Agentic AI時代のOperating LayerとOperating Principles | Technosoft FY27 Leaders Summit、ジョグジャカルタより

こんばんは。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
“室長”こと吉島良平(Microsoft MVP for Business Applications | Microsoft Regional Director)です。
今日、2026年7月31日。このブログを書いているのは、ジャカルタのプルマンセントラルパークホテルの一室から。
今日は、私が所属するTechnosoftの創業から、ちょうど30年という節目の日です。
私はインドネシア・ジョグジャカルタで3日間のFY27 Leaders Summitを終えたばかりです。
そんな節目の日に、今日はその話を書こうと思います。
Let’s Enjoy our DX365Life!
ジョグジャカルタへの道のり
正直に言うと、今回の移動はなかなか激しかったです(笑)。
日曜日に日本を出発し、ジャカルタのホテルに到着したのは夜中の25時15分—つまり翌月曜の1時15分過ぎです。そして翌朝5時に起き、7時50分発の便でジョグジャカルタへ向かいました。移動だけでほぼ丸一日が消えていく。それがアジアを跨ぐ仕事の現実ですが、今回は少しばかりリミットを超えていました。
ジョグジャに到着してまず向かったのは、ボロブドゥール寺院です。チームメンバー全員と合流し、世界遺産の寺院を訪れたあと、一緒にランチを取り、そのままLeaders Summitの会場となるPlatran Heritage Borobudurホテルへ。翌火曜日(7/28)のサミット開幕に備えて、この日のうちに全員が揃いました。

ボロブドゥール寺院は、9世紀に建てられた世界最大の仏教寺院です。ユネスコの世界遺産にも登録されており、火山灰の下に長い間眠り続け、19世紀になってようやく再発見・修復されたという歴史を持っています。
あの場所には、504体もの仏像が静かに鎮座しています。上層の円形テラスには72基のストゥーパが並び、格子越しにその姿がうっすらと見える仏像たちは、それぞれ異なる印を結んでいます。
根拠があるわけではないのですが、その光景を眺めながら、ふとこんなことを思いました。「それぞれの仏が、ここで何かを相談しながら決めていったのかな」と。これから始まる3日間、世界各地のリーダーたちが同じ場所に集まり、ああでもないこうでもないと話し合い、答えを極めていく—その絵が、少しだけ重なった瞬間でした。
ジョグジャカルタ(通称「ジョグジャ」)は、インドネシア・ジャワ島の中央部に位置する街です。ジャカルタからは飛行機でおよそ1時間。この街には、インドネシアの人々にとって特別な歴史があります。1946年から1949年にかけて、オランダ軍の占領下にあったジャカルタ(当時のバタビア)に代わり、インドネシア共和国の首都として機能した場所—それがジョグジャカルタです。独立運動の精神的な拠点として、スルタン・ハメンクブウォノ9世が独立を強く支持し、その宮殿(クラトン)を中心にインドネシアの未来が語られた歴史的な地でもあります。

今もスルタンが統治するクラトンを中心に、バティック(ジャワ更紗)の工房や伝統的なワヤン(影絵人形劇)が息づいており、ガジャマダ大学をはじめ多くの大学が集まる学術都市でもあります。生きた文化と若者のエネルギーが共存しているのがジョグジャの魅力です。
会場のPlatran Heritage Borobudurは28日から30日まで3日間の缶詰。毎日8時にキックオフして、終わるのは早くても20時半過ぎ。最終日の30日(木)は22時近くまで続く、まさに激熱の3日間でした。
今回の会場を選んだのは、CEOのFredyです。「なぜジョグジャカルタなのか」を私は直接聞いていませんが、彼が何かを考えてこの場所を選んだことは間違いありません。インドネシアの独立を支えた歴史ある地で、かつての首都として人々の意志と覚悟を育んできたこの場所で、私たちの「次の時代」を語る—そこに何らかの意図があったのではないかと、3日間を経た今は感じています。各リーダーに自立を求めるサミットの場として、外圧に屈せず独立の旗を守り続けたこの街を選んだとしたら—それはFredyなりのメッセージだったのかもしれない、とふと思ったりもしました。
Technosoft、今日で30年
今日、2026年7月31日——Technosoftは創業30周年を迎えました。

私がGroup COOとしてこの会社に加わったのは2022年11月1日のこと。30年という歴史の、ほんの一部しか共にしていません。それでも、入社してからの約3年9ヶ月で少しずつ聞いてきた話を繋ぎ合わせると、この30年がいかに稀有なものかが分かります。

