Automotive World 2026

こんばんは。室長こと、吉島良平Microsoft MVP for Business ApplicationsMicrosoft Regional Director) です。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

いやぁ、この数日間ヤバいくらい底冷えしますね。私は九州生まれなので、正直この季節は苦手です。はやく、春になるといいなぁと思ってしまいます。。。

さて、昨日からAutomotive World 2026がスタートしました。寒さに負けじと、東京ビッグサイトに出向いてきましたので、現地で3時間ほど見てきた内容をざっくりと纏めてお届けしたいと思います。

序章|モビリティ産業は、再設計のフェーズへ踏み込んだ

世界最大級のモビリティ技術展 Automotive World 2026が開幕し、今年はついに 1850社 が集結する大規模な展示会へ拡大しました。カーボンニュートラル、電子化・電動化、自動運転、コネクテッドカー、軽量化―これらのテーマを軸に、メーカーとサプライヤーが一堂に会する“未来の見本市”です。 会場を歩いてまず感じるのは、技術の鮮度よりも、“方向性の確度”の方が増しているということです。

数年前まで「未来技術」と呼ばれていた領域が、今年は“実装フェーズの技術”として語られています。SDV(Software Defined Vehicle)やOTA、車両データ基盤、AIによる品質予測といったテーマが、もはや「先進企業だけが取り組む実験」ではありません。業界全体が、“ソフトウェアを中心としたクルマづくり”へ舵を切り終えた、そんな空気感が会場全体に漂っていました。

さらに今年の展示会では、コネクテッド技術の領域が一段と厚みを増していました。OTA、ビッグデータ解析、車載OS、サイバーセキュリティといった分野に加え、クラウドベンダーやAIスタートアップの出展も存在感を増し、クルマが「移動するエッジデバイス」であることが改めて浮き彫りになりました。

一方で、電動化の世界では、部品レベルからシステムレベルまで、成熟と高速化が同時に進んでいます。e-Axle、インバータ、バッテリー構造、軽量化技術といった要素技術は、効率化の追求から“コストとサステナビリティの最適点”を見つけるフェーズへ移行しつつあります。各社が「実装と量産のリアル」を前提に技術を語る姿から、電動化が特別なテーマではなく、自動車産業の前提条件へと変わったことが感じられます。

そしてもちろん、自動運転・ADASは“地に足のついた進化”が目立つ領域でした。過度な期待や誇張が消え、センサー、レーダー、AIモデル、シミュレーションなど、それぞれが堅実な進化を遂げています。特に今年は、実車・実路面の限界を補うための“統合シミュレーション環境”や“ドメイン制御アーキテクチャ”が多く見られ、開発の現実に寄り添った非常に実践的な展示が目立ちました。

こうした変化を俯瞰すると、2026年のAutomotive Worldは、単なる「最新技術の見本市」ではありません。むしろ、自動車産業が “大規模な再設計(Re-Architecture)” に踏み切ったことを示すイベントだと感じました。

  • クルマそのものの構造が変わり
  • 開発プロセスが変わり
  • 企業の組織とビジネスモデルまで変わる

そんな、本質的な“転換点”を象徴する展示会でした。

本ブログでは、単なる展示紹介にとどまらず、「この技術は業界にどんな変化をもたらすのか?」「なぜ今年、このテーマがここまで拡大しているのか?」という“背景”を室長が紐解きながら、会場で感じたリアルをお届けしていきます。

第一章|“再設計”の実像─2026年、何が変わり始めているのか

“未来技術”ではなく、“量産プロセスの前提”へ

かつては展示会で話題の中心だった

  • AI
  • 自動運転
  • OTA
  • デジタルツイン
  • データ基盤

といったキーワードは、今年は全く違う文脈で語られていました。「いつ実装するか?」ではなく、「どう量産へ落とし込むか?」これが、2026年の空気です。

SDVは将来像を描く技術ではなく、「車載アーキテクチャをどう刷新するか」という実務の話題に変わっています。その背景には、OTAや車載OSが“使う前提の基盤”として成熟しつつあること、クラウドとの連携が標準化してきたことがあります。つまり、産業全体が “思想の転換期”を抜け、実装段階へシフトした ということです。

コネクテッド技術が“車両価値の中心”に

また今年は、コネクテッド領域の厚みが例年以上に増していました。OTA、ビッグデータ解析、車載OS、セキュリティ、そしてクラウド事業者の積極出展─どれも「車が移動するエッジデバイスになる」という未来を当然視した展示内容でした。特に印象的だったのは、“車両データをどう価値に変換するか”という議論がOEM /サプライヤー/IT企業の三者で共通化していること。以前の「データは取れるが使い方がまだ曖昧」という段階を超え、

  • 予兆保全
  • 車両ライフサイクル最適化
  • 個別化されたUX
  • サイバーセキュリティ監視
  • 新たなアフターセールスモデル

といった“具体的な価値の方向性”が明確に示され始めています。車両データは、もはや単なるテレマティクス情報ではなく、“ビジネスを再設計するための素材”へと変わりました。

