Dynamics365 2026 wave1_SCM

こんばんは。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

室長こと、吉島良平Microsoft MVP for Business Applications Microsoft Regional Director)です。タイでのタスクを終え、無事に日本に帰国しました。洗濯をして、掃除をして、という感じの週末です。いやぁ、日本のご飯、控えめ言って、超最高でした。いつもながら、日本人として生まれて、よかったなぁと感じる瞬間です。お魚、お豆腐、お味噌汁、お漬物で超満足しました。皆さんは、帰国した直後、何を召し上がりますか?僕の知人は、「吉野家が最高だ」と言っていました。皆さんも帰国時のお食事のルーティーン等があれば、いつか教えてください。

さて、前回のブログでは、Dynamics 365 2026 wave 1にてアナウンスされたDeprecation(将来的に廃止されていく機能群)に関して書きましたが、多くの方々に読んでいただけたようで、とても嬉しく思っています。Dynamics 365 Business Central 2026 wave 1に関しても解説済みなので、ERP領域の新機能について続けていこうと思います。まず本稿では、Dynamics 365 SCM 2026 wave1を取り上げていきます。

Dynamics 365 SCM 2026 wave 1

―2026 release wave 1(2026年4月〜9月)におけるDynamics 365 Supply Chain Managementの新機能・改善点―

D365 SCMよ、君はどこへ向かおうとしているのか?

今回の 2026 release wave 1に関する記載内容を一通り確認し、あわせて実機ベースでの挙動や設計思想を追っていく中で、わたくし室長が強く感じたのは、Supply Chain Managementが「現場を回すための仕組み」から、「約束と判断を支えるための仕組み」へと役割を変えつつある、という点です。Microsoft Learnに記載されている2026 wave1の投資領域を眺めると、そこに並んでいるのは単なる機能改善ではありません。

『Copilot を活用した調達業務の自動化』『需要と供給を最適化する Planning Optimization』『サプライヤーとの関係性そのものを管理する Supplier Engagement』『価格決定と需要予測を切り離さない設計』といったように、サプライチェーン全体を「どう動かすか」ではなく、「どう決めるか」へ軸足を移しているように見えます。

2025 wave2では、「インテリジェントな供給網の再構築」という言葉がしっくりきました。一方で、2026 wave1ではそこから一歩進み、“一度決めた約束を、どう守るか”、そして “その約束を、誰が・どのタイミングで決めるのか” に、製品開発チームの関心が移ってきているように感じています。

わたくし室長の今回の注目ポイントは、Supply Chain Managementが、営業・価格戦略・調達・製造・物流といった領域をまたぎながら、「リアルタイムで整合の取れた意思決定」をどこまで支えられる存在になれるのか?という点です。

単なる業務効率化にとどまらず、「売る」「作る」「運ぶ」「調達する」という各判断が、バラバラに行われるのではなく、一つの判断軸として結び付けられるのか。そのヒントが、2026 release wave 1のD365 SCMには、確かに散りばめられているように見えます。

本記事では、そんな視点から、D365 Supply Chain Managementの2026 release wave 1を読み解いていきたいと思います。

≪Copilot and AI innovation≫

Automate procure-to-pay tasks with supplier communications agent

この機能は、Dynamics 365 Supply Chain Managementにおける調達から支払いまでのプロセス、いわゆる Procure‑to‑Pay(P2P)業務の中でも、特に仕入先とのコミュニケーションに起因する反復作業を自動化するためのCopilot機能です。Microsoft Learnでは、この機能を「supplier communications agent」と位置づけており、購買担当者が日常的に行っているメール確認やフォローアップ、発注書更新といった作業を、ユーザー定義のルールに基づいてエージェントが肩代わりすることを目的としています。結果として、調達業務の生産性を高めるだけでなく、より安定したサプライチェーンの実現を支援する機能として設計されています。

具体的な利用シーンとして想定されているのは、発注書に関する仕入先との日常的なやり取りです。たとえば、納期が近づいているにもかかわらず仕入先から確認が返ってこない発注に対して、エージェントが自動的にフォローアップメールを作成し、送信可能な状態まで準備します。また、仕入先から届いたメールをエージェントが自動的に読み取り、その内容が発注確認なのか、納期変更などの変更依頼なのかを判断します。その上で、事前に定義されたルールに従い、必要な処理を自動的に実行することが可能になります。これにより、購買担当者がメールとシステムを行き来しながら状況を整理する必要がなくなります。

2025 wave2までのDynamics 365 Supply Chain Managementでは、発注書管理そのものはシステム上で行えていたものの、仕入先とのコミュニケーションは基本的に人手に依存していました。仕入先から届くメールを担当者が確認し、その内容を解釈した上で、必要に応じて発注書を更新するという流れが一般的でした。つまり、メールの内容理解や判断、そしてシステムへの反映は、すべて人が介在する前提で設計されており、調達業務の中でも特に手間と時間を要する部分として残っていました。

2026 release wave 1では、supplier communications agentの導入により、この前提が大きく変わります。仕入先から届いたメールはエージェントによって自動的に解析され、発注書に関連する内容かどうかが判定されます。その結果が発注確認や変更依頼である場合には、システムがそれを理解した上で、ユーザーが定義したルールに従ってフォローアップや発注書更新といった処理を自動的に進めることが可能になります。Copilot はここで単なるアシスタントとして振る舞うのではなく、調達プロセスの一部を実際に担う存在として機能する点が、これまでとの大きな違いです。