スタートはTechnosoft ConsultingというVAR(付加価値再販業者)でした。アジア・オセアニアという地域において、主に卸販売や製造業のお客様を対象に、Microsoftのビジネスアプリケーションを届ける会社として始まりました。当初扱っていたのはSolomon(ソロモン)というERP。2001年にMicrosoftが買収した、中堅中小企業向けのERPソリューションです。Solomonをアジア・オセアニアの企業に届ける仕事から、Technosoftの30年は始まりました。(Microsoftのビジネスアプリケーションの変遷については、ITmediaに1年間・12回にわたって寄稿した連載記事も参考にしていただけると嬉しいです。)
その後、Technosoft Consultingは主力製品をDynamics 365(CRMおよびERP)、Power Platform、Microsoft Azure、そしてCopilotなどのAI技術へと進化させながら、金融・保険・製造業を中心としたお客様のDXを支援し続けています。Finance & OperationsからBusiness Centralまで、業種ごとの深い知識を持つチームが今も各地で動いています。
そして2012年、グループの中にTechnosoft AutomotiveというISV(独立系ソフトウェアベンダー)が設立されます。Dynamics 365 CRMをベースとしたディーラーマネージメントシステム(DMS)と販売会社(NSC)システム、デジタルマーケティング・顧客データプラットフォーム、そしてデータ分析——自動車ディーラーとOEM(完成車メーカー)のビジネスをまるごと支えるソリューションを開発・展開するISVとして、アジア・オセアニアを中心にグローバルへとビジネスを広げてきました。
私は前職で現場からキャリアをスタートさせ、14年間取締役として経営にも関与しました。その経験があるからこそ、30年という数字の重みが分かります。Microsoftのビジネスアプリケーションをアジア・オセアニアで30年間やり続けているパートナーが、どれだけ稀有な存在か。市場が変わり、プロダクトが変わり、お客様の課題が変わり、競合が現れ、時代が何度もひっくり返る中で—同じ旗を掲げて走り続けられている会社は、相当の覚悟と積み重ねがなければ存在できません。Group COOとして、今日という特別な日にとても感慨深いものがあります。
FY27 Leaders Summit、始動
Leaders Summitとは何か。一言で言えば、全リーダーが集まり、FY26の結果とFY27の計画を共有し、現場で得た知見や課題、戦略を率直に語り合い、そして「5年後、自分たちはどこにいるべきか」をとことん考え抜く場です。Think・Think・Think—Think 3 times、この3日間は、まさにその言葉に尽きます。
今年のLeaders SummitはTechnosoft Automotiveとしてのサミットです。シンガポール、フィリピン、オーストラリア、マレーシア、トルコ、ドイツ、インドネシア、そして日本(私)—世界各地の自動車ディーラービジネスに向き合うリーダーたちが、ボロブドゥールのそばに集まりました。
Day 1(7/28)| AIで何をやり遂げたか
—FY26の各部門の結果発表・反省点
初日はFredyが約90分、FY26の振り返りとFY27へのビジョンを熱く語るキックオフから始まりました。エネルギーという意味で、これが3日間のトーンをすべて決めるような時間でした。

その後は、各地域・各機能のリーダーが順番に登壇します。全員が「FY26、自分たちは何をやり遂げたか」を発表していく構成で、8時のキックオフからぶっ通し。誰もが時間を超えて熱く語るため、終わったのは20時半を過ぎていました。
各自の発表の中には、AIの取り組みについての報告も含まれていました。COOとして現場に出した今年のFY27 Operating PrinciplesではAI Firstを全部門の行動原則として明記しており、それを改めて読み込んだことで、自分たちの仕事のやり方を見直すきっかけになった人も多かったと思います。
Day 2(7/29)| 数字をチームで作り、ホワイトスペースを見極め、プロジェクトを深く考える
2日目はFredyのオープニングから始まりました。今期のLicenseとサービスの価格・原価、そしてLicenseガイドについて、Fredy自らが全リーダーに向けて丁寧に説明する時間です。価格と原価を全員が正確に理解した上で動く——当たり前のようで、実は組織が大きくなるほど抜け落ちやすいこの共通認識を、毎回のサミットで必ずアップデートする。これはTechnosoftが大切にしている習慣のひとつです。そのオープニングのあと、2つのワークショップを開催しました。ファシリテーターは私が務めました。
午前のワークショップのテーマは「今、私たちはどこにいるか(Where Are We Now?)」。FY27の収益目標に対して、確定している受注・パイプライン・ライセンス価格改定の影響、そして残っているホワイトスペースを全員で確認する場です。収益シミュレーションだけでなく、ライセンスと導入サービスのグロスマージンをプロジェクト・顧客別に検証し、リソースキャパシティのプランまでを午前中に出し切ることを目指しました。数字の詳細はここには書きませんが、チーム全員が同じ数字を見て同じ前提に立てた—今回のサミットで最も実務的なセッションの一つでした。