電動化は「成熟 × 速度」の二軸で進化

電動化に関しても、今年は明確な変化が見られました。

  • バッテリーの構造改善やリサイクル
  • e-Axleの効率性向上
  • インバータの高度化
  • プラットフォームの標準化
  • 軽量化技術の精緻化

いずれも「技術の完成度」というより、“どう作り、どうコストとサステナビリティの最適点を見つけるか”という実務的な議論が中心になっています。これは電動化が“目新しいテーマ”ではなく、“産業の前提条件”になったことを意味します。

自動運転・ADASは“地に足の着いた進化”へ

自動運転やADASも、過度な期待から現実的な実装フェーズへ。高度なセンサー技術に加え、統合シミュレーション、ドメインコントローラ、モデルベース開発という、現場で使える技術にフォーカスした展示が目立ちました。

数年前までのような「未来の夢物語」は姿を消し、“どこを自動化し、どこを人に委ねるか”という極めて現実的なテーマが中心です。これは技術の冷え込みではなく、成熟フェーズに入ったがゆえの変化だと感じました。

2026年は“各領域が一本につながり始めた年”

こうして俯瞰すると、2026年の Automotive Worldは、SDV・電動化・コネクテッド・自動運転といった個別テーマが、“一つの産業構造として統合され始めた瞬間”にあった展示会です。クルマの構造、開発プロセス、サプライチェーン、組織、ビジネスモデルといった、あらゆる層で“再設計”が同時多発的に進んでいることが、会場のどこを歩いても実感できました。

第二章|2026年を象徴する4つの潮流——SDV・電動化・コネクテッド・自動運転の“交点”

Automotive World 2026を歩くと、非常に多様な技術が展示されているようでいて、実際には4つの大きな潮流が一本の線で結ばれ始めていることが分かります。

  • SDV(Software Defined Vehicle)
  • 電動化(xEV)
  • コネクテッド(OTA/データ/車載OS)
  • 自動運転・ADAS

これらは展示会の構成としても公式に定義されている領域であり、クルマの先端テーマの中心として、1850社の出展企業が技術を投入したカテゴリーです。 これらが“どのように結びつき”、そして“産業再設計のコア”としてどんな姿を見せていたかを整理しておきます。

SDV|車の価値基盤はソフトウェアへ完全に移行した

SDVは今年、完全に展示会の中心テーマの1つとして扱われていました。Automotive Worldは公式に「SDV EXPO」を構成展示会として設置し、車載ソフトウェア開発・E/Eアーキテクチャ・OSを独立した領域として扱っています。特に目立った潮流は以下の3点です。

E/Eアーキテクチャの“集中化”がいよいよ主流に

各社が語るのは「ドメイン集中化」「ゾーンアーキテクチャ」といったキーワード。これは車両が 「更新される前提」 の構造を持つ必要があるからです。

OTAは“更新”ではなく“価値提供”の仕組みへ

OTA(Over-the-Air)はコネクテッド・カーEXPOの主要テーマでもあり、公式にも OTAと車両データ分析が中心領域として明示されています。OTAの文脈は、“不具合修正”ではなく“新しい機能を後から提供する”方向へ。

クラウドベンダーの存在感が拡大

会場ではクラウド基盤の展示が増加。SDVの進化は “クラウド / データ” が前提という構造が明確になりました。

電動化|成熟したからこそ見えてくる“量産とコスト最適化”の現実

Automotive Worldの構成には、EV・HV・FCV技術展が明確に含まれ、モーター、インバータ、バッテリーといった xEV 技術が一堂に展示されることが公式にも示されています。2026年の展示では、未来志向の「次世代電池」よりも、“今の電動化をどう最適化するか” が主役でした。

e-Axleの効率化と軽量化

「成熟した技術」の中で、特に議論が深かったのが軽量化と冷却。コストとサステナビリティ両立のためのアプローチが中心。

バッテリーの構造とリサイクル

バッテリーはもはや“高性能化”の議論だけではなく、長寿命・再利用・リサイクルが当たり前の文脈へ。

量産前提のサプライチェーン強化

部品加工や素材加工に関する展示(自動車部品&加工EXPO)が活況。電動化が特別なテーマではなく、量産プロセスの標準ライン”に組み込まれていることが明確でした。

コネクテッド|データがモビリティDXの核へ

Automotive World公式展示領域には、コネクテッド・カー EXPO(OTA/車両データ分析)が含まれています。このカテゴリは、今年特に勢いを増していました。

車両データの“価値化”が本格化

予兆保全、品質管理、アフターセールス改善など、「何にデータを使うか?」が具体化した初めての展示会でした。

車載OSの標準化の加速

Linux系、RTOS系、独自OSまで様々なアプローチが展示。共通しているのは、「アプリケーションの後付け」を可能にするという方向性。

クラウド × エッジのハイブリッド型アーキテクチャ

“すべてをクラウドに送る”時代は終わり、車載エッジとクラウドの分業が体系化。コネクテッドは、SDV・電動化・自動運転をつなぐ“血流”として機能しており、今年はその構造が明確に見えた年でもあります。

自動運転・ADAS|地に足のついた「現実的な前進」

Automotive Worldでは、自動運転 EXPOが構成展示会として明確に設置され、センサー、シミュレーション、AIソリューションが集中的に展示されていることが公式に説明されています。今年の特徴は、次の3つあるように感じました

