽を短時間で把握し、ステージに合った次の一手に移りやすくなります。特に、商談ステージが進むほど判断の遅れが致命傷になりやすいので、差分を起点に意思決定できるのは実務的です。

2025wave2まででも、商談の状況をまとめたブリーフィングや継続監視の考え方はありましたが、担当者が求めているのは「全部のおさらい」よりも「前回から何が変わったか」であることが多く、結局は読み直しや見比べが発生しがちでした。また、ガイダンスがステージ文脈と合っていないと、一般論の解釈に時間が取られ、次のアクションに結び付きにくいという課題もあり得ました。

2026wave1では、Sales Close Agentが現在のステージとサブステージのシグナルを前提に、ガイダンスと次のアクションを優先順位付けして提示し、前回レビュー以降の差分を最初に示す形に寄せます。差分として何が変わったのか、それがこのステージでなぜ重要なのか、勢いを維持するために何をすべきかをまとめて出すことで、ブリーフィングの再読を減らし、ステージに沿った行動に集中できます。さらに、ステージをまたぐ重大リスクは緊急性が高い場合に常に見えるようにし、見逃しを減らす前提も入っています。標準のステージ(見込み、開発、提案、クローズ)を広くカバーしつつ、顧客側のプロセスの違いにも対応する考え方が示されています。

留意点としては、差分を中心に提示できるほど、前回レビューの基準が揃っていることが前提になる点です。担当者がレビューを実施しない、またはステージ運用が形骸化していると、差分という考え方が成立しにくくなります。また、ステージに合わせたガイダンスは、ステージ定義やBPF(ビジネスプロセスフロー)の運用に依存します。自社のステージ運用が現場の実態とズレている場合、提示されるガイダンスの“的外れ感”につながりやすいので、まずはBPFと商談ステージの運用を揃え、ガイダンスが効く土台を整えるのが現実的です。この機能は商談を自動で前に進めるものではなく、変化を見逃さず、今のステージで重要な行動に集中できるようにする補助線として捉えると、期待値が揃いやすくなりますよね。

Chat with your deal insights using ask-and-refine experience in Sales Close Agent

Sales Close Agentの分析情報を、商談レコードの中でそのまま対話的に確認できるようにし、必要なときだけ深掘りできるようにする機能です。静的な要約を読み直したり、外部のチャットツールに移って質問し直したりするのではなく、今見ている商談の文脈に合わせて質問し、短く要点から始めて、必要な分だけ追加の分析を引き出す「ask-and-refine」の流れを商談画面に組み込みます。

例えば、会議前の準備で「今回の打ち合わせで確認すべき論点は何か」「この商談の最大リスクは何か」「今のステージを上げるために足りない要素は何か」といった問いを、その商談の文脈で投げ、まずは行動に直結する要点を受け取り、納得できない部分だけ追加で掘る使い方ができます。商談を前に進める局面ほど、全部を読むより「今必要な答えだけ」を早く取りたいので、短く始めて深掘りする設計は現場に合います。

2025wave2まででも、商談のブリーフィングや洞察を用意し、そこから判断につなげる考え方はありましたが、結局は要約を読み直したり、追加の問いが出たときに別の場所で調べ直したりする動きが残りがちでした。特に商談が動いている局面では、固定的な要約はすぐ古く感じられ、「今この瞬間の問い」に合わせて再構成するのが難しいという課題があり得ました。

2026wave1では、商談内で質問でき、アクションファーストの要点から提示し、必要なときだけ追加の分析を要求できるようになります。ステージ移動の準備のように、次の段階に進める直前の確認にも使える前提が示されています。管理者側は、どの洞察を高価値シグナルの変化に応じて自動更新するかを設定でき、逆にコストやメッセージ消費を抑えるために、深い洞察はオンデマンドで生成するよう制御できます。応答性と効率のバランスを取りながら、タイムリーさを維持する設計になっています。

留意点としては、深掘りが容易になるほど、どこまでを自動更新し、どこからをオンデマンドにするかの線引きが運用に影響する点です。自動更新を広げすぎるとコストや消費量が膨らみ、逆にオンデマンド寄りにしすぎると「いざというときに最新でない」状態が起き得ます。また、この機能は商談判断を代行するものではなく、商談文脈での問いと検証を速くするための仕組みなので、チームとして「どの問いを標準化するか」「ステージごとに何を確認するか」を揃えておくと効果が出やすくなりますね。

Use historical deal patterns to get better insights in Sales Close Agent

過去の商談の勝敗データや進行パターンをもとに、現在進行中の商談で起こりがちな「繰り返しの兆候」を検知し、今のステージでなぜ重要なのか、次に取るべき行動は何かを具体的に示す機能です。営業現場では、重要な会議の後に失速する、競合が後半で入ってくる、調達や稟議で止まる、同じ反対意見が何度も出るといったパターンが繰り返し起きますが、それを都度思い出して結び付けるのは難しいため、過去の学習をそのまま今の判断に使える形にします。