一方で、本機能はRelease planに基づく提供であるため、すべての環境で即座に利用できるとは限りません。Microsoft Learnでも明記されている通り、提供時期や対象となる地域、対応言語は今後変更される可能性があります。また、自動処理はあくまでユーザーが定義したルールに基づいて実行されるため、業務ルールの整理や、どこまでを自動化に任せるのかという設計が重要になります。仕入先とのコミュニケーションをどの程度システムに委ねるかは、各社の運用方針に応じた慎重な検討が必要になるでしょうね。

≪Planning≫

Run Planning Optimization on Azure operated by 21Vianet

この機能は、Dynamics 365 Supply Chain ManagementにおけるPlanning Optimizationを、Azure operated by 21Vianet環境上で実行できるようにするための機能です。Planning Optimizationは、従来の組み込み型マスタープランニングエンジンに代わる、高速かつスケーラブルなクラウドベースの計画エンジンとして位置づけられており、2026 release wave 1では、中国リージョンにおいても正式に利用可能となります。これにより、中国でDynamics 365 Supply Chain Managementを運用している企業も、他地域と同様にPlanning Optimizationを前提とした計画プロセスを構築できるようになります。

具体的な利用シーンとして想定されているのは、マスタープランニングの実行頻度や処理時間が業務上の制約となっていたケースです。Planning Optimizationは、計画処理をERPのメインデータベースから切り離し、外部サービスとして実行する仕組みを採用しています。そのため、従来は数時間を要していた計画実行が大幅に短縮され、大規模なデータセットを扱う環境でも、より短時間で計画結果を得ることが可能になります。また、夜間バッチに依存せず、営業時間内にオンデマンドで計画を実行できる点も、実運用上の大きな特徴です。

2025 wave2までのDynamics 365 Supply Chain Managementでは、Planning Optimization自体はすでに提供されていましたが、中国リージョンではAzure operated by 21Vianet環境上での利用が制限されていました。その結果、中国拠点のみ従来の組み込み型計画エンジンを使い続ける必要があり、グローバル全体で計画基盤を統一することが難しいケースも少なくありませんでした。計画ロジックや実行タイミングが地域ごとに異なることで、グローバルレベルでの需給調整や意思決定に影響を及ぼす場面もあったはずです。

2026 release wave 1では、Azure operated by 21Vianet上でPlanning Optimizationを実行できるようになることで、この前提が大きく変わります。中国リージョンにおいても、クラウドベースの計画エンジンを活用した高速で柔軟なマスタープランニングが可能となり、他地域と同一の設計思想・運用モデルを前提に計画プロセスを構築できるようになります。これは単なる対応リージョンの拡大ではなく、グローバルで一貫したPlanningのあり方を実現するための重要な一歩と捉えることができます。

一方で、本機能もRelease planに基づく提供であるため、すべての環境で即座に利用できるとは限りません。Microsoft Learnでも明記されている通り、提供時期や利用可能な地域、対応言語は今後変更される可能性があります。また、Planning Optimizationは従来の組み込み型計画エンジンとはアーキテクチャが異なるため、既存の計画設計や運用ルールをそのまま移行できるとは限りません。中国リージョンでの対応を契機として、計画エンジンの使い分けではなく、計画プロセスそのものをどう統一するかをあらためて整理することが求められるでしょうね。

Protect confirmed CTP dates with Planning Optimization

この機能は、Dynamics 365 Supply Chain ManagementにおいてCapable‑to‑Promise(CTP)によって確定された納期を、Planning Optimizationの計画実行時にも確実に守るための機能です。Planning Optimizationは、高性能なクラウドベースの計画エンジンとして、需要や供給を高速に再計算することを得意としていますが、本機能ではその計画ロジックの中に「すでに約束した納期を尊重する」という前提が明確に組み込まれています。これにより、顧客に対して確定した納期の信頼性を高め、直前の変更や手作業による修正を減らすことが目的とされています。

具体的な利用シーンとして想定されているのは、受注時にCTPを用いて納期を確定した後、計画の再実行が頻繁に行われるような環境です。新たな注文の追加や需要変動が発生した場合でも、すでにCTPによって確定された販売注文行に割り当てられた品目や生産能力が、後続の計画処理によって再配分されないように制御されます。その結果、計画エンジンが最適化を行いながらも、顧客に対する既存のコミットメントを維持することが可能になります。

2025 wave2までのDynamics 365 Supply Chain Managementでは、CTPを使って納期を算出すること自体は可能でしたが、その後の計画実行によって、確定済みの納期が事実上上書きされてしまうケースもありました。そのため、計画担当者やオペレーション担当者が、確定済みの注文を手動で調整したり、計画結果を見ながら個別対応を行う必要が生じる場面も少なくありませんでした。計画の精度と、約束の信頼性の間に、どうしても運用で埋めなければならないギャップが残っていたと言えます。