誇張の消失と現実的な自動化

数年前のような「完全自動運転の夢」はほぼ見られず、実装可能なレベルのADASの高度化が中心。

 統合シミュレーションの急成長

AD/ADASの開発を支える“デジタル試験環境”が一気に進化。開発効率・安全性向上の両立がテーマ。

センサー技術の地道な進歩

LiDAR、ミリ波レーダー、カメラの統合が進み、AIモデルのアップデートと合わせて“堅実な進化”が目立ちました。

技術単体ではなく“構造としてのモビリティDX”へ進化していました。整理してきた 4つの領域は、それぞれ独立したテーマのようでいて、実際にはすべてが “車のデジタル化という一本の構造”に統合されています。

  • SDV → 車両の構造を再設計
  • 電動化 → 駆動系とエネルギー構造を再設計
  • コネクテッド → データとサービスの構造を再設計
  • 自動運転 → 安全性と知能の構造を再設計

これら4つのレイヤーが組み合わさって、“モビリティ産業のRe-Architecture(再設計)” が進んでいる。それこそが、2026年の Automotive Worldの核心であると解釈しました。

第三章|OEM・サプライヤー・IT企業は何を示したのか?─各プレイヤーの「次の一手」

第二章では、2026年のAutomotive World全体を貫く4つの潮流(SDV/電動化/コネクテッド/自動運転)を整理しました。第三章では、その潮流に対してOEM・サプライヤー・IT企業がどのように向き合っていたかを“プレイヤー別の視点”で紐解いていきます。会場を俯瞰すると、各プレイヤーの「次の一手」が非常に明確でした。

OEM:ソフトウェアを中心に“車の巻き直し”を進める

今年のOEMブースは、どの企業も例外なく「ソフトウェアを中心とした新しい開発体制」を前面に押し出していました。これは、Automotive World 2026の公式テーマが電子化・電動化、SDV、自動運転、コネクテッドといった領域に集約されていたことからも裏付けられます。

SDVを前提としたアーキテクチャ刷新

各社の説明は「SDVにどう対応するか」ではなく、“どう SDV 前提の車をつくるか”というフェーズに移行済み。E/Eアーキの集中化、ゾーン制御、OTAの標準化は、すでに“採るべき道”として扱われていました。

コネクテッドを“サービス領域”ではなく、“車の基盤”へ

OTAとデータ分析が構成展示会に含まれるように(=コネクテッド・カー EXPO)、OEMにとって“車両データの価値化”は外せないテーマになっています。

車両データを用いた品質改善、車両ライフサイクルの最適化、個別化 UX の提供、保守・販売モデルの再構築がその具体例です。これらはすでに“一部の先進OEMだけがやる領域”ではなくなっています。

電動化は“成熟した前提条件”

EV・HV・FCV技術展でも明確でしたが、電動化はもはや“新しいチャレンジ”ではなく、量産と最適化のフェーズに入っています。OEMはサーモマネジメント、軽量化、バッテリーライフサイクルなどで差別化を図っています。

サプライヤー:領域特化から“水平価値”へ

Tier1/Tier2 のサプライヤーは、今年明らかに戦略を変えています。

「部品メーカー」から「ソリューションパートナー」へ

自動車部品&加工EXPOなどに加え、SDV/自動運転/コネクテッドの展示が急増していました。

つまりサプライヤーは、「物理部品 × ソフトウェア × データ」をセットで提供する形へシフトしつつあります。

分野横断での統合価値

たとえばセンサー企業は「ADASの一部」ではなく、“車両知能全体の中でどう価値を出すか”という語り方に変わっています。

開発ツール/検証ソリューションの存在感

自動運転EXPOで目立ったのは、統合シミュレーション・AI解析・MBD(モデルベース開発)のツール群。これはOEMの“開発効率化ニーズ”の高まりを表しています。

IT企業:モビリティとクラウドの結節点へ

今年の展示会で最も存在感を増したのが、クラウドベンダーやソフトウェア企業です。Automotive World自体が、生成AI、コネクテッド、SDV、車載OS、サイバーセキュリティといった領域に強くフォーカスしていたため、当然の流れでしょう。

クラウドは“ただの基盤”ではなく“車のOS外部層”へ

IT企業の展示は、「クラウドで分析します」というレベルを超え、“クラウドで車の機能を定義する”という世界に入っていました。

OTA/データ/AI の統合プラットフォーム化

IT企業は、OTA配信、セキュリティ監視、車両データ処理、予兆保全AI、デバイス管理といった機能を “プラットフォームとして提供” する形に進化していました。これは OEMが自社で全て構築するのが難しい領域であり、IT企業の役割は今後さらに大きくなっていくはずです。

SDV の実装を“外から支える力”

SDV EXPOでは、クラウド・AI・開発効率化ツールが並び、IT企業が“SDV 時代のエンジン”として存在感を出していました。

新興OEMとスタートアップ:実験ではなく“実装のための提案”へ

特に今年は、スタートアップの展示が非常に実践的でした。電動商用車メーカー、新興モビリティ企業、AIベンチャーなどが、“未来の夢”ではなく “今の課題をどう解決するか” を提示しています。

