Dynamics365 2025 wave2_ContactCenter

こんにちは。室長こと、吉島良平(Microsoft MVP for Business Applications| Microsoft Regional Director) です。皆さま、お元気にお過ごしでしょうか?
今日は日曜日で会社がお休みだったので、午前中に紙をつくる仕事を終えて、午後からBlogを書いていました。先ほどDynamics 365 SCM 2025 wave2の記事を公開しました。秋にはOASIS先生が来日されるので、Spotifyで公開されているワールドツアーライブのセトリを聴きながら、ご機嫌にパチパチしているそんな日曜日となっております。来週もバタバタと忙しそうなので、今日はもう一つ。このシリーズでは9個目になるDynamics 365 2025 wave2 Contact Centerについて、Microsoft Learnの公開情報をもとに室長の理解で解説していきたいと思います。
D365 Contact Centerよ、君はどこに向かっているのかい?
2025年10月から2026年3月にかけて提供される「Dynamics 365 Contact Center 2025 Wave 2」では、Copilotを中心としたAI機能の強化により、顧客対応の質と効率が大きく向上する予感がします。リリース計画を確認したところ、今回のアップデートでは『CopilotとAI のイノベーション』『オムニチャネル顧客体験』『サービス担当者の体験向上』『インテリジェントなルーティング』『ワークフォースエンゲージメントマネジメント』が主要な改善領域になるようです。詳細を確認したところ、このリリースは、単なる機能追加ではなく、【AIによるサービスの再定義】を実現するという製品チームの強い意志を個人的に感じました。
Copilotが顧客対応を再定義する|Dynamics 365 Contact Centerが描く新たなCXのカタチとは?
≪Copilot and AI Innovation≫
CopilotとAIが創る:自律型コンタクトセンターの未来
顧客の問い合わせ意図(Intent)をAIが自動的に認識し、適切なセルフサービスへ誘導します。これにより、FAQやチャットボットだけでなく、複雑な処理も全自動・半自動で対応可能となり、人手を介さずに問題解決できるケースが増加していく可能性がでてきました。
チャットや音声通話において、リアルタイム翻訳の精度と速度が向上。多言語対応が求められるグローバル企業にとって、顧客とのスムーズなコミュニケーションが可能になり、言語の壁を越えたサービス提供が実現していくでしょうね。確かに最近日本語⇔多言語の翻訳の精度がかなり向上してきたように感じます。
新たに登場する「Customer Intent Agent(顧客対応を行う自立型エージェント)」は、顧客の意図を深く理解し、複雑な問い合わせにもAIが自律的に対応します。従来は人間の判断が必要だったケースでも、AIが適切なアクションを選択し、迅速かつ正確な対応を可能にします。
チャットやWebチャネル上で、顧客からのフィードバックをリアルタイムで収集・分析する「Feedback Agent」が導入されるようです。これにより、サービスの質を即座に把握し、改善アクションを迅速に実施できるようになります。
このように、Copilotが単なる支援ツールから、“顧客の問い合わせ内容から意図を読み取り、最適な対応を自律的に行うエージェント”へと進化していることが確認できます。Dynamics 365 2025 wave2全体においても大注目の領域といっても過言ではないでしょう。
≪IVR(Interactive Voice Response) Capabilities≫
IVRが文脈を理解する時代へ:SIP Xヘッダー対応で顧客体験が進化