例えば、現在の商談で「このステージで競合が入ると失注率が高い」「この価格帯では決裁者が増えると遅延しやすい」「この業界ではこの反対意見が出た後に対策しないと停滞する」といった過去の傾向がある場合、それを明示したうえで、どの行動が有効だったかを提示します。単なる傾向分析ではなく、「だから今、何をすべきか」まで落とすことで、経験者の勘を再現可能な形に近づけます。

2025wave2まででも、個々の商談を俯瞰してリスクや状況を把握することはできましたが、過去の勝敗パターンを現在の商談に結び付けて使うには、担当者やマネージャーの記憶や経験に頼る部分が大きく、体系的に活かすのは難しい面がありました。その結果、「似た失敗を繰り返す」「分かっていたはずの落とし穴にまたはまる」といった状況が起こり得ました。

2026wave1では、Sales Close Agentが履歴データから抽出したパターンのうち、今のステージで次のアクションや優先順位に影響を与えるものだけを選んで提示します。各パターンには、何が起きているのか、なぜこのステージで重要なのか、そして取るべき具体的な行動がセットで示されます。競合、関係者、タイミング、反対意見、ソリューション適合、価格やディスカウント、クロスセル・アップセルの兆候など、実務で効きやすい観点がカバーされ、情報として知るだけでなく行動につなげやすい構成になっています。

留意点としては、過去データが十分に蓄積されていない領域では、示されるパターンも限定的になる点です。また、歴史的に「うまくいった行動」が常に正解とは限らず、市場環境や顧客の変化によっては当てはまらなくなることもあります。この機能は、過去の成功体験を押し付けるものではなく、「今の商談を考えるための材料」を増やすための仕組みです。提示されたパターンを鵜呑みにするのではなく、現状と照らし合わせて取捨選択する前提で使うことで、経験の属人化を減らしつつ、判断の質を底上げしやすくなります。

Personalize opportunity research in Sales Close Agent

Sales Close Agentのリサーチ画面を、担当者ごとの「商談の見方」に合わせてパーソナライズできるようにする機能です。商談のシグナルやメモがCRM、メール、会議、他ツールに散らばり、担当者ごとに「何が重要か」の視点も違うという前提を受け止め、リサーチ画面を担当者の作業画面として使えるように寄せます。洞察や推奨アクションの並び方を自分の関心に合わせて整理し、必要なときに自分の文脈を追加して、エージェントが強調すべきポイントをより自分の次の一手に近づけることが狙いです。

例えば、ある担当者は関係者と意思決定構造を最重視し、別の担当者は競合と価格条件を最優先に見る、といった現実の差に対応できます。関係者、競合、案件健全性、価格、次のステップといった観点を自分の優先順位で固定のフォーカス領域として並べたり、保存したビューを商談間で使い回したりできるため、毎回同じ情報を探し直す時間が減ります。また、次回の電話で確認したい論点、制約条件、キーパーソンの微妙なニュアンスなど、担当者しか持っていない前提をメモや優先事項として残し、エージェントがそれを踏まえて洞察や推奨を出す方向に寄せられます。

2025wave2まででも、Sales Close Agentが商談の状況をまとめ、洞察や推奨を提示する流れはありましたが、画面の見え方は基本的に「用意された内容を読む」方向に寄りやすく、担当者ごとの戦い方に合わせて情報の並べ方や注目点を固定するのは難しい面がありました。その結果、結局は自分のノートや別のツールを併用し、重要情報の置き場が分散する構造が残りがちでした。

2026wave1では、リサーチ画面のレイアウトをパーソナライズし、フォーカス領域や保存ビューを持って商談を横断して使えるようになります。担当者のメモや優先事項を追加し、それが現ステージでエージェントが何を強調するかに影響する前提が入ります。さらに、担当者が持つ商談シグナルや、承認済みのナレッジソースを入力としてつなげられるようになり、ツールを切り替えずに自分の材料を渡したうえで、より関連性の高い洞察と推奨を得やすくなります。一方で、管理者側には、担当者の入力やナレッジソースの扱いにガードレールと承認を設け、パーソナライズが勝手な運用や無秩序な情報投入にならないよう統制する前提が用意されます。

留意点としては、自由度が上がるほど、チームとしての共通言語が崩れないように設計が必要になる点です。担当者が好き勝手にフォーカス領域や用語を増やしすぎると、レビューの前提が揃わず、マネージャーや営業企画が見たい情報と噛み合わなくなります。また、入力できるナレッジソースを広げすぎると、根拠の質がばらつき、推奨の信頼性が下がる可能性もあります。この機能は「好き勝手にカスタムする」ためではなく、「担当者の次の一手に直結する形で洞察を整える」ためのものなので、まずはチーム内で共通のフォーカス領域の型を決め、個人差はその上に最小限で載せる運用にすると安定します。

Strengthen deal guidance through learning and tuning in Sales Close Agent

Sales Close Agentが提示する洞察や次のアクションを、使えば使うほど適切にするための学習ループを導入し、現場のフィードバックをもとにガイダンスを継続的にチューニングできるようにする機能です。ガイダンスが信頼されるためには、商談ステージに合っていて、シグナル変化に追従し、現場の使い方で磨かれていく必要がありますが、その改善を場当たり的な調整ではなく、仕組みとして回せるようにします。