特徴的な傾向

  • 電動商用車:TCO削減 × データ活用のリアルな提案
  • AIスタートアップ:エッジ推論やセンサーフュージョンの最適化
  • ソフトウェアベンダー:シミュレーション環境と自動化で開発短縮

大企業にはできないスピードで、「再設計フェーズ」を後押しする実装力が見られました。プレイヤー全員が“次の産業構造”を前提に動いている。OEM・サプライヤー・IT・スタートアップの全プレイヤーが、異なるアプローチながら、同じ未来の構造を前提に動き始めているということを再確認できる時間になりました。

  • OEM:車の構造と開発プロセスを再設計
  • サプライヤー:ソフト × ハードの統合価値へ
  • IT企業:車の外側からSDVを支える基盤へ
  • 新興OEM:電動化とデジタルの“実装モデル”を提示

これらが複雑に絡み合いながら、モビリティ産業の姿を大きく書き換えようとしています。

第四章|主要プレイヤーは何を見せたのか──OEM・IT・新興勢力のハイライト

OEM・サプライヤー・IT企業・新興企業は異なるスタンスで“次の一手”を示しています。それぞれのカテゴリごとに 「何を見せ、どこへ向かおうとしているのか」 を整理しておきたいと思います。

グローバルOEM|“100年に一度”が抽象論ではなく計画書になる段階へ

ハード中心だった OEMの展示は、明らかに ソフト/データ/アーキテクチャ へ比重が移っています。これは、SDV EXPOやコネクテッド・カーEXPOが公式の構成展示会として設置されたことにも表れています。

SDVを中心に据えた開発体制の提示

各 OEMの展示説明やデモは、「SDVにどう対応するか」ではなく、「SDVを前提とした車づくりをどう実現するか」という論点に切り替わっていました。

  • ECU集中型 → ドメイン/ゾーンアーキテクチャ
  • OTAペースの高速化
  • 車載OSの標準化
  • テレメトリーとデータ活用の強化

といった要素を、明確に“量産フェーズ”として語る OEMが増えています。

電動化の語り口が変化:高性能 → コスト・量産・ライフサイクルへ

EV・HV・FCV技術展の内容にも表れていますが、モーター、インバータ、電池技術は今年、「性能競争」から「最適点の追求」にシフトしていました。OEMは、e-Axle の軽量化、バッテリー熱マネジメント、リサイクル/リユースの実装など“現場のリアル”へ踏み込んだ展示が中心でした。

コネクテッド領域は“UXのための技術”から“ビジネスモデル変革装置”へ

OTAやデータ分析を扱うコネクテッド・カーEXPOは、“車両データの価値化”が主要テーマであると公式に明示されています。OEM各社は、予兆保全モデル、車両ライフタイム価値の最適化、車両データを前提としたアフターセールス刷新など、“使い方”が具体化した姿を提示していました。

サプライヤー(Tier1/Tier2)|機能単体メーカーから“ソリューションパートナー”へ

自動車部品&加工 EXPOやカーエレクトロニクス技術展に代表されるように、サプライヤーの出展領域は非常に幅広い構成でした。

ソフトウェア × ハードウェアの融合

ハーネス・センサー・ECUといった物理部品メーカーであっても、ソフトウェアで価値を高める展示が明確に増えています。センサーデータのAI解析、ECUの更新性を高める新E/E設計、SDV向け通信ミドルウェア、テレメトリー連携のための計測機器等が具体的な内容でした。OEMが SDVへ移行する以上、サプライヤーもその構造の中で“ソフトの比率”を高める必要があります。

開発効率化ツールの存在感

自動運転 EXPO(センサ・シミュレーション・AIソリューション)に明示されているように、シミュレーション/MBD/検証ツールの展示が急増したイメージです。これは OEMが開発速度、品質、安全性、車種増加のすべてを同時に満たす必要があるからですね。

IT企業・クラウドベンダー|“車の外側”から再設計をリードする存在に

今年の展示で最も“新しい主役感”を放っていたのが、IT企業とクラウド基盤のプレイヤーです。これは、Automotive Worldの構成展示会に コネクテッド・カーEXPO(OTA/データ分析) やSDV EXPOが最初から組み込まれていることからも明確です。

OTA・データ・AI・セキュリティを“統合プラットフォーム”化

クラウドベンダーやIT企業は、OTA配信管理、車両データ基盤、セキュリティ監視、予兆保全AI、デジタルツインなどを一体化した“SDV時代の基盤”を提示していました。OEMが自前で揃えるには負荷が高い領域を、“外から支えるOS層” として提供する流れと言えるのではないでしょうか。

クラウドは“車のOS外層”という扱いに

単なるデータ蓄積ではなく、クラウド側で、機能定義、AIモデル管理、走行データの再学習、OTA配信計画まで行う構造が増えました。IT企業は“裏方”ではなく、モビリティDXの主役の一角として存在感を示していました。

新興モビリティ企業・AIスタートアップ|“実装の現実”を突きつける存在

今年の新興企業の展示は、夢物語ではなく「いま市場で必要とされているもの」を突きつけてくる実践的な提案だったように感じました。これは、展示会の公式構成が、SDV、コネクテッド、自動運転、EV技術の“実装フェーズ領域”であることに起因しているのでしょう。