従来のIVR(Interactive Voice Response)は、顧客が電話で選択したメニューや入力した情報を、次の対応者にうまく引き継げないことが多く、結果として「最初から説明し直す」ような体験を生んでいました。今回のアップデートでは、SIP(Session Initiation Protocol)におけるXヘッダーのサポートが追加され、こうした課題に対する大きな一歩が踏み出されます。
この新機能により、IVRで収集した顧客の選択情報や入力内容などの「文脈(コンテキスト)」を、通話の次のステップにそのまま転送できるようになります。たとえば、顧客が「製品Aの技術サポート」を選択した場合、その情報はSIP Xヘッダーに含まれ、オペレーターやAIエージェントが受け取ることで、会話の流れを途切れさせることなく対応を再開できるのです。
この機能は、顧客体験の質を高めるだけでなく、オペレーターの対応効率も向上させます。顧客が繰り返し説明する必要がなくなることで、顧客側のストレスが軽減され、企業側も対応時間の短縮や満足度向上といったメリットを享受できます。
SIP Xヘッダーによるコンテキスト転送は、IVRが単なる音声ナビゲーションから、“文脈を理解し、つなぐ”スマートなゲートウェイへと進化する象徴的な機能だと言えるでしょう。コールセンター業務の現場や管理者の皆様にとっては、非常に有益な新機能だと思います。
≪Omnichannel Customer Experiences≫
すべてのチャネルがつながる顧客体験:Omnichannelの新たな可能性
プロアクティブエンゲージメントの成果を可視化することで、顧客との事前接点がどれほど効果的だったかを定量的に把握できるようになりました。たとえば、リマインド通知やキャンペーン案内が実際にどれだけの顧客アクションにつながったかを分析できるので、マーケティングやカスタマーサクセス部門は、施策の改善に向けた具体的なインサイトを得ることができるようになります。
プロアクティブエンゲージメントの設定がより柔軟になり、チャネルの選択、配信タイミング、対象顧客のセグメントなどを細かく調整できるようになるようです。これにより、顧客の行動履歴や属性に応じたパーソナライズされたアプローチが可能となり、エンゲージメントの質と成果が大きく向上するはずです。
商業目的でのプロアクティブなアプローチにおいて、特定の担当者(representative)を指定して顧客に連絡できるようになるようです。これにより、顧客は「誰からの連絡か」を明確に認識でき、信頼感や応答率の向上につながります。特に営業やアカウントマネジメントの現場では、担当者ベースの関係構築がより強化されます。
リッチメディアメッセージ(画像、動画、リンクなど)を複数のチャネルで活用できるようになるようで、顧客とのコミュニケーションがより視覚的かつインタラクティブになりました。テキストだけでは伝わりにくい製品情報や手順案内も、視覚的なコンテンツを通じて直感的に伝えることができ、顧客満足度の向上に寄与していく事は間違いないでしょう。
PSTN(公衆電話網)番号への安全なコンサルティングや通話転送、IVRとの連携が強化され、通話のセキュリティと柔軟性が大幅に向上されるようです。これにより、従来の電話チャネルでも、クラウドベースのコンタクトセンターと同等の高度なルーティングやエスカレーションが可能となり、ハイブリッドな運用が実現します。
Application Insightsを活用することで、ワークアイテム(顧客対応案件)や担当者のライフサイクルをリアルタイムでモニタリングできるようになるとのことです。これにより、対応の遅延やボトルネックを早期に発見し、運用の最適化やサービスレベルの維持・向上に役立てることが可能となるでしょうね。
過去に終了した会話を再表示できる機能が追加され、顧客との継続的な対話や履歴の確認がよりスムーズになるようです。顧客が再度問い合わせを行った際にも、過去のやり取りを踏まえた対応が可能となり、より一貫性のある顧客体験を提供できますね。
データマスキング機能により、チャットや通話中に取り扱う個人情報を自動的に隠すことができ、顧客データの安全性とプライバシー保護が強化されるようです。特に金融や医療などの高セキュリティが求められる業界において、コンプライアンス対応と顧客信頼の両立を実現する重要な機能です。