例えば、提示された洞察が「今のステージには合っていない」「情報が古い」「必要な文脈が欠けている」「これは役に立った」といった感覚を、担当者がその場で軽くフィードバックできれば、同じズレが繰り返し起きるのを減らせます。営業企画やマネージャー側も、個別の不満を拾って人力で調整するのではなく、どのタイプのガイダンスがどの理由で外れているのかを傾向として把握し、より効果的な改善につなげられます。

2025wave2まででも、ガイダンスや洞察を提示する機能はあっても、現場の評価を構造化して集め、継続的に改善する仕組みは運用に頼る部分が大きくなりがちでした。結果として、現場は「外れている」と感じてもそのまま使わなくなり、改善の機会が拾われないというループが起こりやすい構造でした。

2026wave1では、担当者が個々の洞察やアクションに対して、役に立ったか、ステージが違うか、古いか、文脈が足りないかといった形で評価・フラグ付けできるようになり、そのシグナルがガイダンス改善に使われます。加えて、ガイダンスが新しい商談シグナルやフィードバックに基づいて更新されたことが見える形になり、なぜ内容が変わったのかが把握しやすくなります。運用側は、シグナル、情報源、ステージ対応、しきい値、ガードレールなどの観点で傾向と推奨される調整を確認でき、ガバナンスと監査履歴を保ちながらチューニングを適用し、関連性やステージ適合の改善度合いを追える前提が入ります。

留意点としては、フィードバックを入れれば自動的に良くなるわけではなく、どの役割がどの基準で評価するかを揃えないと、シグナルがノイズになり得る点です。担当者ごとに「役に立った」の尺度が違うと、改善の方向性がブレます。また、ガバナンスを伴う調整が前提になるほど、誰がどの範囲を調整できるのか、どの変更が許されるのかを整理する必要があります。この機能は「AIを正解にする」ためではなく、「現場のズレを拾って、徐々に外れにくくする」ための仕組みなので、まずは評価基準を簡単に決め、少数の重要な洞察からフィードバックを集めて改善サイクルを回すのが現実的です。

Keep deal insights current with signal‑based triggers in Sales Close Agent

商談に関わる重要なシグナルが変化したときに、Sales Close Agentの洞察や次のアクションを自動的に更新し、常に「今の状況」に合った判断材料を保てるようにする機能です。定期更新を待つのではなく、意味のある変化をトリガーとして反応することで、情報が古くなったまま判断してしまうリスクを減らします。

例えば、顧客とのやり取りで温度感が変わった、主要ステークホルダーが追加・離脱した、スケジュールや金額に関わる前提が動いた、といった変化が起きた場合に、洞察と推奨アクションが即座に更新されます。これにより、会議前やステージ移行の判断時に「実は状況が変わっていた」という見落としを減らし、改めて調べ直す手間も抑えられます。

2025wave2まででも、商談の洞察を更新する仕組みはありましたが、更新タイミングは一定間隔や手動確認に依存しがちで、変化と判断の間にタイムラグが生じる場面がありました。また、より深い背景を知りたい場合は、別の画面やツールに移って確認する必要があり、流れが途切れやすい構造でした。

2026wave1では、管理者が「どのシグナルを重要とみなすか」を定義し、そのシグナルが変わったときにKey Insightsや次のアクションを自動的に再生成するよう設定できます。一方で、すべてを自動更新するのではなく、より深い分析や調査は必要なときだけask-and-refineで要求する設計になっており、更新頻度とコストのバランスも考慮されています。重要な変化には即応しつつ、不要な再生成は抑えるという考え方です。

留意点としては、トリガーに設定するシグナルの選び方が成果を左右する点です。対象を広げすぎると更新が頻発し、逆にノイズが増えますし、絞りすぎると重要な変化を見逃します。また、自動更新された洞察を鵜呑みにするのではなく、「何が変わったから更新されたのか」を確認する前提も重要です。この機能は、商談判断を自動化するものではなく、変化に素早く気づき、判断の前提を最新に保つための仕組みとして捉えると、期待値を合わせやすくなります。

Carry out suggested actions faster and more effectively

提案された次の最適アクションを、より迅速かつ効果的に実行できるようにする機能です。Next Best Actionが、推奨アクションの横に必要なコンテキストや要点を並べて提示し、調べ直しやツール移動を減らしながら、その場でメール送信や会議設定などの実行に移れるようにします。アクションを見つけるだけでなく、実行の摩擦を減らすことに焦点が当たっています。

例えば、担当者が「何をすべきか」は分かっているのに、背景の確認や論点整理に時間がかかってしまい、結局後回しになるような場面に効きます。推奨が「メールを送る」なら、直近のやり取りの要点、重要な関係者、触れるべきポイントが併記され、短時間で自信を持って文章を作りやすくなります。「会議を入れる」なら、会議で確認すべき論点を押さえた状態で設定に移れるため、初動の質とスピードが揃いやすくなります。

2025wave2まででも、アクションの提案や次の一手を促す仕組みはありましたが、実務では「提案を見たあとに、自分でコンテキストを探して組み立てる」工程が残りがちでした。提案を受けても、関連メールや過去の議論、関係者情報を見に行って整える必要があり、ツール間の行き来が増えるほど、実行が遅れたり、途中で止まったりする原因になっていました。