2026 release wave 1では、「Protect confirmed CTP dates with Planning Optimization」により、このギャップが計画エンジンの設計レベルで解消されつつあります。Planning Optimizationは、CTPによって確定された販売注文行に対して割り当てられた資材や生産能力を保護し、新しい注文のためにそれらが再割り当てされることを防ぎます。これにより、計画の再実行を繰り返しながらも、すでに顧客に約束した納期を維持できるようになり、Planningの役割が「最適解を探す」ことから、「約束を守り続ける計画を支える」ことへと一段進んだ印象を受けます。

一方で、本機能もRelease planに基づく提供であり、すべての環境で即時に利用できるわけではありません。Microsoft Learnにも記載されている通り、提供時期や対象となる地域、対応言語は今後変更される可能性があります。また、どの注文を「守るべき約束」として扱うのかは、受注ポリシーや業務設計と密接に関係します。CTP日付の保護は強力な仕組みですが、それを前提にPlanning Optimizationを運用するためには、計画ロジックと業務ルールの整理が欠かせない点には留意が必要でしょう。

≪Procurement≫

Manage supplier relationships with Supplier Engagement

この機能は、Dynamics 365 Supply Chain Managementにおける調達業務の中でも、サプライヤーとの関係性そのものを一元的に管理するための新しいアプローチとして提供されるものです。Supplier Engagementは、調達担当者がすべての法人にまたがるサプライヤー関係を、単一のワークスペースから把握・管理できるようにすることを目的としています。従来のように取引単位でサプライヤーを見るのではなく、パフォーマンス、コミュニケーション、将来の取引可能性までを含めて捉える点が、この機能の特徴です。

具体的な利用シーンとして想定されているのは、既存サプライヤーとの継続的な関係管理に加え、まだ取引実績のない見込みサプライヤーを含めた調達活動全体の可視化です。調達担当者は、Supplier Engagementアプリを通じてサプライヤーのパフォーマンスを確認したり、レビューや打ち合わせの予定を管理したりすることができます。また、サプライヤー側にはMicrosoft Power Pagesをベースとした新しいサプライヤーポータルが提供され、見積依頼(RFQ)、発注書、請求書といったトランザクションを通じて、調達担当者と継続的にやり取りできる環境が用意されます。

2025 wave2までのDynamics 365 Supply Chain Managementでも、仕入先コラボレーション機能を通じて、発注書や請求書に関するやり取りを行うことは可能でした。しかし、その多くは取引単位での情報共有にとどまり、サプライヤーの評価や関係性を中長期的な視点で管理するための仕組みは、必ずしも十分とは言えませんでした。サプライヤーは「取引先マスタ」として管理され、戦略的な関係構築については、システム外で補完されるケースも多かったはずです。

2026 release wave 1では、Supplier Engagementの導入により、この前提が大きく変わります。Supplier Engagementは、Dynamics 365 Supply Chain ManagementおよびDynamics 365 Financeと統合されたMicrosoft Power Appsベースのアプリケーションとして提供され、戦略的なサプライヤー管理と日々の調達業務を同じ基盤上で扱えるようになります。見込みサプライヤーの管理から、既存サプライヤーとのパフォーマンス評価、定期的なレビュー、トランザクションを通じたコラボレーションまでを一貫して管理できる点は、従来の「取引中心」の調達管理からの明確な進化と言えるでしょう。

一方で、本機能もRelease planに基づく提供であり、すべての環境で即座に利用できるわけではありません。Microsoft Learnにも記載されている通り、提供時期や対象となる地域、対応言語は今後変更される可能性があります。また、Supplier Engagementは既存の仕入先コラボレーション機能と連携する形で設計されているため、従来の運用や役割分担をどのように整理するかが重要になります。サプライヤーとの関係性をどこまでシステムで管理し、どこを人の判断に委ねるのかについては、各社の調達戦略に応じた検討が必要になるでしょう

≪Sales and marketing≫

Calculate prices for external systems via API

この機能は、Dynamics 365 Supply Chain Management側に実装されている価格計算ロジックを、外部アプリケーションから API 経由で呼び出せるようにするためのものです。Microsoft Learnでは、外部アプリケーションが Supply Chain Managementから直接、正確でリアルタイムな価格および割引計算結果を取得できるようにすることで、見積や価格の一貫性を高めることを狙いとして説明されています。価格計算がチャネル側で属人化したり、販売システムごとに価格決定が分断されることを避け、価格ロジックを販売チャネルにシームレスに統合する、という文脈です。

具体的な利用シーンとして想定されているのは、EC や受注フロント、見積ツールなど、外部の販売チャネルや周辺システムが「価格を知りたい」タイミングで、Supply Chain Managementに問い合わせるケースです。新しい pricing calculation APIにより、外部システムは製品や顧客の情報など、必要な入力データを渡すことで、Supply Chain Management側で計算された価格(および割引)をリアルタイムに受け取れるようになります。外部システム側が独自の価格ルールを持つのではなく、ERP側の計算結果を“参照”できるようになる点がポイントです。

2025 wave2までの運用では、外部システムで見積や価格提示を行う場合、価格ロジックを外部側に複製したり、バッチ連携やマスタ同期によって価格テーブルを持たせるなど、複数の仕組みで補完する必要がありました。その結果、同じ顧客・同じ製品であってもチャネルによって価格結果がずれたり、運用のタイミング差で整合が取れないといった課題が起きやすい構造になりがちです。価格を「どこで決めるのか」がシステム境界の外に出てしまうと、統制の難しさが露呈します。

