Dynamics365 2025 wave2_Sales

こんばんは。室長こと、吉島良平Microsoft MVP for Business ApplicationsMicrosoft Regional Director) です。今、午前2時を回ったところです。皆さま、お元気にお過ごしでしょうか?

仕事が終わらないと、平日にBlogを書くことはできない信条なので、大体こんな時間になってしまいます。今日は自宅でお仕事をする予定なので、体力的にも大丈夫だと思って、コツコツ書くことにしました。

昨日のD365BCの投稿を見て、質問をメッセンジャーでくださった皆さま、ご丁寧にありがとうございました。フィードバックをいただけると私も頑張れるので大変助かります。感謝です!

さて、今日はDynamics 365 Salesについて、Microsoft Learnの公開情報に基づき室長の理解をもとに解説していきたいと思います。最後までお付き合いいただけますと幸いです。

D365Salesよ、君はどこに向かっているのかい?

今回のリリースの傾向を纏めると、【Copilotによる営業支援の強化】【営業パイプラインの可視化と分析】【AIによる予測とインサイト】【TeamsやOutlookとの連携強化】【営業プロセスの柔軟なカスタマイズ】という感じです。

営業の未来を描くDynamics 365 Salesの進化とは

Dynamics 365 Salesを単なるCRMから、インテリジェントな営業支援プラットフォーム”へと進化させるものです。Copilotを中心としたAI機能の強化により、営業担当者はより戦略的な活動に集中でき、顧客との関係構築と成果創出にフォーカスするという狙いが込められているように思います。

それでは、個別の機能について掘り下げていきましょう!

≪Copilot and AI Innovation≫

CopilotとAIがかえる業務の未来

Dynamics 365の最新アップデートでは、CopilotとAIの力を最大限に活用した新機能が登場し、日々の業務に革新をもたらしています。ここでは、特に注目すべき3つの機能をご紹介します。

「Smart Gridによる自然言語検索・フィルター・並べ替え」機能は、従来の複雑な操作を不要にし、ユーザーが“自然な言葉”でデータを操作できるようにします。たとえば、「今月の売上が高い順に顧客を表示して」と入力するだけで、AIがその意図を理解し、必要なデータを即座に抽出・整理してくれます。これにより、分析業務のスピードと精度が大幅に向上し、現場の意思決定をより迅速にサポートしてくれますね。

しかしながら、このような自然言語による操作にはいくつかの懸念点も存在します。まず、ユーザーの表現が曖昧だったり、業界特有の言い回しを含んでいた場合、AIが意図を誤って解釈する可能性があります。これにより、誤ったデータが抽出されたり、分析結果が不正確になるリスクが生じます。また、自然言語処理の精度は言語や文脈に依存するため、多言語環境や専門用語が多い業務では、期待通りに動作しないケースも考えられます。さらに、こうした機能を導入することで、従来の操作方法に慣れていたユーザーが戸惑う可能性もあり、社内での教育や運用ルールの整備が求められます。加えて、自然言語による操作は便利である一方、操作履歴や意図の記録が曖昧になりがちで、監査やトレーサビリティの観点からは課題が残る場合もありますので気をつけていきましょう!

「Form Fill Assist Toolbar」は、日常的なデータ入力作業をAIが支援することで、業務の生産性を高めます。このツールバーは、過去の入力履歴やパターンを学習し、次に入力すべき項目を予測・提案してくれるほか、よく使う値をワンクリックで自動入力することも可能です。入力ミスの防止や作業時間の短縮に貢献し、特に営業やカスタマーサービスなど、迅速な対応が求められる部門での活用が期待できるのではないでしょうか。

一方で、こうした支援機能にはいくつかの懸念点もあります。まず、AIが提案する入力内容が常に正確とは限らず、過去のパターンに基づいた予測が誤った文脈で適用される可能性があります。これにより、誤入力が発生し、業務上のトラブルにつながるリスクも否定できません。また、ツールバーの提案に依存しすぎることで、ユーザー自身の判断力や入力精度が低下する懸念もあります。
さらに、入力履歴やパターンの学習には個人データや業務情報が含まれるため、プライバシー保護や情報セキュリティの観点からも慎重な運用が求められます。特に、複数ユーザーが同じシステムを利用する場合、誰の履歴がどのように学習されているかが不透明になると、誤提案や情報漏洩のリスクが高まります。加えて、ツールバーの導入によって既存の業務フローが変化するため、ユーザー教育や運用ルールの整備が不可欠になるでしょうね。