2026wave1では、推奨アクションの実行に必要な情報を同じ文脈で提示し、Dynamics 365だけでなくMicrosoft 365やOutlookなど、担当者が日常的に作業している流れの中で、コンテキストを切り替えずに実行へつなげる方向が強まります。結果として、提案を「読む」から「すぐ動く」へ寄せられ、同じ時間で実行できるアクション数を増やしやすくなります。

留意点としては、実行が速くなるほど「何を自動化し、どこを人が確認するか」の線引きが重要になる点です。コンテキストが提示されても、最終的に送る内容や会議目的の妥当性は担当者の判断が必要です。また、提示される要点の質は、メールや活動履歴、商談レコードの運用品質に依存します。まずは影響が大きいアクション種別(初回フォロー、重要商談の次ステップなど)に絞って運用し、現場の納得感と成果を確認しながら対象を広げるのが現実的ですね。

≪Sales Engagement and Execution≫

Reduce seller friction in Sequences with in-flow email template picker

シーケンスを作成・調整する際に、メールテンプレートの追加や変更で発生していた中断を減らし、流れの中でテンプレートを探して選び、必要ならその場で作成・編集できるようにする機能です。テンプレートを作るためにシーケンスの画面を離れる、どれが適切なテンプレートか探し回る、結局試行錯誤になる、といった摩擦をなくし、日々のアウトリーチを回しながら改善できる状態に寄せます。

例えば、プロスペクティングやフォローアップ、再アプローチのシーケンスを現場の担当者が頻繁に作り替える組織では、テンプレート変更のたびに集中が途切れ、結果として「十分に良いテンプレ」を使い回して改善が止まりがちです。フロー内でテンプレートを探してすぐ差し替えられ、必要ならその場で微修正してすぐ次のステップに適用できると、シーケンスの改善が日常業務の延長として回りやすくなります。営業マネージャーや営業企画が用意した承認済みテンプレートをチームで再利用する運用にも相性が良いです。

2025wave2まででもシーケンスは使えましたが、テンプレートの追加や編集はシーケンス作成の流れから外れやすく、テンプレートの探索性も高いとは言えませんでした。そのため、テンプレートを整える作業が後回しになりやすく、改善の反復が起きにくい構造が残っていました。

2026wave1では、シーケンス内のテンプレートピッカーが刷新され、ビューでテンプレートを絞り込んで探せるようになります。自分のテンプレート、チームのテンプレート、承認済みテンプレートといった切り口で素早く候補を狭められるため、試行錯誤の回数が減ります。さらに、シーケンスの流れの中でテンプレートを新規作成したり既存テンプレートを編集でき、作成・更新したものが即座に選択可能になることで、コンテキストスイッチとやり直しが減ります。

留意点としては、テンプレートの作成や編集が簡単になるほど、ガバナンスと整理が重要になる点です。個人テンプレートが乱立すると探しやすさが逆に落ちますし、承認済みテンプレートの定義が曖昧だと、チームとしてのブランドやコンプライアンスの統一が崩れます。最初はテンプレートのビュー設計と運用ルール(どれを個人、どれをチーム、どれを承認済みにするか)を先に揃え、改善の反復を促すのが現実的だと感じます。

≪Sales Management and Operations≫

Plan your sales portfolio with Sales Research Agent

Sales Research Agentの中で、アカウント、テリトリー、セグメント、パートナーなどを対象に、継続的な営業ポートフォリオ計画を立てられるようにする機能です。年次計画のように一定周期でまとめて作るのではなく、CRMの状況や外部シグナルを踏まえて、常に更新される計画として扱えるようにします。CRMデータだけでなく、目標や予算、利用状況、請求、導入状況といったシグナルや、関連する外部文脈も含めて俯瞰し、意思決定に使える形で整理することが狙いです。

例えば、営業責任者が「どの領域に投資を厚くするか」「どのテリトリーは再配分が必要か」「どのアカウント群はホワイトスペースが大きいか」「どの更新案件は危険信号が出ているか」といった問いに対して、準備のための集計や資料作りに時間を使わず、意思決定とアクション設計に時間を割けるようになります。アカウント担当者視点では、担当アカウントの状況を俯瞰し、伸ばすべき領域、救うべき案件、次に取るべき手を優先度付きで整理できます。カスタマーサクセスやアカウントマネージャーであれば、更新リスクのトリアージと拡張の順序付けを同じ枠組みで扱えるようになります。

2025wave2まででも、ポートフォリオ計画は可能でしたが、実務ではExcelやスライドの集計、CRMの抽出、別データの突合といった作業に時間を取られがちでした。その結果、計画は「作ること」自体が目的化しやすく、状況が変わっても更新されない、あるいは更新が遅れるという課題が残りがちでした。意思決定に必要な情報が揃うまでに時間がかかることで、行動が後手に回る構造になりやすかったと言えます。

