Happy New Year!

新年あけましておめでとうございます。吉島良平(Microsoft MVP for Business Applications| Microsoft Regional Director) です。今日は元旦ですね。
皆さまは、おせち料理やお雑煮等、ご家族と共に楽しまれた事でしょう。いよいよ、一年のはじまりですね!

昨年は、Dynamics 365(CRM/ERP)・Power Platformをはじめとするビジネスアプリケーション、そしてDXの進化を追いながら、皆さまと共に新しい価値を探求する一年となりました。多くの方に記事をご覧いただき、コメントやシェアを通じて貴重なフィードバックをいただけたことに心より感謝申し上げます。
2026年(令和8年)の干支は、丙午(ひのえうま)です。午年にあたるこの年は、「情熱的で強い意志を持ちながらも、激しさや変化を伴う」といった意味合いがあるようです。
今年は、AIとCopilotがビジネスの常識を再定義する年になると確信しています。DX365Life Blogでは、最新の機能解説や導入事例、現場で役立つTipsをさらに充実させ、皆さまのDX推進に役立つ情報をお届けしてまいります。
本稿では、現在地と、ちょっと先の未来(2030年)と課題、オートモーティブ業界の課題、そして最後にTechnosoft Automotiveの取り組みについて説明します。
2025年の崖
昨年度は「2025年の崖」と呼ばれる節目の年でした。IPAの最新レポートによれば、日本企業のDXは着実に進展しているものの、その性質は米国と大きく異なります。日本ではDXの目的が依然として「コスト削減や業務効率化」に偏り、取り組みは個別の業務プロセス改善にとどまる“部分最適”型が中心です。DX戦略の共有も社内の一部に限定され、社外への発信は弱く、成果指標の設定率も27.4%と低い状況が続いています。
一方、米国ではDXの目的が「売上や利益の増加」「市場シェア拡大」といった企業価値向上に直結しており、新規ビジネス創出やビジネスモデル変革を目指す“攻めのDX”が主流です。DX戦略は顧客や株主、取引先など社外にも共有され、成果指標の設定率は約90%と高く、評価基準も明確に整備されています。
技術活用の面でも差は顕著です。日本ではデータ活用が業務効率化目的に偏り、企業間連携は進まず、75%の企業が「連携していない」と回答。生成AIの導入率は約半数にとどまり、業務プロセスへの組込みも限定的です。レガシー刷新は進んでいる企業と停滞している企業の二極化が見られます。対して米国では、データ活用が新製品やサービスの創出、集客効果向上など外向きの目的に使われ、企業間連携も進展。生成AI導入率は8割弱に達し、業務プロセスへの組込みも進んでいます。さらに、内製化やアジャイル開発の導入率も高く、経営のアジリティを高める取り組みが浸透しています。
人材と文化の面では、日本企業はDX人材の「量」「質」不足が深刻で、85%以上が不足を感じています。人材育成予算を増やした企業は2割強にとどまり、アジャイル導入率も低く、IT部門でも5割未満。DX推進人材像や評価基準の設定も未整備で、文化面ではリスクテイクや学習支援が十分に浸透していません。これに対し米国は、人材不足感が少なく、外部リソース活用も柔軟。人材育成予算を増やした企業は7割弱に達し、アジャイル導入率は各部門で7割前後。DX文化として「リスクを取る」「スピードを重視する」「学習を支援する」姿勢が根付いています。
総じて、日本は“内向き・部分最適”から脱却できず、効率化中心のDXに留まる傾向が強いのに対し、米国は“外向き・全体最適”で企業価値向上を目指す攻めのDXが主流です。この差を生む要因は、経営層の関与、評価指標の設定、人材育成、企業文化、そして外部連携にあります。
2026年のDXはどうなる?
では、2026年度はどうなるのでしょうか。2025年の動向を踏まえると、2026年はDXの質的な転換が本格化する年になると考えられます。日本企業はこれまで効率化を中心とした“内向き”のDXに偏っていましたが、2026年には新規事業や顧客価値創出を目的とした“外向き”の取り組みが増えるでしょう。特に、生成AIやデータ活用を軸にしたビジネスモデル変革が注目され、単なる業務改善から企業価値向上へと舵を切る動きが加速すると予測されます。
技術面では、生成AIの業務組込みが標準化し、営業、財務、サプライチェーンなど主要業務に深く統合される見込みです。また、企業間データ連携が進み、サプライチェーンや異業種間でのデータ共有が米国並みに広がる可能性があります。レガシーシステムの刷新もクラウド移行やSaaS活用によって加速し、内製化やアジャイル開発の導入率が高まることで、経営のアジリティが向上するでしょう。
人材と文化の面では、日本企業はDX人材不足を解消するため、リスキリングや外部連携を強化し、DX推進人材像や評価基準の整備が進むと考えられます。アジャイル導入率も上昇し、現場主体のDXが広がるでしょう。一方、米国はAIスキルを標準スキルとして組み込み、リスクテイクやスピード重視の文化をさらに深化させ、AI活用を前提とした業務設計が一般化します。
総じて、2026年度のDXのキーワードは「生成AIの本格活用」「データ連携の拡大」「人材戦略の再構築」です。日本企業にとっては、部分最適から脱却し、顧客価値創出を軸にしたDXへシフトすることが不可欠です。一方、米国はAIとデータを駆使した攻めのDXをさらに加速させ、競争優位性を強化する年になるでしょう。
2030年に迫る新たな課題