午後のワークショップは4つのグループに分かれての深掘り分析でした。テーマは、現在進行中のあるお客様の導入プロジェクトを題材にした深掘り分析です。DMS・NSC・CRMを含むフルスコープの案件で、導入の成否がその先の市場展開を左右するという意味で、Technosoftにとって極めて重要な位置づけのプロジェクトです。

グループAはCRMとデータアーキテクチャの観点から、技術的なリスクと依存関係を整理しました。
ここで問われたのは、「データはつながっているか」という問いです。ディーラーには販売、サービス、パーツ、顧客とのやり取りなど、膨大なデータが存在します。しかもそれは、きれいに整理された構造データだけではありません。整備記録のメモ、接客時の会話ログ、メールのやり取りといった非構造データも含めて、いかに一元的に扱えるかが問われています。それを実現するための基盤が、Microsoft Fabricです。サイロ化されたデータをFabricで統合し、構造・非構造を問わずAIが参照できる状態を作る—グループAが取り組んだのは、その設計と、そこに至るまでのリスクの洗い出しでした。

これがお客様にとって何を意味するか。現場の担当者が「このお客様、次はいつ来るのか」「どの車種に興味があるのか」「サービスの満足度はどうか」を、バラバラなシステムを渡り歩くことなくひとつの画面で把握できるようになる。データがつながれば、人の動きも変わります。
グループBはNSC・DMSの実装と導入の観点から、スコープリスクと統合上の課題を検討しました。
このグループの問いは、「いかに品質を上げ、スピードを上げるか」です。NSC(インポーター・ディストリビューター)とディーラーは、同じ自動車ビジネスの中にいながら、異なるシステム、異なるプロセス、異なる言語で動いています。この断絶を放置したまま導入を進めると、現場に混乱が生まれ、プロジェクトは途中で止まります。グループBはその統合上のリスクを先回りして洗い出しながら、過去の導入経験から得た知見をパターン化し、「どうすれば次の現場で同じミスを繰り返さないか」「どこを標準化すれば導入が速くなるか」を議論しました。

TechnosoftがNSCとDMS両方を深く知っているからこそできる、現場目線の品質改善とスピードアップ。それがお客様に届くとき、「導入後に動かない」という最悪のシナリオが防がれ、現場が早く新しい働き方に移行できるようになります。
グループCではFredyとProduct責任者のDyainalが、「AIをプロジェクトの各ステップにどう組み込むか」を具体的に設計しました。
今までのシステム導入は「ソフトウェアを動かすこと」がゴールでした。しかしAgentic AIの時代においては、それだけでは不十分です。要件定義の段階からAIが情報を整理し、テスト工程でAIが異常を検知し、トレーニングフェーズでAIがユーザーの操作をサポートする—そういう「AI First」な導入プロセスそのものを設計することが、グループCのテーマでした。

これはお客様にとって何を変えるか。「導入が終わったらAIを考える」のではなく、「最初からAIと一緒に働くことを前提に、プロセスを設計できる」ということです。現場の人が「AIに仕事を奪われる」という不安を持つのではなく、「AIと一緒に働くほうが楽だ」と感じられるような体験設計—それがグループCの問いの核心でした。
グループDはSales・HR・Financeの視点で、商務構造・リソース・利益保護を考えました。
どれだけ技術的に優れたプロジェクトでも、収益が守られなければ持続できません。また、適切なリソースがアサインされなければ現場は疲弊します。グループDはプロジェクトの「裏側の骨格」を支える議論をしました。営業としてどのようにプロジェクトを支えるか、適正な価格設定、リソースのキャパシティ、そしてプロジェクトが長引いたときに利益をどう守るか。

これはお客様への貢献でもあります。Technosoftが財務的に健全であり続けること、そして適切な人材を長期にわたって提供し続けること—それがお客様にとっての「安心できるパートナー」の条件です。華やかな技術の話の裏で、この種の議論をきちんとしている組織かどうかが、長期的な信頼を決めます。
4つのグループに共通していたのは、「AIをどう使い、それを現場にどう定着させるか」という問いでした。ツールとして導入するだけでは意味がない。現場の人が自然にAIと一緒に働けるようになって初めて、DXは完成します。1社のプロジェクトを徹底的に解剖することで、Technosoftが全てのお客様に提供できるサービス品質を底上げする—それがこのワークショップの本当の目的でした。
Day 3(7/30)| 約束を、数字で語る
最終日は再び全員が登壇し、FY27の計画を発表しました。フォーマットは6つの観点で構成されています。FY27の目標・KPI・主要施策(Five Movesへのひも付け)、キャッシュとユニットエコノミクスへの影響、リソースと採用計画、他部門への依頼事項、3年後のスケール構想、そしてリスクとGo/No-Goのトリガー—これらをひとつのストーリーとして語ることが求められます。