2026wave1では、Sales Research AgentのPortfolio Planningとして、CRMデータと各種シグナル、外部文脈を組み合わせたエグゼクティブ向けの俯瞰を自動的に作り、そこから優先順位付きのアクションへ落とせる方向性が強まります。アカウント担当者の俯瞰、失速案件の救出、更新リスクと拡張、テリトリー再配分、セグメントや業界のパフォーマンス評価といった、現場で頻出するシナリオを前提にした計画が回せるようになり、計画を「一回限り」ではなく「継続的な運用リズム」に寄せます。なぜその結論や推奨に至ったのか、どの入力や根拠に基づくのかが追える前提も、運用上の納得感に寄与します。

留意点としては、計画の質は前提データの質に依存する点です。CRMの入力が薄い、商談ステージ運用が形骸化している、目標や予算、利用状況などのシグナルが整備されていない場合、出てくる俯瞰は意思決定に耐えにくくなります。また、アクションをランキングして提示できるほど、組織としての優先順位の軸(成長重視か、リスク低減重視か、どの指標を最優先にするか)を揃えておく必要があります。この機能は「計画を勝手に正解にする」ものではなく、「計画を更新し続けられる形にし、判断と行動に集中できる状態を作る」ための仕組みなので、まずは対象領域を絞り、運用で回る問いから始めて、成果と負担を見ながら広げるのが現実的だと感じますね。

Get sales operations insights in Sales Research Agent

ビジネスリーダーや営業企画が日常的に直面する「パフォーマンス」「カバレッジ」「達成」「リスク」といった問いに対して、散在したデータを手で集めて突合するのではなく、Sales Research Agentの中でCRMと運用データを一つの体験に統合し、素早く判断材料を作れるようにする機能です。Dynamics 365 Salesの商談、パイプライン、予測、アカウント、活動などに加えて、目標、クォータ、予算、計画収益、実績、請求収益、バックログ、運用指標なども組み合わせ、必要ならスプレッドシートなどの補足データも取り込んで分析できます。

例えば、週次や月次のレビューで「目標に対する達成状況はどうか」「パイプラインの厚みは十分か」「予測と実績と請求のズレはどこにあるか」「どこに収益リスクが潜んでいるか」を毎回Excelで作り直している組織に効きます。CRMの状況と運用・財務の状況を同じ枠組みで見て、論点を揃えたうえで意思決定に移れるため、集計作業に時間を使うのではなく、打ち手の検討に時間を回しやすくなります。

2025wave2まででも、CRM側のレポートやBI、各部門が持つスプレッドシートを使って同様の分析は可能でしたが、データが別の場所にある以上、エクスポートや突合、カスタムレポート作成が前提になりやすく、意思決定が「資料作りの速度」に引きずられる構造が残りがちでした。結果として、分析が遅れ、特定の担当者に依存する、という状況が起こりやすくなります。

2026wave1では、Sales Research Agentの営業オペレーション向けの機能として、CRMと運用データ、補足ファイルを横断して統合分析できるようになり、よくある運用上の問いに答えるための洞察を同じ流れで扱えるようになります。目標やクォータに対するパフォーマンス、収益目標に対するパイプラインカバレッジ、予測・実績・請求の差異、運用リスクと収益リスクの特定などを一つの体験にまとめ、必要に応じて自然言語で追加の問いを投げて深掘りできる前提になります。

留意点としては、統合できるほど前提データの整備が重要になる点です。CRM側の入力が薄い、目標や予算の管理が別形式で乱立している、実績や請求の定義が部門でズレていると、統合しても議論がまとまりにくくなります。また、補足ファイルを取り込める分、最新版管理や数字の正本をどこに置くかを決めないと、便利さが逆に混乱につながります。この機能は「分析を自動で正解にする」ものではなく、「散らばったデータをまとめ、判断に使える速度にする」ための仕組みなので、まずは運用上の共通指標(目標、予算、実績、請求、予測の定義)を揃え、対象領域を絞って回しながら広げるのが現実的な方法でしょうね。

Connect Fabric lakehouse data to AI‑powered sales research

Microsoft Fabricのlakehouseにある運用・財務データを、Dynamics 365 SalesのAIを活用したリサーチ体験(Sales Research Agentなど)にそのまま取り込み、CRMデータとあわせて横断分析できるようにする機能です。売上実績、目標、予算、請求、バックログといった情報をSales側に複製するのではなく、lakehouseのデータを参照しながら、パイプラインと実績の両方に基づいた意思決定をしやすくします。

例えば、営業企画や営業責任者が「パイプラインはあるが達成が危ないのはどこか」「予測と実績と請求の差分は何が原因か」「目標に対するカバレッジが足りないのはどの領域か」といった問いを扱うときに効きます。これまではCRMの数字と実績の数字が別の場所にあり、Excelで突合してから議論に入るケースが多かったところを、リサーチ体験の中で同じ文脈として扱えるようになります。準備のための集計時間を減らし、判断と打ち手に時間を割きやすくなります。

2025wave2まででも、lakehouse側のデータをエクスポートしてCRM側のレポートに混ぜる、あるいはBIで統合して見せるといった方法で同様の目的は達成できましたが、データ移動や複製が前提になりやすく、更新のタイムラグや「どの数字が正本か」の管理が課題になりがちでした。結果として、分析はできても運用が重く、意思決定が資料作りの速度に引きずられる構造が残りやすい状況でした。