では、もう少し先に出てくるだろう課題を一緒に考えてみましょう。
「2030年の崖・第二幕?」
DX未達成企業が完全に淘汰されるタイミング。AI・自動化・サステナビリティ対応が必須。
「AI格差の崖?」
生成AI・Copilot・自律型エージェントを活用できる企業とできない企業の差が決定的に。
「AIエージェントの分断?」
複数のAIエージェントが存在しても、相互運用性や標準化が不十分で連携できない問題。個別最適のAIが乱立し、全体最適ができない「孤島化」が企業競争力を低下させる。
「人材崖?」
少子高齢化によりIT・DX人材不足が深刻化。AIで補えない領域(戦略・創造性)が課題。
「カーボンニュートラルの崖?」
ESG対応ができない企業は市場から排除されるリスク。脱炭素の国際目標が本格化。
こうやって考えていくと、企業のオペレーションを預かるCOOの一人として恐怖を覚えます。正しい方向に日々全力で取り組まないと、勝負に負けてしまいますからね。
オートモーティブ業界の課題
オートモーティブ業界は今、かつてない変革の波に直面しています。CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)の進展は、単なる技術革新にとどまらず、ビジネスモデルそのものを再定義しつつあります。
また、SDV(Software-Defined Vehicle)の進展により、車両の機能がソフトウェア更新で進化する時代に突入しました。これまで「販売時点で価値を決める」モデルから、アフターサービスやアップデートを通じて価値を積み上げる発想へとシフトしています。
さらに、D2C(Direct to Consumer)モデルの台頭により、OEMはディーラーを介さずに顧客と直接つながり、ブランド体験を設計することが求められています。この変化は、販売・保守・サービスを統合した顧客体験の再構築を不可欠にしています。
加えて、サブスクリプション型のビジネスモデルが急速に広がっています。車両機能の解放、延長保証、コネクテッドサービスなど、継続課金による収益モデルが定着しつつあり、従来の「一度売って終わり」という構造から、ライフサイクル全体で顧客価値を最大化する仕組みへの転換が進んでいます。
しかし、その裏側では、深刻な構造的課題が顕在化しています。
第一に、レガシーシステムの存在が企業の俊敏性を奪っています。ディーラー業務におけるスクラッチ開発やERPベースのDMS、販社システムとして、オンプレミスの老朽化したERP/CRMが残り続けることで、クラウド移行やデータ連携が進まず、顧客体験の変革が阻害されています。D2Cモデルやオムニチャネル販売を実現できない企業は、2030年に向けて競争力を失い、「DX未達成企業の淘汰」という現実に直面するでしょう。
第二に、AI活用の遅れです。生成AIやCopilot、自律型エージェントを業務に統合できる企業と、そうでない企業の差は、今後決定的な競争格差を生みます。AIは単なる効率化ツールではなく、意思決定や顧客体験を変える戦略的資産です。この領域で遅れを取ることは、2030年の「AI格差の崖」に直結します。さらに、AIエージェントの孤立という新たな課題も見逃せません。複数のAIが導入されても、相互運用性や標準化が不十分であれば、業務は分断され、全体最適は実現できません。AIが乱立するだけでは、企業は「AIエージェントの分断」という壁に阻まれ、真のDXを達成できないのです。
加えて、人材不足とスキルギャップは深刻化の一途をたどっています。DX人材やAI人材の確保は困難を極め、リスキリングやアジャイル文化の浸透も遅れています。このままでは、2030年に「人材崖」に直面し、戦略遂行力そのものを失う企業が続出するでしょう。
最後に、サステナビリティ対応の遅れです。ESG指標やカーボンニュートラルへの対応は、もはや企業価値の根幹を成す要素です。EVやモビリティDXへの対応が遅れる企業は、2030年の「カーボンニュートラルの崖」を越えられず、市場から排除されるリスクを抱えています。
これらの課題は、単なる経営課題ではありません。2030年に向けた生存戦略そのものです。オートモーティブ業界は、今こそ部分最適から脱却し、全体最適を目指すDXを加速させなければなりません。
Technosoft Automotiveの挑戦