2026 release wave 1では、このpricing calculation APIにより、外部システムがSupply Chain Managementに対してプログラムから直接、アクティブな価格または価格見積(price quotes)を取得できるようになります。入力としては製品や顧客の情報など、外部システムが持つキー情報を渡し、返り値としては計算済みの価格が返ってくる、という形です。ただしMicrosoft Learnでは制約も明確にされており、このAPIが返すのは「単純な割引(simple discounts)を含む」製品価格で、複数行割引(multiline discounts)は計算しないこと、そしてリクエスト内の各製品は数量 1 を前提としていることが記載されています。つまり、まずは価格参照の“入口”として提供される機能であり、すべての複雑な価格シナリオを一気にAPI化する、という位置づけではありません 。

一方で、本機能もRelease planに基づく提供であるため、すべての環境で即座に利用できるとは限りません。Microsoft Learnにもある通り、提供タイミングは変更される可能性があり、また地域や言語の可用性についても別レポートで確認する前提になっています。加えて、APIが扱える割引の範囲や数量前提が明示されている以上、既存の価格体系が複雑な場合には、どのユースケースをこのAPIでカバーし、どこから先を別の仕組みで補完するのかを整理する必要があります。価格は業務・チャネル・統制の交点にあるため、「つなげば終わり」ではなく、適用範囲を定義した上で設計に落とし込むことが重要になるでしょうね。

Link pricing decisions to demand forecasts

この機能は、Dynamics 365 Supply Chain Managementにおいて、価格やプロモーションの変更が将来の需要にどのような影響を与えるのかを、計画プロセスの中で可視化するための機能です。Microsoft Learnでは、価格決定と需要予測を分断せず、データに基づいた意思決定を可能にすることで、収益性の向上と在庫リスクの低減を支援するものとして位置づけられています。これまで個別に扱われがちだった「価格を決める行為」と「需要を読む行為」を、同じ流れの中で扱おうとする点が、この機能の前提にあります。

具体的な利用シーンとして想定されているのは、価格改定やプロモーション施策を検討する場面です。Unified pricing managementで価格やプロモーションを更新すると、その変更内容がDemand planningと自動的に連携され、予測された販売数量が価格ワークフローの中に表示されます。これにより、「この価格にすると、需要はどの程度変わるのか」という問いに対して、別のツールや手作業を介さずに確認できるようになります。カスタムコネクタや個別連携を作り込む必要がない点も、実務上の大きな特徴です。

2025 wave2までのDynamics 365 Supply Chain Managementでは、価格やプロモーションの検討と需要予測は、プロセス上もシステム上も分離して扱われるケースが一般的でした。価格は販売やマーケティング側で決められ、需要予測は別途Planning側で調整されるため、価格変更が需要に与える影響を事前に定量的に把握するには、追加の分析や経験則に頼る必要がありました。その結果、価格決定と在庫・供給計画の間にタイムラグや認識のずれが生じやすい構造になっていました。

2026 release wave 1では、この機能により、価格と需要の関係がシステム上で直接結び付けられます。Unified pricing managementで行われた価格やプロモーションの更新は自動的にDemand planningに反映され、その影響を受けた予測販売数量が即座に確認できるようになります。これにより、価格決定が将来の需要や在庫に与える影響を、その場で把握した上で判断できるようになり、価格を「後工程に影響を与える入力値」として扱う設計がより明確になります。SalesとPlanningをまたいだ意思決定を、システムが前提として支えるようになった点が、この機能の大きな変化です 。

一方で、本機能もRelease planに基づく提供であり、すべての環境で即座に利用できるとは限りません。Microsoft Learnにも記載されている通り、提供時期は 2026 年 7 月から 9 月にかけてとされており、地域や言語の対応状況についても別途確認が必要です。また、需要予測の精度は入力データや前提条件に大きく左右されるため、価格変更の影響をどこまで意思決定に反映させるかは、業務プロセス全体を見た上で判断する必要があります。価格と需要を結び付ける仕組みが整ったからこそ、その使いどころを慎重に設計することが求められるでしょう

≪Warehouse management≫

Enhance warehouse efficiency with dynamic item placement

この機能は、Dynamics 365 Supply Chain Managementの倉庫管理において、品目の保管場所や数量を固定的に定義するのではなく、状況に応じて動的に最適化するための仕組みです。Microsoft Learnでは、入荷プロセスにおける在庫配置や補充をよりスマートに制御し、倉庫スペースと作業効率を最大化することを目的とした機能として説明されています。倉庫が「決められた場所に置く」運用から、「今の状態に合わせて配置を変える」運用へと進化していくことを前提にした設計です

具体的な利用シーンとして想定されているのは、購買注文や転送注文による入荷が頻繁に発生する倉庫環境です。動的な品目配置では、倉庫や品目ごとにストレージポリシーを定義し、各品目について優先的に配置したい保管場所や目標数量を設定します。これらの設定は画面上で直接編集することも、データインポートによって一括で管理することも可能です。入荷時には、システムがこれらのポリシーをもとに在庫をインテリジェントにバランスさせ、将来のピッキングや補充を見据えた最適な配置を自動的に判断します 。