2026wave1では、Fabric/OneLakeのlakehouseテーブルに手動エクスポートやデータ複製なしで接続できるようになり、AIがDynamics 365 Sales(Dataverse)とlakehouseのデータをまとめて照会・推論できる前提が入ります。運用・財務データセット(売上実績、目標と予算、請求とバックログなど)をリサーチ体験に取り込み、営業と営業オペレーションの洞察を同じ体験の中で扱えるようになります。複数ソースの営業分析を成り立たせるための基盤レイヤーが整う、という位置付けです。

留意点としては、接続できても「何を正本とし、どの粒度で見るか」を揃えないと議論がまとまりにくい点です。目標や実績の定義、期間の切り方、通貨や勘定の扱いが部門でズレていると、統合できたぶんだけ差分が露出して混乱する可能性があります。また、lakehouse側のメタデータ(テーブル名や列名、意味付け)が分かりにくいと、AIの推論の質が落ちやすくなります。この機能は分析を自動で正解にするものではなく、散らばったデータを同じ場で扱えるようにして判断までの時間を短縮する仕組みなので、最初は対象データセットと問いを絞り、共通指標の定義を固めながら段階的に広げるのが現実的です。

≪Seller Experiences≫

Get integrated inbound and outbound calling with Sales Hub dialer

Sales Hubの中に通話体験を組み込み、発信と着信の両方を、CRMの文脈を失わずに扱えるようにする機能です。アプリを切り替えずに発信、着信対応、顧客履歴の確認、メモ、会話インテリジェンスの取り込みまでを一つの流れで行えるようにし、担当者が「話すこと」に集中できる状態を作ります。

例えば、電話が多い営業ほど「通話は別アプリ、メモは別、CRM更新は後で」という分断が起きやすく、結果として履歴が残らない、次の打ち手が曖昧になる、引き継ぎが弱くなる、といった問題が起きがちです。Sales Hubダイヤラーが組み込みになることで、連絡先、リード、商談、アカウントの画面からそのまま発信でき、着信時も顧客の突合と文脈がすぐ出るため、会話の入口がスムーズになります。通話中のメモや、会話の要約・文字起こし・感情・アクション項目・主要トピックなどが扱える前提があるため、通話後の「思い出して記録する」負担も減らしやすくなります。

2025wave2まででも、クリックして発信する仕組みや外部の電話基盤、Teams連携、録音・文字起こしといった要素は環境や構成によって実現できましたが、現場視点では「どの画面で何が残るのか」「通話ログと商談の紐づきが揃うのか」「通話のたびに作業が増えないか」が課題になりやすく、統合感は運用に依存しがちでした。結果として、使う人ほど手間が増え、データが残らないという矛盾が起こるケースもあり得ました。

2026wave1では、Sales Hub内のネイティブな通話パネルとして、発信・着信を一体で扱える方向が強まります。電話番号のクリック発信や手動ダイヤルに加え、着信時の通知と顧客突合、通話の自動ログ化(着信/発信、通話時間、関連レコードなど)、ミュートや保留、転送といった基本操作が一つの画面に集約されます。さらに、会話インテリジェンスとしてリアルタイムや通話後の要約、文字起こし、センチメント、アクション項目、主要トピック、録音と再生、話者分離や洞察へのジャンプといった扱いが前提に入り、通話を「その場限り」にしない運用に寄せられます。

留意点としては、通話が統合されるほど、ログの品質と統制が重要になる点です。自動で通話が保存されると、記録は増えますが、紐づきが曖昧なままだと後で探せないデータが増えます。どのエンティティに紐づけるのか、誰がいつ補正するのか、録音や文字起こしの扱いをどう統制するのかは、組織のコンプライアンスと運用ルールに依存します。また、会話インテリジェンスの出力は万能な議事録ではないため、重要な合意や条件は担当者が確認して記録に落とす前提を残した方が安全です。最初は対象チームや対象プロセスを絞って導入し、ログの紐づきと運用が回る形を作ってから展開を広げるのが現実的です。

Improve opportunity data completeness with AI-powered data enrichment

商談データが不完全だったり古かったりすることで、詳細の追いかけに時間が取られ、予測やレビューの精度が落ちるという課題に対して、実際の顧客接点から得られる情報をもとに、欠けている情報を埋めるための提案を自動で受け取れるようにする機能です。メール、会議、サードパーティのコネクタなど複数のソースから関連するシグナルを拾い、商談レコードを正確かつ最新の状態に保つ方向に寄せます。

例えば、商談が進んでいるのにCRMの見込みクローズ日や金額、前提条件が更新されず、週次レビューのたびに「結局どうなってる?」から始まる状況に効きます。顧客との実際のやり取りに基づいて、埋めるべきギャップが提示されるため、担当者は「どこが欠けているか」を探す作業を減らし、判断と打ち手に時間を回しやすくなります。結果として、パイプラインの健全性に対する信頼を上げ、取引レビューを短時間で焦点を絞って進めやすくなります。

2025wave2まででも、AIを使ってメールなどから商談情報の欠けやズレを見つけて更新案を出す方向はありましたが、主にメール中心の文脈に寄りやすく、運用上は「どの範囲まで自動で拾って更新に使うか」を組織側で整理する必要がありました。