AIを業務プロセスに本格的に統合するための基盤として、「Model Context Protocol (MCP) Server」を活用したAIエージェントの接続機能が登場しました!MCP Serverは、AIが業務の文脈を理解し、適切なアクションを取るための共通プロトコルとして機能します。これにより、営業ワークフローにAIエージェントを組み込み、顧客対応、案件管理、提案書作成などのプロセスを自動化・最適化することが可能になります。複数のアプリケーションやデータソースを横断した連携も実現し、AIが営業活動のパートナーとして機能する未来が現実のものとなりつつあります。

一方で、懸念点もあります。まず、AIが業務文脈を正しく理解するためには、MCP Serverに接続される各システムのデータ構造や業務ルールが明確である必要があり、導入初期には設計・調整に時間とコストがかかる可能性があります。また、AIが提案するアクションが常に最適とは限らず、営業現場の判断力や柔軟性を損なわないような運用設計が求められます。さらに、複数のシステムを横断することで、情報セキュリティやアクセス権限の管理が複雑化し、データ漏洩や誤操作のリスクにも注意が必要です

未来の業務はAIと共に進化する!

これらの機能は、単なるツールの進化ではなく、人とAIが協働する新しい業務スタイルの実現に向けた重要なステップです。DX365Lifeでは、今後もCopilotとAIの進化がどのように現場の働き方を変えていくのかを継続的に追い、読者の皆様に最新の情報と実践的な知見をお届けしていきたいと改めて思いました!

≪Lead Management≫

AIとともに進化するリード管理の新たな常識

Dynamics 365のCopilot機能群の中でも、営業部門にとって特に注目すべき進化が「Sales Qualification Agent」によるリード管理の自動化です。ここでは、リードの質と営業効率を高める2つの機能をご紹介します。

「Sales Qualification Agentによるリードの自動調査」機能は、営業パイプラインの拡充に大きく貢献します。このAIエージェントは、CRMに登録されたリード情報をもとに、企業のWebサイト、業界ニュース、SNSなどの外部情報を自律的に収集・分析し、リードの信頼性や成約可能性を評価します。営業担当者は、手動で調査を行うことなく、AIが提供するインサイトをもとに、より精度の高いアプローチを迅速に行うことが可能になります。これにより、パイプラインの質が向上し、営業活動のROI(投資対効果)も高まっていくでしょう。

一方で、懸念点もあります。まず、AIが収集する外部情報の信頼性や鮮度には限界があり、誤った判断材料が提供されるリスクもゼロではありません。また、AIが提示する評価に過度に依存することで、営業担当者の判断力や顧客理解が浅くなる可能性もあります。さらに、外部情報の収集にあたっては、プライバシーやデータ利用に関する法的・倫理的な配慮が不可欠であり、企業としてのガバナンス体制が問われる場面も出てくるでしょうね。

「Sales Qualification Agentによるメールアドレスの検証」機能は、営業効率の向上に直結します。AIがリードのメールアドレスの有効性をリアルタイムでチェックし、無効なアドレスやスパムリスクのあるドメインを自動で識別・除外します。これにより、メールキャンペーンの到達率が向上し、営業チームは無駄なフォローアップを減らし、より確度の高いリードに集中することができますね!

これらの機能は、営業現場における「量から質への転換」を支援し、AIが営業担当者の右腕として機能する未来を見せてくれます。とてもデモ映えしそうな領域でwkwkしてしまいます。Sales Qualified エージェントは単なる自動化ツールではなく、営業戦略の質を高める“インテリジェントなパートナー”です。DX365Lifeでは、今後もAIによるリード管理の進化と、それがもたらす業務変革の可能性を継続的に追いかけていきたいと考えています。

一方で、懸念点もあります。まず、AIによるメールアドレスの検証は外部データベースやリアルタイムの通信を伴う場合があり、プライバシー保護や情報セキュリティの観点から慎重な運用が求められます。誤って有効なアドレスを除外してしまうケースや、検証結果に過度に依存することで、潜在的なリードを見逃すリスクも考えられます。また、AIが判断する「スパムリスク」の基準がブラックボックス化している場合、営業戦略との整合性が取れなくなる可能性もあります。

≪Sales Management and Operations≫

営業の未来は、AIと“情報源の選択”で決まる!