2025 wave2までのDynamics 365 Supply Chain Managementでは、ロケーションディレクティブや作業テンプレートを用いた高度な倉庫運用は可能でしたが、品目ごとの配置ルールや補充ロジックは、比較的静的な前提で設計されるケースが多くありました。そのため、需要の変化や入荷状況に応じて、実運用では人手による調整や例外対応が必要になる場面も少なくありませんでした。倉庫内の配置最適化は、ルール設計と運用ノウハウに大きく依存していたと言えます。

2026 release wave 1では、倉庫および品目のストレージポリシーが拡張され、動的な品目配置を前提とした運用が可能になります。入荷プロセス中に在庫のバランスが自動的に調整され、補充もポリシーに基づいて自動的に行われるため、倉庫内の在庫配置が常に最新の状態に保たれます。また、倉庫の空間位置情報を活用することで、作業ルートが最適化され、移動時間の短縮やピッキング速度の向上にもつながります。倉庫管理が「人が工夫して回す」フェーズから、システムが前提として最適化するフェーズへ移行しつつある点が、この機能の特徴です。

一方で、本機能もRelease planに基づく提供であり、すべての環境で即座に利用できるとは限りません。Microsoft Learnでも明記されている通り、提供時期や対応地域、言語については今後変更される可能性があります。また、動的な品目配置を効果的に機能させるためには、ストレージポリシーやロケーション設計が業務実態に合っていることが前提となります。自動化の度合いが高まるからこそ、どのルールをシステムに委ね、どこを例外として扱うのかを事前に整理しておくことが重要になるでしょう。

Enhance picking speed using spatial location intelligence

この機能は、Dynamics 365 Supply Chain Managementの倉庫管理において、倉庫内のロケーションやゾーンに空間座標(spatial coordinates)を持たせることで、ピッキング作業の移動経路を最適化するための機能です。Microsoft Learnでは、ウェーブ処理後のピッキングルートを即座に最適化し、移動距離を短縮することで、倉庫全体の作業効率を高める仕組みとして説明されています。これまで論理的な並び順に依存していたピッキング順序を、物理的な位置関係を前提に再設計する点が特徴です 。

具体的な利用シーンとして想定されているのは、大規模な倉庫や複雑なレイアウトを持つ拠点で、ピッキング時の移動距離が作業効率のボトルネックになっているケースです。本機能では、倉庫内の各ロケーションやゾーンに対して空間座標を設定し、その情報をもとにピッキングルートを自動的に算出します。距離計算には直線距離モデルや都市ブロック距離モデルを選択でき、ピッキング作業の並び替えには巡回セールスマン問題(Travelling Salesman)系のアルゴリズムが用いられます。これにより、作業者が無駄な往復をすることなく、最短経路に近いルートでピッキングを進められるようになります。

2025 wave2までのDynamics 365 Supply Chain Managementでも、ロケーションディレクティブやウェーブ処理によってピッキング順序を制御することは可能でしたが、その多くはロケーションの論理的な優先順位やゾーン設定に基づくものでした。実際の倉庫レイアウトにおける距離感や移動コストは、設計時の工夫や現場の経験によって吸収される部分が大きく、システム側で物理的な位置関係を直接考慮する仕組みは限定的でした。

2026 release wave 1では、空間位置インテリジェンスを用いることで、こうした前提が大きく変わります。倉庫内の位置情報を座標として扱い、ピッキングルートを物理的な距離に基づいて最適化することで、移動時間の短縮や作業負荷の平準化が期待できます。また、この機能は標準で利用できるルート最適化に加え、APIを通じてカスタムの座標選択や距離計算、並び替えロジックを拡張できる点も特徴です。倉庫運用が「ルールで制御する」段階から、空間そのものを理解した最適化へ進んでいることが読み取れます。

一方で、本機能もRelease planに基づく提供であり、すべての環境で即座に利用できるとは限りません。Microsoft Learnにも記載されている通り、提供時期や対応地域、言語については今後変更される可能性があります。また、空間座標の設定や距離モデルの選択は、倉庫レイアウトや作業実態に大きく依存します。座標設計が不十分な場合には、期待した効果が得られない可能性もあるため、導入にあたっては現場の動線や運用ルールを踏まえた設計が重要になるでしょう。

Enable precise serial and batch capture in cluster picking

この機能は、Dynamics 365 Supply Chain Managementにおけるクラスターピッキングの運用において、シリアル番号およびバッチ番号の捕捉精度を高めるための機能です。Microsoft Learnでは、クラスターピッキング中のすべての注文に対して、正確なシリアル番号やバッチ番号を紐づけることで、出荷精度を向上させ、ピッキングエラーを削減することを目的とした機能として説明されています。複数の注文をまとめて処理するクラスターピッキングだからこそ、どの番号がどの注文に対応するのかを厳密に管理する必要があり、その前提をシステム側で支える仕組みです。

具体的な利用シーンとして想定されているのは、ロケーションレベルより下の階層でシリアル番号やバッチ番号を管理している品目を、クラスターピッキングで扱うケースです。本機能では、クラスタープロファイルの設定に新たな選択肢が追加され、シリアル番号やバッチ番号を「品目を配布する前に一度だけまとめてキャプチャする」か、「クラスター内の各ポジションごとに個別にキャプチャする」かを選択できるようになります。これにより、業務特性に応じて、より適切な捕捉方法を選択することが可能になります。