電動商用車メーカーの台頭

小規模OEMは、TCO最適化、テレマティクス連携、運行管理効率化を武器に、商用車市場へ具体的な解を持ち込んでいましたね。

AIスタートアップ:エッジ推論とセンサーフュージョンが主戦場

自動運転 EXPOの文脈(センサ、シミュレーション、AI)に沿った形で、走行データの軽量推論、異種センサー統合(LiDAR + Radar + Camera)、異常検知モデルなど、実運用前提の技術が多数展示されていました。

ソフトウェアベンダー:開発の時間を“削る”提案

統合シミュレーション、MBDの自動化、テストケース生成AIなど、OEMの“開発地獄”を救う領域にフォーカスしているように見えました。

プレイヤーごとに異なるが、向かう先は1つ

OEM/サプライヤー/IT/スタートアップの方向性は、手法も立場も違うのに、不思議なほど同じ未来へ向かっていることが分かります。

  • OEM:車そのものの構造を再設計
  • サプライヤー:部品企業からソフト融合型の価値提供へ
  • IT企業:車の“外側”から SDV/コネクテッドの神経系を構築
  • 新興企業:スピードと実装力で新しいモデルを提示

その先にあるのは、“モビリティ産業のデジタル再設計(Re-Architecture)”という一本のベクトルなんでしょうね。

第五章|出展社ハイライト:実装で“差”がつくポイント

それでは、ここで出展者様に敬意を表して、展示内容について触れておきたいと思います!

NTT DATA|SDV×都市実装:開発~運用をつなぐ“現場の線”

メッセージの核:「SDVがつなぐモビリティと社会の調和」。OEM・サプライヤ・ITの共創を前提に、車・都市・人を滑らかに接続する世界観を提示(カンファレンス登壇も実施)。SDVホワイトペーパー配布など“現場で使える知識”に落とす姿勢が強い。エッジAI(SLM/RAG)搭載の対話型エージェントや品質・評価「M‑QuEST」を展示。ADAS/ADの開発をデータ起点で回すワークフローを提示。

DX:要件—設計—検証—運用の継続学習ループ化。都市データ×車両データの“システム・オブ・システムズ”が、この数年で“実装の現実”になりつつある。

富士ソフト|デジタルツイン×V2X×自動運転:都市スケールのTwin-Loop

大型ジオラマで、デジタルツイン+自動運転+V2X/V2H+遠隔監視+データ利活用までを体験統合。上流のMBSE/MBDやプロセス改善も含め、“エンドツーエンドの開発加速”を示した。

DX:仮想—実世界(Twin-Loop)で“機能進化を回す”設計。車単体のDX→ 都市協調のDXへと議論を押し広げる実例。

FPT(FTP) Software|AI‑Defined Mobility:工程横断のオートメーション

AI‑Defined Mobility(AIDM)を掲げ、AUTOSAR/ドメインコントローラ/コックピット/Connectedアプリ/AIテスト自動化(ASPICE準拠)をOneLake連携のデータPFやFPT GPU Cloud(NVIDIA H200)と束ねて提示。

DX:要件—設計—検証—量産—運用をAIで貫通。SDV×Connectedの“線”を、工程自動化のレイヤーでまとめ上げるアプローチ。

日立ソリューションズ|ASPICE×DevSecOps×生成AI:品質とスピードの同時最大化

ASPICE準拠プロセス×Codebeamer、UN‑R155/ISO21434対応(TARA・SBOM)、MBDテスト自動化に加え、「地図データ×生成AI」歩行者行動シミュレーション/法規チェック効率化といった生成AIコンセプトを提示。Connected側の裾野を広げるV2X Middleware Platform、クラウドシフト/APM、データ利活用PFなど、“車—クラウド—都市”の運用設計も提示。

DX:フロントローディング×継続的改善。規格順守・セキュリティ・品質をCI/CDに埋め込む“実務の作法”が明確。

CEC(株式会社シーイーシー)|“量のフェーズ”を支える基礎体力

個別ソリューション詳細の公開は限定的だが、SDV EXPO/コネクテッド/テスト領域が主戦場の本展において、量産・検証・ツール連携

DX:SDV実装の“量”の段階では、検証・ツール連携・人材供給が効く。会期後レポート/製品ページ更新のフォロー推奨。

セイコーソリューションズ|フリートDX:アルコールインターロック×デジタルキー

Mobility+:アルコールインターロック+デジタルキーで、安全性と運用効率を両立するトータル車両管理を提案。

Drive Cloud+:通信型ドラレコのデータで運転可視化、日報・教育効率化を推進。“Connectedの即効性”を体現するラインアップでした。

DX:Connected(取得)→運用(教育・日報)→コンプライアンス(飲酒防止)のクラウド完結。安全・コストというKPIへ直結。

TCS(日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ)|プラットフォーム力で“横串”を通す

SDV向け最先端ソリューション/自律モビリティ/車両診断/次世代コックピット/セキュリティ/電動化を幅広くカバーしていました。

DX:グローバル実装力×プラットフォーム化で、SDV・Connected・電動化を横断。“量産スケールの標準化”を支える稀有な立ち位置。

ZO MOTORS|新エネルギー商用車:ZERO EMISSIONの解像度

2023年設立の新エネルギートラックメーカー。米欧ASEANの複数OEMと連携し、「ZO=ZERO EMISSION」のコミットメントを展示。

DX:商用車はTCO×データ活用の“即効領域”。電動×テレマティクス×運行最適化で、現実解の提案が加速。

小括|“実装の作法”と“拡張の射程”