2026wave1では、データエンリッチメントが複数ソースを前提に整理されます。サードパーティのデータコネクタから、既存のライセンスを使って運用・財務系のエンリッチメントデータを直接取り込み、欠けている商談情報を探すためにツールを手動で横断する負担を減らします。Microsoft Teams通話や録画会議から取引コンテキストを抽出する会議インテリジェンスにより、メールだけでなく口頭のやり取りも材料にできるようになります。英語以外の言語の会話にも対応する前提が示されており、グローバルチームでも同じ品質改善を狙えます。さらに、Sales Close Agent – Researchの設定フローの中でデータエンリッチメントを有効化できるため、複数のAI機能を別々に管理するのではなく、統合された導入・運用に寄せています。

留意点としては、どの情報を「商談の正」とするかを揃えないと、提案が増えた分だけ混乱する可能性がある点です。会議やメールから拾える情報は便利ですが、最終合意ではない途中経過も混ざり得るため、重要項目は担当者が確認して確定させる前提が安全です。また、サードパーティのコネクタや会議インテリジェンスを使うほど、どのソースをどの優先度で採用するか、権限やコンプライアンスの扱いをどうするかが運用の要になります。この機能は商談更新を完全に自動化するものではなく、更新漏れを減らして判断速度を上げるための仕組みとして、まずは対象項目と対象チームを絞って回し、精度と負担を見ながら広げるのが現実的です。

Close deals faster with AI‑powered opportunity summaries in Sales Agent

Sales Agentが商談(Opportunity)について、CRMのレコード情報だけでなく、メールや会議、Microsoft 365のコラボレーション上のシグナルも含めて統合し、ひとつの画面で「今の状況」と「次にやるべきこと」を即座に把握できるようにする機能です。商談の概要を、意思決定に使える構造化された形式で自動生成し、アクション項目は担当者と期限を含めて整理されるため、状況把握と実行が同じ流れで回ります。

例えば、商談レビューの直前に状況を取り直す場面や、複数商談を並行して追っていて「前回から何が動いたか」を短時間で把握したい場面に効きます。商談の要点、直近の顧客エンゲージメント、見積や製品に関わる情報、競合の気配、未解決の質問やリスク、阻害要因などが整理され、次のアクションは担当者と期限付きで提示されるため、会議の準備やリーダーへの共有を短時間で行いやすくなります。

2025wave2まででも、商談の情報はCRM、メール、会議、メモなどに散在しがちで、担当者はそれらを自分で拾い集めて「今の状況」をまとめ直す必要がありました。そのため、商談の理解が担当者の記憶や準備時間に依存し、重要なシグナルの見落としや、更新共有の遅れが起きやすい構造が残りがちでした。

2026wave1では、Sales Agentが商談ごとの統合サマリーを生成し、商談レコードの情報と顧客エンゲージメントの両方をひとつの「アクション対応ビュー」として提示します。次のステップ、リスク、阻害要因、オープンな質問、担当者などを抽出して、単なるステータス要約を超えた実行向けの洞察に落とします。さらに、自然言語で「リスクに絞って」「顧客の温度感を中心に」「競合の情報だけ」など、焦点を変えた絞り込みも同じ体験の中で行えます。運用側は、サマリーの構造や焦点を調整し、組織の営業プロセスに合わせられる前提も用意されます。

留意点としては、統合サマリーが便利になるほど、元データの品質と運用ルールが成果を左右する点です。商談レコードの更新が遅い、活動の紐づきが曖昧、メールや会議の記録が揃っていない場合、サマリーの質も不安定になりやすくなります。また、アクション項目が自動で整理されても、最終的な合意事項や条件は担当者が確認して確定させる前提が安全です。サマリーの焦点を組織で揃えるためには、運用側が「標準の見方」を先に用意しておくと、現場が迷わず使いやすくなります。

Streamline Quick Campaigns for confident, one-time bulk email outreach

クイックキャンペーンでの「一度きりの一括メール送信」を、より速く、ミスなく、自信を持って実行できるようにする改善です。会議後のフォローアップ、イベントやウェビナーのまとめ、ポリシー更新、単発の告知など、販売者主導で素早く多人数に送る用途を前提に、手順の多さやテンプレート運用の硬さ、送信前の不安を減らし、Dynamics 365の中で完結しやすくします。

例えば、展示会後の参加者フォローで「お礼+資料リンク」を一括で送る、価格改定やサポート更新の連絡を対象顧客へ一斉に送る、といった場面で効きます。これまではウィザードが長く、テンプレート編集のためにフローを抜けたり、送信前に正しく表示されるか不安でやり直したりして、結局Outlookで手作業に戻ることがありました。今回の改善は、その“戻り”を減らし、Salesの実行スピードを維持する方向です。

2025wave2までのクイックキャンペーンは、複数の一括アクティビティ(メール、タスク、予定、電話)を扱える一方、一括メールは特に手順が多く、テンプレートが硬く、変更が面倒で、送信前に確信を持ちにくいという課題が残りがちでした。そのため、現場では「一度きりの送付」ほど外部ツールに逃げやすい構造になっていました。