2025 wave2までのDynamics 365 Supply Chain Managementでも、クラスターピッキング自体は効率的なピッキング手法として提供されていましたが、シリアル番号やバッチ番号の扱いについては、運用や作業手順でカバーする必要がある場面も少なくありませんでした。複数の注文を同時に処理する中で、番号の取り違えや後追い入力といったリスクが残りやすく、特にトレーサビリティが重視される業務では慎重な対応が求められていました。

2026 release wave 1では、この機能により、クラスターピッキングの設計そのものに「番号を正しく紐づける」ことが明示的に組み込まれます。クラスタープロファイルの設定画面に追加された新しい選択肢(Enum)を用いることで、シリアル番号やバッチ番号の捕捉方法をシステム的に制御できるようになり、すべての番号が正しい注文に対応づけられることが保証されます。これにより、クラスターピッキングの効率性を維持しながら、精度とトレーサビリティを同時に高めることが可能になります。

一方で、本機能も Release plan に基づく提供であり、すべての環境で即座に利用できるとは限りません。Microsoft Learnにも記載されている通り、提供時期や対応地域、言語については今後変更される可能性があります。また、どの捕捉方式を選択するかは、品目特性や現場オペレーションに大きく依存します。クラスターピッキングの効率を優先するのか、番号捕捉の粒度を優先するのかといった判断を含め、業務設計とシステム設定をあらかじめ整理しておくことが重要になるでしょうね。

Improve database health by archiving load data

この機能は、Dynamics 365 Supply Chain Managementにおいて、履歴のロードデータおよび作業データをアーカイブすることで、データベースの健全性を維持・向上させるための機能です。Microsoft Learnでは、大量の運用データを長期間保持している環境において、インデックスサイズの肥大化を抑え、長期的なパフォーマンスを維持することを目的とした機能として説明されています。日々の倉庫オペレーションそのものを変える機能ではありませんが、安定した運用を支える基盤として重要な位置づけにあります。

具体的な利用シーンとして想定されているのは、倉庫管理機能を長期間利用しており、ロードやワーク関連の履歴データが蓄積されている環境です。ロード、出荷、作業指示といったデータは日々生成されますが、そのすべてをオンラインデータベースに保持し続ける必要はありません。本機能では、Supply Chain Managementに組み込まれているアーカイブフレームワークを利用し、履歴のロードデータや作業データを長期保管用に移動することで、アクティブなデータ量を抑えることができます。その結果、インデックスサイズが縮小され、データベース全体の負荷軽減につながります。

2025 wave2までのDynamics 365 Supply Chain Managementでも、データアーカイブの考え方自体は存在していましたが、倉庫管理領域のロードおよびワーク関連テーブルについては、明示的なサポート範囲が限定的でした。そのため、長期間運用している環境では、履歴データの蓄積がパフォーマンス低下やメンテナンス負荷の一因となるケースも見られました。特に、サンドボックスの更新や環境リフレッシュといった運用作業では、データ量の多さが作業時間に直結することも少なくありませんでした。

2026 release wave 1では、アーカイブフレームワークの対象が拡張され、WHSLOADTABLE、WHSLOADLINE、WHSSHIPMENTTABLE、WHSWORKTABLE、WHSWORKLINE、WHSWORKINVENTTRANS、WHSWORKTRANSといった倉庫管理関連の主要テーブルがサポートされます。これにより、履歴データを計画的にアーカイブし、アクティブなデータベースを軽量に保つことが可能になります。本機能は既定では有効化されていないため、設定を確認した上で明示的に有効化する必要がありますが、運用年数の長い環境ほど効果を実感しやすい機能と言えるでしょう。

一方で、本機能もRelease planに基づく提供であり、すべての環境で即座に利用できるとは限りません。Microsoft Learnにも記載されている通り、提供時期や対応地域、言語については今後変更される可能性があります。また、どのデータをどのタイミングでアーカイブするかは、業務要件や監査要件とも密接に関係します。データベースの健全性を維持するための仕組みであるからこそ、運用ポリシーと合わせた設計・運用が重要になるでしょうね。

Streamline transfer order receiving in WOM with ASNs

この機能は、Dynamics 365 Supply Chain ManagementのWarehouse‑only mode(WOM) において、転送注文(Transfer order)の受け取りプロセスを効率化するための機能です。Microsoft Learnでは、事前出荷通知(Advance Shipping Notice:ASN)に定義された梱包構造を活用し、倉庫での受け取り作業をよりシンプルかつ高速に行うことを目的とした機能として説明されています。特に、WOM環境におけるインバウンド処理の負荷を下げることが主眼に置かれています。

具体的な利用シーンとして想定されているのは、WOMを利用している倉庫が、他拠点からの転送注文を頻繁に受け取るケースです。本機能では、ASNに含まれる梱包構造情報をもとに、1 回のライセンスプレートスキャンだけで転送注文の受け取りを完了できるようになります。受け取り対象の品目や数量、構成がASN側で定義されているため、倉庫作業者は個別の明細確認や手動入力を行う必要がなく、受信ワークフローを大幅に簡略化できます。