こうした課題を前に、Technosoft Automotiveは単なるシステムベンダーではなく、業界変革のパートナーとしての役割を果たすことを明確にしています。私たちの取り組みは、2030年の崖に直結するリスクを回避し、企業が持続的な競争力を確保するための実践的なソリューションに焦点を当てています。
第一に、レガシー刷新と顧客体験の再定義です。クラウドベースのDMS/NSCソリューションを軸に、OEM・ディーラー・商社間のデータ連携を強化し、D2Cモデルやオムニチャネル販売を可能にします。これにより、古い仕組みに縛られた業務から脱却し、顧客接点をデジタルで再構築することができます。
第二に、AIとCopilotの業務統合です。営業、アフターサービス、財務、サプライチェーンなど主要業務にAIを深く組み込み、現場の生産性を飛躍的に向上させます。単なる効率化ではなく、意思決定の質を高め、顧客体験を変える「攻めのDX」を実現します。
第三に、AIエージェントの分断を防ぐオープンエコシステム戦略です。複数のAIが孤立することなく、標準化されたAPIと連携基盤を通じて全体最適を実現します。これにより、AIが乱立するだけの状態から脱却し、真のインテリジェントな業務プロセスを構築します。
第四に、人材戦略の再構築です。DX人材不足という構造的課題に対し、リスキリング支援やアジャイル開発文化の浸透を加速します。さらに、パートナーエコシステムを活用し、グローバルでの知見を共有することで、現場に即したスキルを迅速に獲得できる仕組みを整えます。
最後に、サステナビリティ対応の強化です。EVやモビリティDXに対応するためのソリューション構築に向け、Microsoftのクラウド基盤やAI技術を活用しながら準備を進めています。カーボンニュートラルへの対応は、もはや選択肢ではなく必須条件です。私たちは、データ活用と業務プロセスの最適化を通じて、企業がこの課題を乗り越えるための実践的な道筋を描き、将来の実装に向けた基盤を整えています。
Technosoft Automotiveの使命は明確です。部分最適に留まるDXから脱却し、全体最適を目指す業界の変革を支えること。2030年の崖を越えるために、私たちは技術と人材、そしてパートナーシップを武器に、未来を切り拓いていきます。
わたしたちの未来

2026年は、AIとCopilotがビジネスの常識を再定義する年です。そして2030年に向けて、オートモティブ業界は「崖」を越えるための本質的な変革を迫られています。レガシー刷新、AI活用、エージェント連携、人材戦略、そしてサステナビリティ対応――これらはもはや選択肢ではなく、企業の生存戦略そのものです。
Technosoft Automotiveは、MicrosoftのテクノロジーとAgentic AIを核に、業界の未来を共に創るパートナーとして挑戦を続けます。クラウドDMSによる俊敏な業務基盤、Copilot統合による意思決定の高度化、API連携によるエコシステム構築、そして人材育成、サステナビリティへの準備。これらの取り組みは、2030年の課題を乗り越えるための確かな道筋です。
DX365Life Blogでは、こうした変革の最前線を引き続き発信し、皆さまと共に新しい価値を探求していきます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。皆さまにとって、挑戦と成長に満ちた一年となりますように!