このように、Omnichannel Customer Experiencesの進化は、単なるチャネル統合にとどまらず、顧客との関係性を深め、信頼と効率を両立するための基盤強化に直結しています。
≪Service Representative Experiences≫
サービス担当者の体験を再設計する:AIと音声技術で変わる日常業務
2025年10月から2026年3月にかけて提供が予定されている「Service Representative Experiences」では、サービス担当者の業務効率と対応品質を向上させるための複数の機能が導入される見込みです。AIによる意図解析、音声品質の向上、プレゼンス管理、インボックスの最適化など、日々の業務に直結する改善が多数含まれており、担当者のストレス軽減と顧客満足度の向上を同時に実現する可能性があります。ただし、これらの機能は現在リリース前の段階であり、仕様や提供時期が変更される可能性もあることに留意が必要です。
AIによる高度な音声処理技術により、通話中の背景ノイズや環境音をリアルタイムで除去できるようになるとされています。これにより、在宅勤務や騒がしい環境でも、顧客との会話がクリアに保たれる可能性があります。現時点では、どの程度のノイズに対応できるかは明確ではありませんが、通話品質の向上に寄与することが期待されています。
AIが顧客の発言や入力内容から意図を解析し、それに最も適したスキルや役割を持つ担当者へ会話を転送することで、対応の精度とスピードが向上すると見込まれています。初回対応での解決率向上が期待されますが、意図解析の精度や対応範囲については今後の実装状況により変動する可能性があります。
複数の担当者が関与する通話において、特定の担当者を一時的に保留にし、他の対応を進めることが可能になるとされています。これにより、複雑な問い合わせや部門間連携の柔軟性が高まると考えられていますが、保留中の音声処理や通知方法などの詳細はまだ確定していないようです。
担当者のステータス(対応中、離席中、待機中など)を自動的に更新する機能が強化され、ルーティングや対応の効率化に寄与するとされています。特に複数チャネルを同時に扱う環境では、対応漏れや遅延の防止に役立つと期待されていますが、プレゼンスの更新頻度や条件設定については今後の仕様次第となる可能性がありますので注意しましょう。
受信したメッセージや案件を一元管理できるインボックスに、優先度の自動分類、返信テンプレート、通知の最適化などの機能が追加されるとされています。これにより、担当者はより効率的に対応を進めることができるようになる見込みですが、UIの変更や既存機能との互換性についてはまだ不明な点もありますね。
顧客の問い合わせ内容に応じて、適切なチームや待機キューに対して相談を行うことが可能になるとされており、複雑な案件の処理や部門間連携がスムーズになることが期待されています。ただし、意図解析の精度やキューの構成方法については、導入後の調整が必要になる可能性があると思います。
AIが問い合わせの文脈を理解し、最適な社内担当者を特定して相談を開始することで、対応の質とスピードが向上するとされています。社内ナレッジの活用が促進されると期待されますが、ユーザー選定のロジックや社内権限との整合性については、今後の実装状況に依存する可能性があります。
通話開始前にマイクやスピーカーの状態を確認することで、音声トラブルを未然に防ぎ、スムーズな会話開始を支援する機能が導入されるとされています。特に初回対応や重要な商談において、品質の安定化に寄与すると考えられていますが、チェック項目の範囲や通知方法についてはまだ確定していないようですね。情報が公開されていないだけかもしれません。
サービス担当者の業務体験を「静かな環境」「正確なルーティング」「効率的な操作」へと導く、現場の生産性と顧客満足度を同時に高めるための進化が感じられますね!