2025 wave2までのWOM環境では、転送注文の受け取りにあたって、複数ステップでの確認や登録作業が必要となるケースがありました。特に、ライセンスプレート単位での受け取りや、梱包構造を意識した処理については、作業手順や追加の確認操作で補完する必要があり、受け取り作業がボトルネックになる場面も少なくありませんでした。WOMはシンプルな運用を前提とする一方で、転送注文の受け取りに関しては、改善の余地が残っていた領域でもあります。

2026 release wave 1では、ASNベースの梱包構造を前提とした受け取りプロセスがWOMに組み込まれることで、この前提が大きく変わります。ライセンスプレートをスキャンするだけで、ASN に基づいた正確な受け取り処理が実行されるため、作業時間の短縮だけでなく、受け取りミスの防止にもつながります。WOM環境においても、「事前に分かっている情報を最大限活用する」設計がより明確になった機能と言えるでしょう。

一方で、本機能もRelease planに基づく提供であり、すべての環境で即座に利用できるとは限りません。Microsoft Learnにも記載されている通り、提供時期や対応地域、言語については今後変更される可能性があります。また、本機能を効果的に活用するためには、ASN側で正確な梱包構造が定義されていることが前提となります。WOMのシンプルさを活かしつつ、どこまで事前情報に依存するかについては、業務設計とあわせた検討が必要になるでしょう。

Automate dynamic work classification with Power FX

この機能は、Dynamics 365 Supply Chain Managementの倉庫管理において、作成されたワーク(作業指示)をリアルタイムに分類・優先付けするための仕組みを、Power FXを用いて定義できるようにする機能です。Microsoft Learnでは、負荷の優先度や運用データをもとに、変化する状況へ迅速に対応できる倉庫運用を実現するための機能として説明されています。従来の静的なルール設定から一歩進み、条件に応じて柔軟に判断を変えられる点が特徴です。

具体的な利用シーンとして想定されているのは、同じ倉庫内であっても、荷主やキャリア、ロードの優先度、作業内容によって処理の順序を動的に変えたいケースです。本機能では、Power FXの数式を用いて倉庫クエリをリアルタイムに評価し、ワークプール、作業優先度、作業ラインの分類やロケーションディレクティブの上書きといった判断を行うことができます。これにより、複数のロケーションディレクティブや作業テンプレートを事前に大量に用意する必要がなくなり、設定の複雑さを大きく軽減できます。

2025 wave2までのDynamics 365 Supply Chain Managementでは、ワークの分類や優先度付けは、主にロケーションディレクティブや作業テンプレートといった静的な設定に依存していました。運用パターンが増えるほど設定が肥大化し、例外対応や変更時には設計の見直しが必要になるなど、柔軟性と保守性の両立が課題となる場面も少なくありませんでした。現場の状況変化に即応するには、どうしても人の判断や運用で補完する必要がありました。

2026 release wave 1では、Power FXを用いた動的な作業分類により、この前提が大きく変わります。作業が生成されるタイミング、あるいは生成後であっても、Power FXの数式によって条件を評価し、その結果に応じてワークの扱いを即座に変えることが可能になります。Power PlatformやDynamics 365 Financeで既に使われているPower FXの文法をそのまま活用できるため、開発者だけでなく業務寄りの担当者でも理解しやすい低コードなアプローチで運用ロジックを調整できます。倉庫運用が、事前に決め切る設計から、状況に応じて判断する設計へ移行していることが読み取れる機能です。

一方で、本機能もRelease planに基づく提供であり、すべての環境で即座に利用できるとは限りません。Microsoft Learnにも記載されている通り、提供時期や対応地域、言語については今後変更される可能性があります。また、Power FXによる分類ロジックは柔軟である反面、設計次第では意図しない優先付けや処理順序を生む可能性もあります。倉庫の自律性を高める仕組みであるからこそ、ルール設計とテストを含めた慎重な導入が求められるでしょう。

Integrate the Warehouse management module with external labor management systems

この機能は、Dynamics 365 Supply Chain Managementの倉庫管理モジュールを、外部の労務管理システム(Labor Management System:LMS)と統合するための標準フレームワークを提供するものです。Microsoft Learnでは、倉庫内の作業実行データを外部 LMS と連携させることで、より高度でデータドリブンな人員計画・作業実行を可能にする機能として説明されています。倉庫オペレーションと人の管理を、別々のシステムで分断せずにつなぐことが、この機能の前提です。

具体的な利用シーンとして想定されているのは、倉庫内の作業量や負荷に応じて、人員配置やシフト、作業割り当てを最適化したいケースです。本機能により、倉庫管理モジュールで生成・実行される作業データを、サードパーティ製のLMSに連携できるようになります。これにより、労務計画やスケジューリング、作業実績に基づくパフォーマンス分析といった高度な機能を、既存のLMS側で活用することが可能になります。倉庫管理プロセスの有無にかかわらず統合がサポートされる点や、Warehouse‑only mode(WOM)にも対応している点も、実運用を意識した設計です。

2025 wave2までのDynamics 365 Supply Chain Managementでは、倉庫内の作業実績や進捗はシステム上で把握できるものの、人員計画や評価、インセンティブ設計といった領域については、外部システムや手作業で補完されるケースが多くありました。その結果、倉庫オペレーションの実態と労務管理の間にタイムラグや情報の断絶が生じやすく、改善活動に十分活かしきれない場面も見られました。