  • 開発プロセスの作法(NTT DATA/日立ソリューションズ)
  • Twin-Loopの体験設計(富士ソフト)
  • 工程横断の自動化(FPT)
  • 量のフェーズの地力(CEC)
  • 運用KPI直結のユースケース(セイコーソリューションズ)
  • プラットフォーム横断の標準化(TCS)
  • 商用領域の実装加速(ZO MOTORS)

それぞれ立ち位置は異なるものの、向いている先は同じ。それは、“モビリティ産業のRe‑Architecture(再設計)”を、現実のプロセス/運用/KPIに落とし込むことだと嗅ぎ取りました。

第六章|ビジネスインパクト編—“再設計”はどんな成果を生むのか?

収益モデル:「売って終わり」から「機能が育つ」へ

SDV×OTA×データが一本化されることで、収益は「販売一括」から「ライフタイム価値(LTV)」へと重心が移動します。展示会の構成自体が、SDV EXPO・コネクテッド・カーEXPO(OTA/データ分析)を独立トラックとして掲げており、機能後付け・継続進化を前提にした発想が標準化しました。

  • 機能アンロック/サブスク:車内アプリ、ADAS拡張、快適装備の段階的解放。
  • データ起点の延長保証・保全契約:予兆保全の確度向上により、固定費→変動費化の設計が可能(TCO最適化と親和)。
  • フリート向け運用SaaS:セイコーソリューションズの Mobility+(アルコールインターロック×デジタルキー)とDrive Cloud+ は、安全・稼働・教育をクラウドで閉じる実装系。即KPI(稼働率・事故率・教育工数)に効く王道ユースケースです。

まとめ:ハードの販売利益+ライフタイム機能収益+運用SaaSの三層モデルへ。

コスト構造:開発と品質の“同時最大化”ができる組み方へ

ASPICE・ISO/SAE 21434・SBOM・TARA、さらにMBD/MBSE、統合シミュレーションが「CI/CDパイプライン」に一体化される流れが加速。日立ソリューションズやNTT DATAグループの展示は、品質・法規・セキュリティ・テスト自動化を開発パイプラインに組み込む“作法”を明確化していました。

  • 開発リードタイム短縮:要件→設計→検証の前倒し(フロントローディング)と自動化。
  • 保証費の逓減:OTAとデータモニタリングで市場是正コストを圧縮。
  • サイバー対応の平準化:TARAやSBOMのテンプレート化で、法規対応の個社ムラを解消。

まとめ:DevSecOps×モデルベース×生成AIの組み合わせで、速度と品質のトレードオフを解消する実装論が主流に。

サプライチェーン:“水平分業×標準アーキ”の前提で最適化を再設計

展示会の公式構成(EV・HV・FCV技術展、カーエレ技術展、自動車部品&加工EXPO)からも明らかな通り、電子化・電動化の広がりは、水平分業の深化を促進していました。

  • E/Eの集中化→BOM再構成:ゾーン/ドメイン化で部品点数・配線が再定義。
  • 共通プラットフォーム×ローカル最適:e-Axleやインバータ等の共通モジュールに、国・地域の法規/サービス差分をOTAで吸収。
  • データ連携前提の調達:ロジスティクス可視化・品質モニタリング・ライセンス/SBOM管理をクラウド二次流通で回す。

まとめ:“組む”力(アーキ/API/データ契約)が購買と品質の核心に。

サービス&アフター:“Connectedの即効性”でKPIが動く

コネクテッド・カーEXPOがフォーカスしたOTA/データ分析の潮流は、アフターと運用に直撃ですね。

  • 予兆保全→実効KPI:稼働率↑、不具合早期収束、保証費↓
  • 個別化UX→NPS/解約率:ユーザー単位の機能提案とリテンション。
  • フリートDX→TCO:セイコーソリューションズのように、安全・運行・教育を一気通貫で可視化。監査対応(飲酒防止)まで含めたコンプライアンス価値が、導入の背中を押します。

まとめ:“データ→運用KPI”の直結設計が収益/コスト双方に効く。

都市・社会実装:Twin-Loopで“街と車”が相互学習する

富士ソフトのデジタルツイン×V2X×自動運転×V2Hの統合展示は、車単体のDXから都市協調DXへの拡張を“体験”で示しました。Twin-Loop(仮想↔実世界)でサービスを更新し続ける構図は、ゼロからのPoCを減らし、スケールに耐えるやり方です。

  • 道路側データ×車両AIの相互学習:混雑最適化/危険箇所の動的学習。
  • エネルギー協調(V2H/VPP):EVの余剰×建物需要を価格シグナルで最適化。
  • 自治体/インフラ事業者との共創:運用設計・責任分界・データガバナンスを最初から契約に織り込む。