2026wave1では、一括メール作成の体験を中心に、クイックキャンペーンの流れが簡略化されます。マルチステップのウィザードは不要な手順が削られ、単一の作成画面の中で作成→確認→送信までを少ないクリックで進められるようになります。テンプレートはフロー内で作成・編集でき、作った直後のテンプレートもすぐに選べるようになるため、途中で画面を抜けてやり直す負担が減ります。テンプレート選択も探しやすくなり、自作、共有、承認済みといった切り口で素早く絞り込みできます。さらに、共有テンプレートを上書きせずに送信固有の編集(挨拶文、動的テキスト、署名など)を加えられるため、「この送信だけ少し変えたい」が安全にできます。テンプレートを作らずに、リッチテキストや動的テキスト、署名を使って一括メールをゼロから作ることもできるようになります。加えて、最終的にレンダリングされたメールを画面内でプレビューし、テスト送信で書式やパーソナライズを検証できるため、送信前の不安とやり直しを減らせます。

留意点としては、一括送信が手軽になるほど、誤送信・対象選定ミス・コンプライアンス違反のリスクが相対的に上がる点です。プレビューやテスト送信で確認できるとはいえ、対象リストの条件やテンプレート運用(承認済みの定義、禁止表現、署名や差し込み項目のルール)を組織として揃えておかないと、手軽さが事故につながります。また、テンプレートを「作らずに書ける」分、個人運用が増えすぎるとブランドや文体の統一が崩れやすくなります。まずは承認済みテンプレートの整理と、送信固有編集で許容する範囲を決めたうえで、単発送信のスピードと統制の両立を狙うのが現実的です。

D365 Salesよ、君はどこに向かっているのかい?

Dynamics 365 Sales 2026 wave 1を通して見えてくるのは、営業を「入力して管理する仕事」から、「判断して前に進める仕事」へと静かに引き戻そうとする強い意志です。今回のアップデートには、目を引く派手な新画面や分かりやすい機能追加はほとんどありません。しかしその代わりに、営業が日々直面している迷い―何を優先すべきか、どの変化に気づくべきか、次に何をすべきか―に対して、判断のための材料と視点を揃える仕組みが丁寧に積み重ねられています。

Sales Research Agentによる問い起点の分析、Sales Qualification Agentによる初動の質の標準化、Sales Close Agentによる差分重視のガイダンスと学習ループ、Next Best Actionによる優先順位の一本化。これらは営業を自動化するための機能ではなく、営業が考える時間を「探す」「読み直す」「組み立て直す」作業から解放し、本来向き合うべき判断と対話に集中させるための補助線です。Microsoftは一貫して、最終判断を AI に委ねてはいません。更新案は提示されても決めるのは人であり、優先順位は示されても鵜呑みにする前提ではなく、過去のパターンも材料として差し出されるに過ぎません。だからこそ今回のwave 1は、入れれば成果が出る即効薬ではなく、営業の運用、判断軸、ステージ設計、データの持ち方までを見直す覚悟がある組織ほど真価を発揮します。

Dynamics 365 Salesは今、CRMを「営業を記録する場所」から、「営業が考えるための土台」へと変えようとしています。それは AI 化でも自動操縦でもなく、営業という仕事をもう一度、思考と判断の仕事として取り戻すための進化です。

次回予告|Dynamics 365 Customer Service 2026 wave 1-顧客対応は、「対応の仕事」から「判断の仕事」へ

Dynamics 365 Sales 2026 wave1を通して見えてきたのは、営業という仕事が「入力や処理」から「判断と次の一手」へと軸足を移しつつある姿でした。
では、その変化は顧客対応の現場ではどう現れるのでしょうか。
次回はDynamics 365 Customer Service 2026 wave1を取り上げ、問い合わせを速く捌くためのシステムから、顧客との関係性や判断を支える基盤へと変わろうとしているCustomer Serviceの現在地を見ていきます。
AIはオペレーターや管理者の仕事にどこまで寄り添い、どこまで踏み込もうとしているのか。Salesで起きている変化と地続きの視点で、Customer Serviceの進化を室長なりに読み解いていく予定です。どうぞ次回もお付き合いください。

それでは、今日はこのくらいで。Let’s Enjoy our DX365 Life!

dx365jp
  • dx365jp
  • 24年ほど、Microsoft Dynamics ERP(NAV/AX)+CRMの導入コンサルティングに従事し、日本を含む34か国において導入コンサルティングを経験してきました。グローバル環境における“プロジェクト”と“マーケティング”を生業としております。

    最近は、【CRM/MKTG(攻めのDX)⇔ ERP(守りのDX)】+【ローコード】というDX365な活動に奮闘中です。Microsoft Dynamics 365 ビジネスで地球を90周中です。#DX365 #DynamicsIoT

    Microsoftの運営する外部技術者グローバル組織「Microsoft MVP(*日本165名/世界3023名)・ Microsoftのトラスティッドアドバイザーである「Microsoft Regional Director (*日本4名/世界189名)」として、複数のITコミュニティーにて活動中。(*2022/07/06時点)

    プロフィールはこちら→bit.ly/Dynamics365JP