営業活動において、リードや顧客に関する情報収集は欠かせないプロセスですが、その情報の「質」と「関連性」が成果に直結することは言うまでもありません。今回の2025 Wave 2で強化されたDynamics 365のCopilot機能では、Sales Qualification AgentにカスタムWebソースを追加できるようになり、営業リサーチの精度が大きく向上しました。

この機能の本質は、AIエージェントが参照する情報源を、企業や業界に合わせて柔軟にカスタマイズできる点にあります。従来は、一般的なWebサイトやニュースソースをもとにAIがリード情報を分析していましたが、今後は自社が信頼する業界ポータル、専門メディア、パートナー企業のサイトなどを指定することで、より業務に即したインサイトを得ることが可能になります。

たとえば、製造業向けの営業チームが、業界特化型の技術ニュースサイトや展示会情報ページをAIの参照先に追加すれば、リード企業の最新動向や製品発表をリアルタイムで把握できるようになります。また、地域特化の商工会議所サイトや業界団体の発表資料なども対象にすることで、営業戦略のローカライズにも対応可能になっていきます。

このように、AIエージェントが「どこから情報を集めるか」を企業側で定義できるようになったことで、営業活動はより戦略的かつパーソナライズされたものへと進化したと言っていいでしょう。

一方で、懸念点もあります。まず、カスタムWebソースの選定には一定の知識と戦略的な判断が必要であり、誤った情報源を指定すると、AIが不正確なインサイトを生成するリスクがあります。また、Webサイトの構造や更新頻度によっては、AIが情報を正しく取得できない場合もあり、継続的なメンテナンスが求められます。さらに、外部情報の収集にあたっては、著作権や利用規約、プライバシー保護の観点からも慎重な対応が必要ですね。

Sales Qualification AgentにカスタムWebソースを追加することで、AIによる営業支援は単なる自動化を超え、企業独自の知見を活かした高度な意思決定支援へと進化します。これで、AIを使う人と使わない人、AIを使う企業と使わない企業でとてつもない差がついていく事がわかったはずですね。DX365Lifeでは、こうしたCopilotの進化が営業現場にもたらす変化を、今後も継続的に追いかけていきたいと思います。

≪Seller Experiences≫

営業体験は“構造”を理解することで深化する

営業活動において、顧客・案件・製品・活動履歴といった情報は、複数のテーブルに分かれて保存されているのが一般的です。しかし、これらの情報がどのように関連し、どの階層に位置しているのかを一目で把握するのは、従来のUI/UXでは困難でした。2025 Wave 2で強化されたDynamics 365の新機能は、こうした課題を解決し、営業担当者の“情報のつながり”に対する理解を飛躍的に高めます。

この新機能では、複数のテーブルにまたがる階層構造のデータを、視覚的にわかりやすく表示できるようになりました。たとえば、親会社と子会社の関係、案件と関連する見積・受注・請求書の流れ、あるいは営業活動とそれに紐づくメール・通話・会議の履歴など、複雑なデータ構造をツリー形式や階層ビューで直感的に操作できます。視認性抜群です!

さらに、単なる表示にとどまらず、階層ビュー上でのインライン編集やフィルター、アクションの実行も可能になるようです。これにより、営業担当者は複数の画面を行き来することなく、関連情報を一元的に把握・更新できるようになり、日々の業務効率が大幅に向上すること間違いないでしょう。個人的にも今すぐに使いたい新機能です。

特に大手企業専属の営業やアカウントベースドマーケティングを行うチームにとって、顧客との関係性を立体的3次元で捉えるための強力な武器になっていくのではないかと思います。

一方で、懸念点もあります。階層構造の定義には業務理解が不可欠であり、誤った関係性でデータを構築してしまうと、かえって混乱を招く可能性があります。また、複数テーブルの統合表示にはパフォーマンスへの影響も考慮する必要があり、大量データを扱う環境では表示速度や操作性に課題が生じることもあります。さらに、情報の可視化が進むことで、アクセス権限やデータの機密性に対する管理もより厳密に行う必要があるでしょう。

複数テーブルにまたがる階層データの可視化と操作性の向上は、営業担当者が「点」ではなく「線」や「面」で情報を捉えるための大きな一歩です。DX365Lifeでは、こうしたUI/UXの進化が営業現場にもたらす変化についても継続的に追いかけていきます。