2026 release wave 1では、この統合フレームワークにより、倉庫実行データと労務管理データをより密接に結び付けることが可能になります。外部LMSでは、リアルタイムの生産性モニタリング、タスク単位のパフォーマンス把握、時間研究に基づく標準作業時間の設定、予測スケジューリングや動的な人員予測など、高度な分析・計画機能を提供することが一般的です。これらの機能を倉庫管理モジュールと連携させることで、作業実態に即した人員配置や継続的な改善を、システム連携を前提に進められるようになります。

一方で、本機能もRelease planに基づく提供であり、すべての環境で即座に利用できるとは限りません。Microsoft Learnにも記載されている通り、提供時期や対応地域、言語については今後変更される可能性があります。また、どのLMSとどの粒度で連携するかによって、得られる効果や設計の複雑さは大きく変わります。倉庫運用と労務管理を本格的に連携させるからこそ、業務プロセス全体を見渡した設計と段階的な導入が重要になるでしょう。

D365 SCMよ、君はどこに向かっているのかい?(2026 wave 1)

その答えは、「現場で“考え、判断し、動く”インテリジェントなサプライチェーンの実装」にあると、室長は考えています。2026 Release Wave 1のDynamics 365 Supply Chain Managementを通して見えてくるのは、単なる機能追加や自動化の延長線ではありません。Microsoftが明確に意識しているのは、サプライチェーン全体を「判断の連鎖」として再設計することです。計画、調達、販売、倉庫といった各領域が、これまで以上に密接につながり、リアルタイムな情報をもとに意思決定が連動していく─そんな姿が、今回のアップデート全体から一貫して感じ取れます。

Planning領域では、Planning Optimizationを前提とした基盤の拡張や、確定したCTP日付を守る仕組みの強化により、「計算結果」ではなく「約束を守る計画」が重視されるようになりました。価格決定と需要予測を結び付ける取り組みも含め、SCMはもはや後追いで調整する存在ではなく、意思決定の初期段階から関与する役割へと進化しています。価格を変えたら、需要がどう動くのか。その影響を見た上で、次の判断につなげる流れが、システムとして自然に組み込まれ始めています 。

ProcurementやSalesの領域では、仕入先や外部システムとの関係性が「取引単位」から「継続的な連携」へとシフトしています。Supplier Engagementによるサプライヤー関係の可視化や、外部システムから価格ロジックを直接参照できるAPIの提供は、SCMを閉じた業務システムから、エコシステムの中核へと位置づけ直す動きと言えるでしょう。サプライチェーンは、社内だけで完結するものではない。その前提が、機能レベルでも明確になってきました。

Warehouse management領域では、その変化が最も「現場寄り」の形で表れています。動的な品目配置、空間位置インテリジェンスによるピッキング最適化、Power FXを用いた作業分類、ASNを前提としたWOMでの受け取り簡素化、さらには外部の労務管理システムとの統合まで、倉庫はもはや「決められた作業をこなす場所」ではありません。状況を理解し、優先度を変え、人やモノを最適に動かす“判断の場”へと進化しつつあります。

こうして振り返ると、2026 wave 1 の D365 SCMが向かっている先ははっきりしています。それは、「未来を予測する」だけでも、「現場を自動化する」だけでもなく、予測・実行・判断を一本の流れとしてつなぐインテリジェントなサプライチェーンです。SCMは記録するシステムから、考えるシステムへ。そして今、その「考えた結果を現場で実行できる」段階に、確実に近づいています。

この旅路は、2026 Wave 1で終わるものではありません。むしろ、ここからが本番です。次のリリースでは、どこまで“判断の自律性”が高まっていくのか。そのスピードは、これまで以上に加速していくように感じますね。

次回予告/Copilotが“経理・財務”を意思決定の中枢へ導く|Dynamics 365 Finance 2026 wave 1が描く次世代ファイナンスの姿とは?

サプライチェーンが「考え、判断し、動く」存在へと進化する一方で、その判断を最終的に束ねる中枢がFinanceです。次回のDX365Lifeでは、Dynamics 365 Finance 2026 Wave 1の最新アップデートを取り上げ、CopilotやAI エージェントの進化によって、経理・財務部門が「記録と統制」から「分析と意思決定」を担う存在へ、どのように変わろうとしているのかを掘り下げていきたいと思います。

それでは、今日はこのくらいで。Let’s Enjoy our DX365Life!

dx365jp
  • dx365jp
  • 24年ほど、Microsoft Dynamics ERP(NAV/AX)+CRMの導入コンサルティングに従事し、日本を含む34か国において導入コンサルティングを経験してきました。グローバル環境における“プロジェクト”と“マーケティング”を生業としております。

    最近は、【CRM/MKTG(攻めのDX)⇔ ERP(守りのDX)】+【ローコード】というDX365な活動に奮闘中です。Microsoft Dynamics 365 ビジネスで地球を90周中です。#DX365 #DynamicsIoT

    Microsoftの運営する外部技術者グローバル組織「Microsoft MVP(*日本165名/世界3023名)・ Microsoftのトラスティッドアドバイザーである「Microsoft Regional Director (*日本4名/世界189名)」として、複数のITコミュニティーにて活動中。(*2022/07/06時点)

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