≪Unified Routing≫
ルーティングの精度と柔軟性を高める:Unified Routingの次なる進化
Unified Routingは、顧客対応の効率と精度を高めるための中核機能として、2025 Wave 2でさらなる強化が予定されています。今回のアップデートでは、コンサルティング時の担当者選定の自動化と、対応能力(キャパシティ)管理の精緻化に焦点が当てられています。これにより、複雑な問い合わせや部門間連携がよりスムーズになり、対応の質とスピードの両立が可能になると期待されています。ただし、これらの機能は現在リリース前の段階であり、仕様や提供時期が変更される可能性があることに留意が必要です。
本機能は、顧客対応中に別の担当者へ相談(コンサルティング)を行う際、AIが問い合わせ内容や顧客の意図を解析し、最適な担当者を自動的に選定することを可能にするとされています。これにより、担当者が手動で候補を探す手間が省かれ、対応のスピードと精度が向上する可能性があります。ただし、選定ロジックの透明性や、スキルマッチングの精度については、今後の実装状況により変動する可能性があります。
本機能は、担当者がコンサルティング対応に入る際、その時間帯の対応能力を他の案件に割り当てないようにすることで、リソースの過負荷を防ぎ、安定した対応品質を維持することを目的としています。これにより、複数案件を同時に抱える担当者の負担が軽減され、対応の集中度と成果が高まると期待されています。ただし、キャパシティのブロック条件や優先順位の設定については、運用ポリシーに応じた調整が必要になる可能性があります。
Unified Routingが「単なる振り分け」から「文脈とリソースを考慮したインテリジェントな配分」へと進化していこうとしていることが見て取れますね。
≪Workforce Engagement Management≫
人の判断がAIを補完する:予測モデルに対するスーパーバイザーの裁量強化
Workforce Engagement Managementの領域では、AIによる予測モデルの活用が進む一方で、現場の知見や状況判断を反映できる柔軟性も求められています。今回のアップデートでは、スーパーバイザーがAIによって生成された予測値を手動で上書き(オーバーライド)できる機能が追加される予定です。これにより、モデルが捉えきれない突発的なイベントや業務上の例外に対して、人間の判断で対応できる余地が広がると期待されています。ただし、この機能の具体的な操作方法や制限条件については、今後のリリースで明らかになる可能性があります。
本機能は、AIが自動的に算出した業務量や人員配置の予測に対して、現場の責任者が独自の判断で数値を調整できるようにするものとされています。たとえば、AIが通常のトレンドに基づいて「月曜日は対応件数が少ない」と予測したとしても、スーパーバイザーが「新製品リリース直後で問い合わせが急増する」と判断した場合、その予測を上書きしてより現実的なスケジューリングを行うことが可能になる見込みです。この機能は、AIの予測精度が高まる一方で、現場の直感や経験を排除しない設計思想に基づいていると考えられます。ただし、どの程度の予測項目が上書き可能なのか、また上書き後の影響範囲(他のスケジュールやKPIへの反映など)については、今後の仕様によって変わる可能性があります。
この機能は、AIと人間の協働による意思決定を支援するものであり、「完全自動化」ではなく「現場に寄り添う自動化」を目指すMicrosoftの姿勢を象徴するものと考えていいでしょう。
D365 Contact Centerよ、君はどこに向かっているのかい?
2025 Wave 2のリリース計画を通じて見えてきたのは、Dynamics 365 Contact Centerが「AIによるサービスの再定義」を本格的に目指しているということです。単なる機能追加ではなく、顧客対応の在り方そのものを変革するための基盤整備と思想的な転換が進められているように感じられます。室長的には、D365 Contact Centerは「AIと人間の協働による、文脈重視の顧客体験設計」へと向かっているという結論です。単なる技術進化ではなく、顧客対応の哲学そのものを再構築する試みだと感じます。AIが主導する自律的な対応と、人間の判断が活きる柔軟な運用が融合することで、“顧客にとっても、担当者にとっても快適なコンタクトセンター”が実現されていくのではないかと期待しています。
次回予告:AIが“神対応”を標準化する|Copilot が導く顧客対応の新常識
Dynamics 365 Contact Center 2025 Wave 2のリリース計画からは、AIと人間の協働による顧客対応の再設計という、Microsoftの明確な方向性が見えてきました。Copilotを中心とした機能群は、業務効率だけでなく、顧客体験そのものの質を高めるための重要な要素となりつつあります。
次回のDX365Life Blogでは、「Dynamics 365 Customer Service 2025 Wave 2」に焦点を当て、サービス部門におけるAI活用、ケース管理の高度化、エージェント体験の向上など、リリース予定機能をもとにその進化の方向性を読み解いていく予定です。是非ご期待ください♪
それでは、今日はこのくらいで。Let’s Enjoy our DX365Life!