まとめ:“街OS×車OS”の二層アーキが将来の公共PFになる。

組織と人材:プロダクトから“プラットフォーム&サービス”への人材棚替え

SDV/コネクテッド/セキュリティが前提になると、内製と外部プラットフォームのハイブリッドが最適解として展示されていました。

NTT DATA(MSE含む)は学習データ/品質評価/エッジAIのノウハウを、日立ソリューションズはASPICE/DevSecOpsと生成AIの実務適用を前面に出し、FPTは工程横断の自動化(AIDM)という“人とAIの再配置”を見せました。

  • プロダクト志向 → プラットフォーム志向:OS/ミドル、API、データ契約を扱うPjM/PoMの強化。
  • “現場×AI”編成:テスト自動化/シミュレーション運用にAIアナリスト/MLOpsを混在配置。
  • サイバー・法規の平準化:TARA/SBOM/規格チェックをテンプレ+生成AIで“標準作業化”。

まとめ:人材は「機能開発」だけでなく「基盤・契約・運用」の三位一体へ。

新興勢力の実装圧:商用×TCO×スピード

ZO MOTORSのような新エネルギー商用車は、ZERO EMISSIONの旗を掲げつつ、地域×用途特化でTCOを実利で崩すモデルを提示。スマート物流との横断で、運転・点呼・荷待ちといった“現実の業務”の改善に踏み込むプレイヤーは、短期での導入判断を取りやすいのでしょう。

まとめ:スピードのある新興が“現場価値”→“組織内の合意形成”を牽引するケースが増加。

5つのアクションチェック(現場導入の羅針盤)

  • OTA対象の棚卸し:現行機能を「後付け可能/不可」で仕分け。収益化ロードマップ(FREE→TRIAL→PAID)を描く。
  • データ契約の再設計:車両・クラウド・都市でのデータ主権/二次利用/保存期間を“契約のテンプレ”化。
  • DevSecOps×規格運用:ASPICE/21434/SBOM/TARAをCI/CDに埋め込む(日立ソリューションズが提示した運用像が参考)。
  • Twin-LoopのPoC:富士ソフトの“体験統合”に倣い、シミュレーション↔実路の最短ループを1ケースで確立。
  • フリート即効ユースケース:セイコーソリューションズのMobility+/Drive Cloud+型で、KPI改善(安全・稼働・教育・監査)を早期に示す。

“構造の再設計”は、KPIの再設計から始まる

2026年のAutomotive Worldは、技術の見本市からビジネスの作法を確認する場へと進化しました。収益は「売切り」から「育てる」へ、コストは「都度最適」から「パイプライン最適」へ、サプライチェーンは「個別最適」から「標準×差分」へ進化していました。いい学びの場になりました。ふと、自分が展示するならば、どんなものを出すだろうか?そんなことを考えました。と、いうことで(笑)

第七章|AI/Copilotで“線”を描く展示—Microsoft MVP/RDとして、そして Technosoft AutomotiveのCOOとしてブースを企画・展示するなら?

展示会場は、華やかな新機能の競演というより、実装と運用の文脈で語り合う場でした。SDV/コネクテッド/自動運転/EV・電子化といった先端領域を、量産品質と現場KPIにどう接続するかが焦点だったように思います。

私がこの場でブースをMicrosoft製品群で、企画し、構えていいなら、AI/Copilotを“主役”ではなく“つなぎ役”に置く構成にするでしょうね。まず入口の大画面ではMicrosoft Fabricの OneLakeを映し、DMSの取引、車両テレメトリ、在庫・輸送イベント、アフター履歴を最初から一つの“湖”に置くという感覚を体験してもらう。SparkでもT‑SQLでもPower BIでも同じデータに触れられる“ワンコピー”の思想は、安全・稼働・品質・SLA・LTV・在庫といったKPIを同じ定義・同じ画面で語る前提をつくります。さらにFabricのReal‑Time Intelligenceを重ね、入ってくるストリームをその場で可視化し、自然言語の問いから即座にアラートやアクションへつなげる“反応速度”を見せる。「データは一つ、意思決定は速く」―この体験が最初の一歩です。

次のエリアでは、Azure IoT Hubで集めたイベントがAzure Digital Twinsのグラフ上に“関係”として立ち上がる様子を見せます。車両・部品・拠点・路面・充電器などがノードとエッジで結ばれ、Twin‑Loop(仮想↔実路)で変動要因をたどり直せる状態ができあがると、KPIは単なる数値から説明可能な現象の物語へ変わる。たとえば稼働率の落ち込みや品質のバラつきに対して、「どこで何が起き、何が関係したのか」を、Twinの文脈で合意できるのです。

そして視線を地図へ移せば、Azure Mapsが“場所”という共通言語を用意します。遅延のヒート、到着予測、EVルート、渋滞や気象のレイヤーを重ねると、稼働とSLA、さらには安全の議論が“景色”として共有できるようになる。どこで、なぜ、どれだけ詰まっているか?―数字だけでは伝わりにくかった関係が、地理というUIで腹落ちする。ここで来場者の目の動きが変わります。

仕上げは、Dynamics 365 Field Service上で“予兆→自動ワークオーダー→最適派遣→実績回収(再学習)”を一筆書きに回す実演です。Connected Field Serviceが Azure IoT Hubと標準連携し、現場の作法として定着できることを、そのままの画面で示す。ここに Copilot in Field Serviceを重ねると、ディスパッチャは自然言語で状況要約や日程調整の支援を受け、技術者は現場から作業内容を自動要約して記録を閉じられる。観客に見せたいのは、AIの派手な“魔法”ではなく、KPIに効く日々の段取りが静かに速く揃うという事実です。