基盤となるのが、私がサミット前に全リーダーへ事前資料として提出したFY27 Operating Principlesです。5つの原則—Cash First(キャッシュ優先)、Profit Matters(利益を見る)、Customer Success(顧客の成功が我々の成功)、One Team(部門を超えた一体運営)、AI First(AIを前提として仕事を設計する)—に基づいて、各リーダーが自分のエリアの計画を語ります。
この日は途中で軽食の場を挟みながら、終わったのは22時半でした。最終日に22時半。でも誰も「早く終わらせよう」という空気にはなりませんでした。それぞれのリーダーが自分の地域・機能の「約束」を数字と言葉で置いていく時間は、長くても密度があるものでした。
このビジュアルは、サミット開幕前に私がPre-Read Documentとして全リーダーへ届けていたものです。当時は”問いかけ”として共有しました。3日間の議論を終えた今、それは”確信”に変わりました。

深夜のジャカルタへ、そしてホテルの一室から
サミット最終日の夜、22時半過ぎ。営業とR&Dのメンバーが、ホテルの中庭、プールのそばに集まりました。飲み物を片手に、今日あったことや各地域のこと、これからの動きについて自由に話す時間。気づけば午前1時を過ぎていました。
議題もなく、会議でもない。でも確実に何かが前に進んでいる感覚のある夜でした。ああいう時間が、組織のベースになる。現場から経営まで、長くこの仕事をしてきた者として、それだけは断言できます。
翌朝、ジャカルタに戻り、プルマンセントラルパークホテルにチェックイン。今、このブログを書いているのはその部屋からです。
ジョグジャカルタという街を歩いていると、歴史の重みと、それでも前を向き続ける力が共存しているように感じます。スケールは全く違いますが、30年という歴史を持つTechnosoftも、それは「到達点」ではなく、次の時代を生きるための「土台」なのだと改めて思いました。私は2022年からその土台の上に立たせてもらっている。この先も、その重みを忘れずにいたいと思っています。
考えてみると、このサミットは1年ぶりに顔を合わせるメンバーも多い場でした。日々オンラインでやり取りしていても、気づけば「あれ、もう1年ぶりだな」ということがある。それだけに、同じ場所で同じ空気を吸いながら話す3日間には、画面越しでは生まれにくい何かがあります。この3日間で話したこと、感じたことを、それぞれの日々の業務に少しでも活かしてもらえれば—それが何よりです。
このサミットで3日間話し合ったことが、最終的に届く先は3つあります。ディーラーの現場で、お客様の前に立つ一人ひとり。そのネットワークを束ねるNSC・ディストリビューター。そして、グローバルで一貫したブランド体験と市場データを必要とするOEMの本社。
現場のサービスアドバイザーがお客様の情報をひとつの画面で把握できるようになること、NSCが各ディーラーの数字をリアルタイムで見ながら意思決定できるようになること、そしてOEM本社が世界中の市場データを統合的に見渡せるようになること—それはシステムの話ではなく、組織が本来の力を発揮できるようになる、という話です。
Technosoft Automotive — GLOBAL BRAND NARRATIVE
“The Agentic Operating Layer
for Automotive Retail”
Every Revenue Line. One Microsoft Platform.
Technosoft Automotive Solution is the intelligent operating layer that connects every revenue-generating process — from dealership management (DMS) to NSC distributor ERP, digital marketing, CDP, Microsoft Fabric, Azure, Microsoft 365, Security (Purview, Sentinel), and AI — all running on the Microsoft stack.
AIエージェントが「補助する」だけでなく、実際に「働く」時代—Agentic AIの時代を前提として、私たちのTechnosoft Automotive Solutionは、単なるソフトウェアではなく、ディーラーマネジメント(DMS)からNSC・インポーター向けのディストリビューターソリューション(ERP)、デジタルマーケティング(CRM)、CDP(顧客データプラットフォーム)、Microsoft Fabric、Azure、Microsoft 365、そしてPurviewやSentinelといったセキュリティ領域まで—自動車ビジネスのあらゆる領域をひとつのMicrosoftプラットフォームでつなぐ「インテリジェントな運営基盤」として再定義されました。このポジショニングが、今期の私たちの”旗”になります。

私たちはそれを「Operating Layer」と呼んでいます。自動車ビジネスの全ての収益プロセスをつなぐ、インテリジェントな運営基盤。そしてその基盤を動かす人たちの行動原則が、今年のサミットで全リーダーに問い直された「Operating Principles」です。技術と人間、その両方が揃ったとき、組織は本来の力を発揮できる—3日間を終えて、改めてそう思いました。

本年度も、Technosoft Consulting、Technosoft Automotive、両社一丸となって邁進してまいりますので、引き続き、ご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
以上、室長でした。
Ryohei Yoshijima | Technosoft Automotive Group COO
DX365Life Blog | ryohei.yoshijima@technosoftautomotive.com