今回のWave 2では、AIによる営業支援がさらに進化し、営業チームの成果最大化に向けた強力なツールが揃いました。やはり、今後の展開に向けて、早期アクセスの活用や社内トレーニングの準備を進めることが重要ですね。いやぁ、今回のD365Salesの拡張は、『来ちゃった!』感が半端ないです。

Dynamics 365 Salesが描く、顧客中心・AI駆動の営業スタイル

2025 Wave 2で提供されるDynamics 365 Salesの新機能群は、単なるCRMの進化ではありません。それは、営業活動を「顧客中心」「AI駆動」「データ連携型」へと再構築するための、次世代の営業プラットフォームの姿を示しています。

CopilotやAIエージェントによる営業支援は、もはや補助的な存在ではなく、営業担当者の“右腕”として機能し始めています。Sales Qualification Agentは、リード情報を自律的に調査し、メールアドレスの有効性を検証することで、営業パイプラインの質と効率を同時に高めます。また、Model Context Protocol Serverを通じてAIエージェントを営業ワークフローに統合することで、顧客対応や提案活動がよりスマートに、よりパーソナライズされたものへと進化しています。

さらに、Smart Gridによる自然言語での検索・フィルター・並べ替え、Form Fill Assist Toolbarによる入力支援、複数テーブルにまたがる階層データの可視化など、営業現場の操作性と情報理解力を飛躍的に向上させる機能も充実しています。加えて、AIエージェントが参照するWebソースをカスタマイズできるようになったことで、企業独自の知見を営業戦略に反映することが可能になりました。

これらの機能は、営業活動を単なる“売るためのプロセス”から、“顧客との関係性を深め、価値を共創するプロセス”へと変革するための基盤です。Dynamics 365 Salesは、営業の未来を再定義する「顧客体験のOS」として、企業の成長を支える力強いパートナーとなるでしょう。

D365Salesよ、君はどこに向かっているのかい?

室長の回答は、“営業の未来を再定義するプラットフォーム”へと向かっている、ということです。

2025 Wave 2で示されたDynamics 365 Salesの進化は、単なる機能追加ではありません。AIエージェントによるリードの自律調査、自然言語によるデータ操作、階層データの可視化、そして営業ワークフローへのAI統合。これらはすべて、営業活動を「インテリジェントで、柔軟で、顧客中心なもの」へと導くための土台です。

今、営業部門は「売る」だけでなく、「つながる」「理解する」「共創する」ことが求められています。Dynamics 365 Salesは、そうした時代の要請に応えるべく、データ・プロセス・人をつなぐ“営業体験のOS”として進化を続けています。

これからの営業は、CRMの枠を超えた“顧客体験設計”が鍵になります。D365Salesはその中心に立ち、企業の営業DXを加速させる羅針盤となるでしょう。弊社のTechnosoft Automotive Solution(通称TAS)にも是非ご期待ください!

TASはCRMをフロントに、ERPをバックにしたいいとこどり設計
Technosoft Automotive Solution (TAS)

次回予告:Dynamics 365 Field Serviceが描く、現場力と顧客体験の融合

営業の未来を描いたDynamics 365 Salesの2025 Wave 2に続き、次回はDynamics 365 Field Serviceの最新アップデートに焦点を当てていきます。現場作業の効率化、顧客満足度の向上、そしてAIによる予測保守やスケジューリングの進化など、フィールドサービスの未来像を一緒に探っていきましょう。

それでは、今日はこのくらいで。Let’s Enjoy our DX365Life!

dx365jp
  • dx365jp
  • 24年ほど、Microsoft Dynamics ERP(NAV/AX)+CRMの導入コンサルティングに従事し、日本を含む34か国において導入コンサルティングを経験してきました。グローバル環境における“プロジェクト”と“マーケティング”を生業としております。

    最近は、【CRM/MKTG(攻めのDX)⇔ ERP(守りのDX)】+【ローコード】というDX365な活動に奮闘中です。Microsoft Dynamics 365 ビジネスで地球を90周中です。#DX365 #DynamicsIoT

    Microsoftの運営する外部技術者グローバル組織「Microsoft MVP(*日本165名/世界3023名)・ Microsoftのトラスティッドアドバイザーである「Microsoft Regional Director (*日本4名/世界189名)」として、複数のITコミュニティーにて活動中。(*2022/07/06時点)

    プロフィールはこちら→bit.ly/Dynamics365JP