この流れを貫く“手”として、私はブース中央に Copilot の操縦卓を置きます。Azure CopilotはAzureポータルからコスト、構成、健全性を自然言語で問い、必要なCLIやBicepを生成・提示して、その場の運用作業を安全に短縮する。Fabric 側ではReal‑Timeのストリームに自然言語で質問し、異常の兆しに即時の可視化とアクションを紐づける。さらにCopilot Studioのマルチエージェントで、在庫・配車・SLAといったサブタスクをエージェント間で連携し、KPIの変化に応じた“次の一手”を自動で起案・共有する。ブースの裏方ではGitHub Copilot for AzureのAgent ModeがIaCの生成から検証・デプロイまでを半自律でこなし、展示後の環境再現までスピードを上げる。AI は目立たなくていいので、人の意図とデータ、そして行動を最短距離で結ぶことにこそ価値があるはず。

一方、Technosoft AutomotiveのCOOとしてやりたいことを勝手に考えて出展していいなら、最先端テーマを敢えて追いかけすぎず、DMS/NSC System/Digital Marketingという自社のコアに Copilotを乗せて、「今日のKPIを確実に良くする」という一点に集中します。DMSのコックピットでは、入庫から作業、引渡しまでの滞留を工程と地図で同時に見せ、SLAの日次レビューを“会話の基準”にする。OneLake に“最初から”データを集め、Power BIでLTVの短期トレンドと合わせて示すと、店舗長もアフター責任者も同じ定義・同じ画面で対話できる。そこに Copilot が滞留の要因要約と改善案の下書きを添えると、翌日の段取りが自然に決まっていく。NSC 側では、受注・船積み・通関・配車のイベントログをOneLakeに束ね、在庫日数とリードタイムの律速段をCopilot が言語化する。必要に応じてTwins でヤードや拠点の“状態”を軽量にモデル化し、Mapsと重ねる。会議中に出庫順や配車順の“今日の一手”が決まる。マーケティングは、広告/Web/来店/試乗/購入/整備をOneLakeに通し直し、地域ヒートで“当たり所”を共有する。Copilotが次四半期の配分案と想定KPI差分をドラフトすれば、合意形成が一気に進む。最新を並べない。KPIでつなぐ。そしてAIで回す。この作法こそ、COOの立場で示したい“現実解”です。

結局のところ、Microsoft製品を活用して、私が届けたいのは、Fabric(OneLake)/Azure(IoT Hub・Digital Twins・Maps・Copilot)/Dynamics 365という分断を生まない土台と、Copilot/エージェントが人の意図を行動に結び直す運用の速度です。そしてTechnosoftの立場で私が考えたのは、その土台の上で DMS/NSC/Digital Marketingを今日のKPIに直結させ、日々の意思決定と自動化へ落とすこと。どちらも目指す場所は同じで、“線”を描き、太くしていく営みです。

最後に…

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。今年のAutomotive Worldを歩きながら、私は「最新を並べるのではなく、KPIでつなぐ」ことこそが、次の一年を強くする最短ルートだと確信しました。データは最初から一つの場所に、現場の“なぜ”は関係として、意思決定は地図という共通言語で、そしてオペレーションは一筆書きで——その全体を AI/Copilot が静かに後押しする。Microsoftの土台とTechnosoftの現場、その二つの視点は、結局同じ一本の線に収束します。

明日から変えられることは、大きくありません。けれど、小さな一手なら確かにあります。KPIの定義を合わせて、データを一つに集め、日次のレビューを同じ画面で始める。必要に応じてCopilotに要約と“次の一手”の下書きを任せ、改善のサイクルを一日ずつ前に送る。「AIを入れた」ではなく、「AIで回せる作法を手に入れた」と胸を張れるところまで、粘り強く線を太くしていきましょう。来年、またこの会場を歩くとき、今日引いた線がどれだけ遠くまで伸びているか—その答えを一緒に確かめたいと思います。

それでは、底冷えする日々が続いていますが、体調管理に気を付けて。Let’s Enjoy our DX365 Life!

dx365jp
  • dx365jp
  • 24年ほど、Microsoft Dynamics ERP(NAV/AX)+CRMの導入コンサルティングに従事し、日本を含む34か国において導入コンサルティングを経験してきました。グローバル環境における“プロジェクト”と“マーケティング”を生業としております。

    最近は、【CRM/MKTG(攻めのDX)⇔ ERP(守りのDX)】+【ローコード】というDX365な活動に奮闘中です。Microsoft Dynamics 365 ビジネスで地球を90周中です。#DX365 #DynamicsIoT

    Microsoftの運営する外部技術者グローバル組織「Microsoft MVP(*日本165名/世界3023名)・ Microsoftのトラスティッドアドバイザーである「Microsoft Regional Director (*日本4名/世界189名)」として、複数のITコミュニティーにて活動中。(*2022/07/06時点)

    プロフィールはこちら→bit.ly/Dynamics365JP